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【あお】【雑感】第28節バーンリー戦、試合を変えたレーン変更

第27節クリスタルパレス戦からCLリール戦、カラバオ杯決勝、FA杯ルートンタウン戦を挟んで約2週間ぶりのリーグ戦。

その2週間に起こったことはあまりにも濃い出来事ばかりなので、まずざっと列挙する。

  • プリシッチ、好調継続

  • ルカク、ルートンタウン戦で復調の兆し

  • サウール、ルートンタウン戦で復調の兆し

  • リース・ジェイムズ、復帰

  • シィエシュ、負傷

  • ロフタスチーク、ルートンタウン戦でCB起用

この試合に絡みそうなものを抽出してみた。

無音の前半

前半を通して、崩せないチェルシー対守りながらチャンスを生み出したバーンリーという構図に。

Twitterのチェルシーファンの言葉は辛辣なものが多かった。曰く「崩せていない」と。

僕の見解は少し違くて、チェルシー優位の前半という印象だった。バーンリーは4−4−2をベースとして前プレを試みるが、チェルシーの3バック+キーパーの繋ぎにツートップとボールと逆のサイドの3人で当たるという数的には不利な布陣。観た感じ本気で取りに行くというよりは、ちょっかいをかけてミスしてくれれば御の字というプレスの掛け方だった。

落ち着いて繋げば軽くかわせるのだが、突破されることを予測して飛び込みはしないので早い展開には持ち込めない。チェルシーからすればロジックでは勝っていてミスをしなければピンチは訪れないという前半だったと思う。

それでもチェルシーファンも実況席もチェルシーに渋いコメントが多かったのは、チェルシーに後ろで繋ぎのミスが続いてしまったからだろう。あそこでマクニールが得点していれば、試合は変わっていただろう。

相手を押し込んだ時間が長く、ブロックを突破できないで手をこまねいている場面が目立ったのも渋いコメントの一因だろう。「チェルシーはバーンリーに手こずっている」という印象がついてしまった。

右サイドに入っていたバーンリーのアーロン・レノンが4バックに吸収される形で5バック態勢。散らそうとワイドに両ウイングバックを配置し、3バックの左右(リュディガー、チャロバー)がボールを運ぶことで人数をかけて崩し、ネガトラ時にも即時奪回できる布陣を敷いていた。

それは功を奏しているように見えた。事実、サイドの深い位置をサウールもリース・ジェイムズも取れていたし、折り返しのボールも行き来していた。決め切る中の準備ができていなかったのと、バーンリーディフェンスが中に絞り始めたのが停滞した空気の要因だろう。

「ミスさえしなければ、いずれは点が取れそう」

それが前半の印象だった。

変更されたレーンにバーンリーが崩壊した後半

一転、後半は騒がしくなる。
前半の流れである程度のサイド突破は許容して中に絞る姿勢を見せたバーンリーディフェンスを、帰ってきた右ウイングバックが翻弄しだす。

前半ではサイドラインいっぱいに開いて、インテリオールなどが入るレーンをあけていたリース・ジェイムズが、ペナルティエリアの際までレーン移動。中央寄りで点を取りやすいポジションを取り始めた。

素晴らしかったのは、ファーストチャンスでジェイムズがゴールを落とし込んだことだ。それを理解して対処する前に決まったジェイムズのゴールは、バーンリーの選手をバラバラにした。

縦にもコンパクトだったバーンリーの布陣は間延びしだし、横幅はチェルシー選手が不在にも関わらず絞られ、結果としてポジションは取っているが人につけていない「ボールウォッチャーの塊」を作り出してしまう。

そうなると、チェルシーの選手クラスには手玉に取るのは容易い。47分の先制点から8分間で3ゴールが決まり、試合を一気に決めてしまった。

おまけ

FA杯ルートンタウン戦でCBとしてフルタイムプレーしたロフタスチーク。意外な起用にも関わらず、持ち前の推進力で違いを生み出し上々の出来だった。

今後が楽しみだったのだが、この日70分に交代したロフタスチークのポジションはまさかの右ウイングバックだった。

インテリオール、ボランチ、CB、WB。ロフタスチークのユーティリティ性が止まらない。

2021年の7月にフルハムから復帰してきて、「まだこんな感じなのか」と愕然とする走らなさを見せたロフタスチーク。

誰もが認めるフィジカル、スピード、テクニックを兼ね備えた圧倒的なタレント。それにもかかわらず気取り屋というか、「頑張らない俺、かっこいい」感みたいなものが邪魔していたチェルシー生え抜きの天才プレーヤー。

そんな彼が、いま世界トップレベルで走力を必要とされる”チェルシーのウイングバック”を任されたことは、決してただのポジションチェンジではなかった。

快勝に花を添える起用になった。

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