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[読書メモ]嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健)

タイトルはどこかで聞いたことがあったような気がするが、いかにも自己啓発書というかんじがしてあまり興味を持っていなかった。

なぜ読もうと思ったのかもよく覚えていないのだが、正月休みでリラックスしすぎたのかハードな読書ができるようなモードじゃなくて、適当に読み流せるライトな本を選んだのだと思う。

内容としては、"青年"と"哲人"との対話を通してアドラー心理学を紹介するというもの。アドラー心理学がなんなのかこれまで知らなかったので概要だけでもインプットできたのはよかった。

ただ、"青年"の態度がヒステリック過ぎてちょっと辟易した。「ええい、このサディストめ!」とか「ふっふふっ、嫌らしい御方だ。」とか言うやつなんておらんやろ。もう少しマイルドなキャラ設定の方がスッと内容が入ってくるだろうに。

それはそれとして、参考になることもいくつかあった。

一番印象に残ったのは原因論と目的論の話。引きこもりの人は不安だから外に出られない(原因論)のではなく、外に出たくないから不安という感情を作り出す(目的論)というもの。自分の経験と照らし合わせると納得感があると思った。

プレゼンのスライドを作らなければならないのに手がつけられないのは完成したスライドの出来にがっかりするのを避けるために面倒だという感情を作り出しているのだろうし、大勢の前で話すのに緊張するのは上手く話せない自分に失望するのを避ける言い訳を作ろうとしているのだろう。

実際に何かをやってみるまでは「やればできるかもしれない」という可能性を信じて安心して生きることができる。でも可能性の世界に生きているうちは何も変えることができない。可能性の世界から飛び出して現実と向き合わねばと思った。

あとは、自分の課題と他者の課題を分離するということも、普段の生活の中で意識するとうまくいくことが増えそうだ。「これは誰の課題なのか?」と考え、他者の課題には踏み込まず、自分の課題には他者を介入させない。誰の課題なのかを見分けるコツは、「その選択によってもたらされる結果を最終的に引き受けるのは誰なのか?」を考えること。

簡単そうに思えるからすぐに実践してみようと思うが、実際にやってみると結構難しいものなのだろう。時には人から嫌われたり、承認されなかったりすることもある。しかし、そのコストを支払わなければ自分の生き方を貫くことはできない。だから「嫌われる勇気」が必要。

共同体意識とかよく分からないところもあるが、最後の章に書かれているように、いま、この瞬間をダンスをするように生きるというイメージでやっていってみようと思うなどした。

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