早期離職ゼロ!学生の本当にやりたい!を引き出す「履修データベース」とは?
履修データセンターは大学での履修履歴をデータ化して企業へ提供するデータベースサービスを通じ、就職活動の常識だった“ガクチカ”(学生時代に力を入れたこと)に次ぐ選択肢として「大学での学び」を就活のアピールに活かせる社会を目指している会社です。今回は、実際に履修データを新卒採用にてご活用いただいているサクサシステムエンジニアリング株式会社担当の一山様にお話しをお伺いしました。
【サクサシステムエンジニアリング株式会社】
通信機器、ネットワーク機器、サーバー開発などソフトウェア、システム開発、グループ会社と連携したシステムインテグレーション事業など業界内随一の実績と技術を保有するIT企業。青森県八戸市の八戸ハイテクパークに本社を構えながら、全国規模で事業を展開されています。
――履修履歴データを新卒採用活動に取り入れたきっかけは…?
コロナ禍を経て「課外活動を経験したことがない」という学生の声が非常に増えたのがきっかけです。面接担当の役員からも「学業成績だけでは、学生の人柄を窺い知るのが難しい」といった声が寄せられ、採用活動における学業面の情報の充実化が急務となるなか、人材紹介会社様から「履修履歴データベース」をご紹介いただき導入を開始しました。
――実際に履修履歴データを導入してから、採用活動においてどのような影響がありましたか?
従来の採用活動において、成績証明書の様式が大学ごとに異なることもあり、志望者間の学業成績の相対的な比較は困難でした。しかし、履修データを活用することで、他大学の学生同士でも同じ土俵(様式)で比較することができ、GPA(成績評価値)だけでなく、各科目の成績からより解像度の高い情報を得られるようになりました。また学業の成績からしか引き出せない「聞かなければわからない人柄」を知るためのツールとしても必要不可欠な存在になっています。
――「聞かなければわからない人柄」とは、 “ガクチカ”とはどう違うのでしょうか?
得意なことや好きなことの話が多くなりがちな“ガクチカ”に対して、苦手や不得意なことでも取り組まざるを得ない学業だからこそ、より深い学生の長所や人柄がにじみ出ていると感じます。例えば、「成績が低かったからこそ、勉強に力を入れて、後にその分野に関する資格を取得するまで努力した」や「プログラミングの科目で、もともと成績は低かったが、完成した成果物に感動を覚えてグッと好きになった」など、単純な成績の良し悪しだけではなく、科目に付随する学生の努力や想いも自然とヒアリングすることができ、学生の人間味あふれる芯の部分の人柄まで知ることができるようになりました。
――履修データを活用してから具体的な成果はありましたか?
履修データを活用してから、早期離職者はゼロになりました。当社の志望者のなかには、文系から心機一転でプログラマーを目指して選考に来てくれる学生もいらっしゃいます。その際も履修データを活用することで、例えば経済学部の学生であれば「ビッグデータの統計処理の授業でプログミングをして興味を持ちました」など、より具体性を持って本人の意志を知ることができます。また「プログミングが好き」と言っていても、実際に関連した授業の成績が低ければ「なぜそうなったのか?」と、客観的な側面からも学生の熱量や人柄を深堀することができます。
――実際に面接を行う面接官からの感想は…?
面接官からは非常に質問がしやすくなったという声が上がっています。当社では、まず学生に「力を入れた科目」、「成績は低かったが満足している科目」などを事前質問で答えてもらい、その回答と履修データを事前情報として面接担当の役員に共有しています。面接官から人事に対して「この成績の部分について、もうちょっと詳しく聞きたい」といった問い合わせが増えるなど、学生に対する興味も一段と高まっているように実感します。
――一方で、学生は履修データによる面接にどのような印象を持つのでしょうか?
内定者からは「成績について踏み込んでくる会社だな」という印象があるようです(笑)。他の地方企業さんでは、大学での学びについて「GPAの良し悪ししか見られていない」と感じることが多いらしく、科目ごとに成績や満足度を質問されることで「多面的に自分自身に興味を持ってくれている」という実感があるようです。昨今、大学の出席管理が厳密化され学生生活における「大学での学び」の比重が増えるなか、履修データを活用することで、当社としても今の大学生の現状により真摯に向き合えた採用活動ができていると感じています。
――今後期待する履修データの活用方法とは…?
現状の機能で十分に満足していますが、今後は当社の採用状況について経年変化を一覧で分析していきたいと思います。採用した学生のタイプを履修データからデータベース化していくことで、組織としてどのようなタイプの人材の層が厚く、今後はどのような人材が必要になってくるのかを把握できれば、より戦略的な採用活動につながるのではないかと期待しています。
――履修履歴データの一押しポイントは…?
繰り返しになりますが、学生が学業に向き合ってきた背景や想いから、“ガクチカ”からは知りえなかった、より深い人物像を知れる点です。 実際の面接シーンでは、志望動機や“ガクチカ”のような“予想できる質問”に対して100点満点の回答を用意されている学生も多くいらっしゃいます。しかし、自分自身の学業成績をもとに面接を進めることで、よりパーソナライズされた質問から、飾らないその人自身の人柄を深堀できることが大きな魅力です。