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男性の子育ての頑張りに目を向けてみた~産後パパ育休に向けて~

はじめに

厚生労働省の調査によると、男性の育児休業取得率は上昇傾向にあるものの、約14%とまだまだ女性に比べて低い水準となっています。(令和3年度:13.97%)。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf

また、2021年に30代男女の悩みの違いを検索キーワードから把握した際にも、子供関連の悩みが女性に集中している様子が見て取れました。

『「2人目 悩む」 子育てママの危機的状況を検索データから考える』
https://note.com/ds_yahoojp/n/ncdbe690b7d78

この傾向は最近のデータでも大きく変わっておらず、
厚生労働省の資料でも「日本の夫(6歳未満の子どもを持つ場合)の家事・育児関連時間は、1時間程度と国際的にみて低水準」と記載が見られるように、まだまだその傾向は強いと言えそうです。

このような状況から『産後パパ育休の創設』など育児・介護休業法の改正が段階的に行われており、男性の家事・育児関連時間を伸ばすための支援が少しずつ進んでいます。
弊社でも男性育休について考えるイベントが開催されており、男性の育児参加支援は各家庭だけでなく国や社会全体での取り組みが必要とされるテーマと言えます。

『ダイバーシティ&インクルージョンdays』(D&I days)
「多様性」について改めて考え、一人ひとりが行動するきっかけを提供する弊社内イベント
男性育休を取る? 取らない? 決断した理由【男性育休を考える】
キャリアや生活、企業における男性育休のメリットとは?【男性育休を知る】

男性の子育ての悩みに目を向けてみる

上記の通り、女性に育児負担が偏っていることは事実です。
しかし一方で、休日には街中で男性が育児をしている様子を見かけたり、周囲の友人も積極的に育児参加していたりと、
男性の意識も少しずつ変わってきているようにも感じています。

課題の大きさからつい女性の大変さに目が行ってしまいますが、現在の男性の頑張りに目を向けることも今後のために重要ではないかと感じたため、
今回はあえて男性の育児に目を向けて考えてみたいと思います。

また今回、育児経験者3名(男性2名女性1名)の社員とデータを基にお話できたため、いただいた実際の育児経験者の声もご紹介します


「出生届」検索者に特徴的なキーワード(検索人数順)

今回は2021年に「出生届」と検索したユーザーが、検索前1か月~検索後1年の間に特徴的に検索しているキーワードを抽出しました。
(男性のデータは男性全体との比較、女性は女性全体との比較で特徴的なキーワードを取ってきています)

まずは検索人数が多い順で見てみましょう。
上が男性、下が女性のランキングになります。

基本的には上位は男性・女性関わらず比較的同じ悩みを検索していることが分かります。(緑色)
また異なるキーワードでも「いつから」「いつまで」といった検索が多く見られ、全体的に時期が分からず悩んでいる様子が見られました。

一方で、男性にのみ上位に出てきていたキーワードとして、名前を出産前に熱心に考える様子や、学資保険や内祝いなど出産育児の周辺について調べている様子がありました。(赤色)

また男性と女性で違いが見えたものとして、男性:「夜泣き 原因」女性:「夜泣き 対応の仕方」というキーワードに目が行きました。(黄色)
対処しきれず悩んだ時に、男性は”どうして”を調べてその原因に合う対処を考える方が多く、女性は”どうする”を調べてまず対処する方が多いという違いがあるのかもしれません。
どちらが良い悪いの話ではないものの、少なくとも考え方の違いから対処の速さに違いは出てくることが想像されます。


データを見た育児経験者の声①


「出生届」検索者に特徴的なキーワード(特徴順)

先ほどは特徴的なキーワードの中でも検索人数が多い順番に見ていきました。
次は男性の結果に絞り、男性全体と比べて特徴的な順番で悩みを見てみましょう。

結果を見ると、出産前,出産後それぞれで以下のような様子が見て取れました。

出産前:
・「逆子 いつまで」「破水 気づかない」など不安を抱えながら準備をしている様子
・「陣痛 和らげる方法」など奥さんを気遣う様子

出産後:
・「赤ちゃん だっこしないと寝ない」「生後一ヶ月 お風呂の入り方」「オムツ替え 暴れる おさえるコツ」など、寝かしつけやお風呂,おむつ替えなどに苦労している様子
・「ミルク 飲まなくなった」「赤ちゃん 寝汗がすごい」のようにミルクを飲まなかったり寝汗がすごいことへの不安など、色々なことに悪戦苦闘しながらも愛情を持って接している様子


データを見た育児経験者の声②

終わりに

今後は国や社会による取り組み等も進み、少しずつではありますが男性の育児参加は増えてくると考えられます。

こちらはCさんから頂いたコメントです。

「男性の育児時間が増えたとしても、何をしたらいいかわからないと不安ですよね。
ただ、奥さんと一緒に過ごして、育児がこんな風に大変というのを『知ること』は大事だと思います。
子どもが小さいとき、出かける直前に飲み物をこぼしたり、粗相したり、予想外のことが次々に起きて、ほんの些細なことでも積み重なって予定が回らなくなるんです。そんな時に、旦那さんが側にいてくれたら安心だと思います。」

このコメントのように、男性が実際に体験して大変さを知れる機会が増えていくことで、精神面においても女性の育児負担が少しでも楽になればと期待しています。

一方で、男性の育児時間が増えるにつれて、もしかすると奥さんからすれば「こんなことも出来ないの?」と思うことや「原因考える前にまず対処してよ!」などと思うことも増えるかもしれません。(私も子供ができたときには同じように言われる未来しか見えません・・)

そんな時には、こういったデータが男性との考え方の違いや男性なりの頑張りにも少し目を向けるきっかけになれば嬉しいです。

筆者プロフィール
小川 知紘(おがわ ともひろ)
2018年よりヤフー・データソリューションの立ち上げに従事。
現在はDS.ANALYSIS(オーダーメイドの課題解決サービス)にて、クライアントに対する分析企画・アナリスト業務を担当。
副業として、幼児教室の先生 と 事業会社でのデータ分析 を行う。
データ分析が身近に感じられるネタでnoteを投稿中。

twitterもやっています。ご連絡はこちらまで→@tomohogawa
他note記事→アナリストの分析日誌
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