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DS.INSIGHTでwithコロナ時代の観光を考える ~移動に対するブレーキ・アクセルと旅先選択~

こんにちは、ヤフー・デジタル行政コミュニティです。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、私たちの生活を大きく変え、全国民が感染状況を踏まえた対処をせまられる状態が続いています。特に緊急事態宣言等により外出や移動が制限されたため、人々が楽しみにしていた「観光」という行動をとれない期間が続き、関係する業界や、地域に多大な影響をあたえています。行政においても、観光は有力な地域振興手段であるため、withコロナ時代の観光をどう考えていくか、大きな課題です。

DS.INSIGHTを通じて参照できるヤフーのビッグデータの特徴は、アンケート等の既存手段と比べて圧倒的に多い、千万人単位という莫大なデータ量を背景とする網羅性と、昨日までの状況を今日確認できるリアルタイム性にあります。この強みを生かして、いち早く、観光における変化を読み解いてみましょう。

これまでの経緯を振りかえると、2020年の年初から感染者がジリジリと増え、2月27日の全国一斉休校、4月7日から5月25日までの緊急事態宣言の発出がありました。これらの期間は、人々の外出や移動に対して、強くブレーキがかかった時期と言えます。そして、7月22日からは東京都を除く地域でGoToトラベルキャンペーンの第一弾が開始、10月1日から第二弾として、東京都を含み、助成を強化する形で、今度は強くアクセルを踏んだ形になります。そして、再度の感染拡大に対応して12月下旬からブレーキを踏み始め、1月7日に再度の緊急事態宣言、GoToトラベル事業も一時停止という措置が取られました。

withコロナ 最初の1年間をふりかえる

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ここでは、いわば「ブレーキ期」と、「アクセル期」における観光に対する変化を見てみます。検索データをつかった分析においては、しばしば「第二ワード」を使った分析を行います。たとえば観光についてであれば、人々は「エリア名 観光」といった形で検索することが多いため、この「観光」に対して組み合わされるワードをみることで人々の欲求の変化を見ることができます。

DS.INSIGHTのランキング表示機能を使えば、「観光」というワードを含んだ検索ワードを、多いものから順番に見ることができます。上位ほど観光する対象として人気があるエリアだということになります。コロナ以前は、このランキングはあまり動きがなく、「京都」「大阪」「東京」「金沢」といった代表的な都市が名前を連ねてきました。それが、2020年はコロナの影響で大きく動きます。

たとえば2020年8月は、「淡路島」「箱根」が1位・2位となりました。DS.INSIGHTでは検索元の地域を絞ることができますが、東京都からの検索では「奥多摩」「箱根」、大阪府からの検索では「淡路島」「和歌山」と、当時業界では「マイクロツーリズム」といった言葉も出ていましたが、遠距離の移動を避け、近場で密閉空間でない=自然を楽しむ観光にシフトしたといえそうです。(人々が「マイクロツーリズム」と検索するわけではないことに注意が必要です)

・DS.INSIGHT People 「観光」を含むランキング(2020年8月) 
 ・期間指定:1ヶ月→月を選択
 ・絞り込み:地域→都道府県を選択
 ※DS.INSIGHTのページに飛びます。ユーザーの方のみご覧いただけます。
 ※ユーザーの方はブラウザから以下のURLをご覧ください。
  https://dsinsight.yahoo.co.jp/people/display/ranking?q=%E8%A6%B3%E5%85%89&g=monthly&d=2020-08-01&ck=%E8%A6%B3%E5%85%89&rs=uu&rgdm=uu&crg=tokyo

DS.INSIGHT People 「観光」を含むランキング 8月

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では、社会がアクセルを踏んだ時期の代表例として11月はどうでしょうか。上位は「京都」「金沢」「箱根」「熱海」「広島」となります。Go Toトラベルの開始を受け、観光地として知名度が高く、観光施設が充実した地域が検索され、昨年と比較すると「大阪」「東京」という大都市が避けられているようです。

DS.INSIGHT People 「観光」を含むランキング 11月

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そして、再度ブレーキを踏んだ2021年1月は「熱海」「和歌山」「箱根」「伊豆」「淡路島」と、8月と似た傾向のランキングに戻りました。

DS.INSIGHT People 「観光」を含むランキング 1月

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このようにブレーキ、アクセルを踏むそれぞれの時期において、検索傾向に明らかな変化が見られ、そこにはパターンがありそうです。

ブレーキ期:緊急事態宣言等により外出や移動に強い制限がかかり、日々閉じこもった生活をする中で、短時間の移動で、少しでもリフレッシュしようと考え、都市近郊の自然・オープンエアを楽しめるエリアを探している。

アクセル期:感染リスクがゼロではない中でGo Toキャンペーン等を活用して観光をと考え、東京・大阪といった大都市の観光を避け、観光施設が充実していそうな著名な観光地を選択。

こういったデータの見方、仮説設定は、変化に対して迅速に対応するため、ビッグデータの動きにみられるパターンと、現場での観察を組み合わせて傾向を見出し、少しでも成功確率をあげるための手がかりとなります。

次回は、今回えられたストーリーをもとに、DS.INSIGHT Placeを使って、実際の人の流れがどうなっているか、検証する方法を紹介します。


※DS.INSIGHTご利用につきまして
統計処理をする為に一定数以上のデータが取得できない場合、分析出来ない場合があります。その場合は、期間、対象エリアを広げて分析してみてください。

※本記事の内容は公開日時点の情報です。

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