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方言マップを作ってみる~それぞれの都道府県で最も検索されている方言は?~

こんにちは、データアナリストの小川知紘です。

方言を知るたびに、本人にとっては当たり前なのに、知らない人には伝わらない言葉があるというのは面白いなと感じます。
また、全国的に知られているメジャーな方言から聞き馴染みのないマイナーな方言まで、たくさんの方言があることも面白い点の1つかなと思います。

それだけたくさんの方言があるということは、調べられている方言を都道府県別に見てみると何か違いや傾向が見えてくるのではないでしょうか。

そこで今回は、都道府県別に検索される方言を集計して地図上に表示した、方言マップを作ってみたいと思います。

また、全国的に知られている方言はどの地域から始まり、どのような流れで全国まで広がっているのでしょうか。
後半では、方言がどのように日本全国に広まっていくのかを、検索された都道府県の流れから見えないかも試してみようと思います。

各都道府県で最も検索されている方言とは

早速、都道府県ごとに調べられる方言に違いがあるのかを見ていきます。

・方言だと気付かずに使っていたが相手に通じなかった
・当たり前のように使われた言葉が理解できなかった
という時には私自身「○○ 方言」とよく調べるため、
2020年10月~2021年9月の1年間に、各都道府県において「方言」と一緒に最も多く検索されたワードを表示してみました。

恥ずかしながら、私は知っている言葉がほとんどありませんでした…
皆さんはどの程度ご存知でしょうか?

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まず結果を見て驚いたのは、関東地方以外は全体的にその場所付近の方言とされている言葉が多く検索されていることでした。
検索された都道府県で集計しているため居住者に限らず来訪者が含まれていることもありますが、知っている言葉はわざわざ検索されづらいため、ここまで綺麗に付近の言葉が出るとは思っていませんでした。

例えば、北海道,青森では「あずましい」(気持ちいい、心地よい)、秋田,山形では「うるかす」(水につける、ふやかす)などが出てきています。

また、新潟では「ごめんください」が多く検索されていました。
不思議に思い調べたところ、「ごめんください」という言葉自体は一般的にも良く使われるものの、新潟ではさらに広い意味の挨拶として使われるという話がSNSで話題になったようです。

富山、関西、関東で調べられている「だんない」は「かまわない」という意味とのことですが、こちらは朝ドラの『おちょやん』で使われていたそうです。朝ドラに出てきたことを思うと他の都道府県でも多くなりそうですが、「だんない」が使われるとされる都道府県での検索が多くなっているのも面白いなと感じました。

(徳島、高知の「しんどい」は調べても分かりませんでしたが、場所が集中しているということは何かしら理由があるのでしょうか…)

検索数の上位ということもあり、SNSや朝ドラなど何かのきっかけから検索された方言が多く見られますが、そのきっかけで反応しやすいか否かには聞き馴染みがあるかどうかも関係しているのかもしれません。

方言検索の都道府県の広がり方

少し話は変わりますが、方言はどのように知られていくのでしょうか?

疑問に思ったため、検索数が伸びており都道府県ごとにばらつきの大きかったキーワードを例に、検索が一定数を超える都道府県が経年でどう変化していくかを見てみました。

一定数以上の検索者数がいる都道府県に色付けをしています。

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すると、3つのキーワード全てで初めに検索されていた都道府県が繋がる形で東西に広がっている様子が見られました。(東京は人口も多く色々な場所から人が来るため、最初から色がついているようです)

「ちょける」はその後南北両方に広がっていきますが、「すいばり」は南から北の順に広がっているように見て取れます。

一方、「だんない」は東西に広がった後一気に全国に広がっていました。こちらは恐らく朝ドラに登場したこともあり、次第に広がっていくのではなく一気に拡大されたのではないでしょうか。
(一度2017年に広がった様子も見られましたが、検索数としては小さかったため2018年には戻っていました。朝ドラの放送された2020年の検索者数は2018年の10倍以上にもなっていました)

昔から存在した方言が急にここ数年で広がっているのを思うと、そもそも検索だけで単純に認知が広がっていると捉えて良いのか,傾向を語って良いのかはもっと慎重に考えるべきですが、
広がり方を考える上で、検索データから都道府県変化を見ることは1つヒントにはなりそうな感覚を持ちました。

終わりに

前半では各都道府県における方言検索の違いを見てみました。都道府県によって検索される方言も変わってくることが見て取れました。
方言に関する話題も年ごとに変わるため、毎年見ていくとまた違った発見が出てきそうです。

後半では方言が広がる様子を見てみたところ、傾向がありそうな様子も見られました。
今回は方言で試しましたが、別のテーマでも、もし広がり方のパターンを掴むことが出来れば予測やマーケティングなどあらゆる場面で使えるデータになりそうです。検索データだけでなく社内外のデータも絡めながら、広がり方のパターンを掴むことにも引き続き取り組んでみたいと思います。

筆者プロフィール
小川 知紘(おがわ ともひろ)
2018年よりヤフー・データソリューションの立ち上げに従事。
現在はDS.ANALYSIS(オーダーメイドの課題解決サービス)にて、クライアントに対する分析企画・アナリスト業務を担当。
副業として、幼児教室の先生 と 事業会社でのデータ分析 を行う。
データ分析が身近に感じられるネタでnoteを投稿中。

twitterもやっています。ご連絡はこちらまで→@tomohogawa
他note記事→アナリストの分析日誌

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