映画感想⑥『グリーンインフェルノ』

こんチワワ・・・・・・。

皆さん、意識高い系大学生がボコボコに殺られている映画を見たくないですか??????????

ということでイーライ・ロス監督『グリーンインフェルノ』です。
ルッジェロ・デオダート監督『食人族』を基礎に、アマゾンの奥地に住む食人文化のあるヤハ族と大学生活動家グループの交流を描くハートフル映画です。(嘘です)

久しぶりにゴアッゴアのスプラッター映画を見たのですが、ほんっっっと〜〜〜〜〜〜〜〜〜に最高でした。私は元ネタとなった『食人族』をまだ見てないのでそれについてはなんとも言えませんが、カニバリズム系ホラー映画としては十分のグロテスクさです。
グロ耐性がない人が見ると恐怖で失神してしまうのではないかと思うほどの
ゴア!
スプラッター!
血!
臓物!
腐った死体!

ありがとう、ありがとう。
グロテスクのカーニバルか?
嬉しいな、今夜は踊っちゃお🎶

グロテスクさはホラー好きとしても大満足のできになっているのですが、ストーリーも負けていません。

主人公は父親が国連職員の大学生ジャスティン。彼女はアレハンドロ率いる活動家グループに関心を持ち、彼らと原住民のヤハ族を迫害して熱帯雨林を開発しようとする石油化学企業を止めるべく計画を立てていた。ドラッグの売人であるカルロスから資金援助を受け現地へ到着後、ブルドーザーに自分達ごとチェーンを巻くなどの妨害行為を行い、その際アレハンドロはジャスティンの国連職員の娘という立場を利用。ジャスティンは危うく警護の傭兵に殺されかけるが、これによりグループの抗議活動はインターネットでより注目を集めることとなるより開発を止めることに成功。
目標を達成したグループは嬉々として帰路に着く際、乗っていた小型飛行機にエンジントラブルが……。彼らが墜落したのはヤハ族の住むジャングル。全身を真っ赤に塗ったヤハ族の集団に襲撃され彼らの悪夢が始まる。


元ネタ『食人族』では、ドキュメンタリーを撮ろうと部族に対し迷惑行為をした一行が、自業自得と言わんばかりに殺されるという内容だった(らしい)のが、今回は反対に何もしてない大学生グループ達が一方的に襲われるという内容になっています。

この映画に対して「グロいだけ」、「理不尽すぎる」といった感想も見受けられますが、本当にそうでしょうか。

私はこの映画を「フォークホラー」として見ています。
フォークホラーと言えば、最近異例の大ヒットを記録した『ミッドサマー』が有名です。
この『ミッドサマー』も、大学生グループが独特な文化を持ったスウェーデンのとあるコミューンに一定期間属し精神を崩壊していく様子が描かれている映画となっています。
『グリーンインフェルノ』では、意識高い系の大学生たちが、未開の地へ足を踏み入れたことで恐怖へと追い込まれていきます。

そもそも、私たちが部族に対して感じている「独特さ」とか「未知さ」とか何なのでしょうか。
『グリーンインフェルノ』では、大学生のジャスティンが講義で「女性割礼」について学ぶシーンがあります。

※女性割礼とは……女性器のクリトリス切除を中心に、小陰唇を切除したり、大陰唇を縫合したりする行為である。アフリカを中心に行われる風習であり、通過儀礼のひとつである。

彼女は、アフリカの女性の人権に疑問を持ち、女性割礼を野蛮な行為として見ています。しかし、現地での女性割礼は、我々で言うところの成人式のようなもの。
そこに私たちの文化や伝統が正義だと押し付けることは本当に正しいのでしょうか。

ヤハ族は食人の文化を持っている部族ではありますが、普段はクロヒョウを狩り、豚を食べ生活しています。
外に出てわざわざ人を食べることはありません。更に、彼らは時に主人公達に好意的に接してきます。
例えば、ジャスティンが全身白塗りにされ女性割礼をされそうになるシーン。これは、ヤハ族が彼女を「仲間」だと認めたシーンと言っていいでしょう。
ヤハ族の中で女性割礼は神聖な儀式であり、決して部外者に軽々しくやるものではありません。

元々、ヤハ族は外からの人間を単なる敵や食材として扱っているわけではなかったのです。
(まぁ、その地で生き延びたところで現代人は弱いので感染症などですぐ死ぬと思うんですが……)

ここで見えてくるのは、「多様性の受諾の難しさ」です。
「知らない物を盲信的に受け入れる」ことも、「自分と違った思想を悪者として拒む」ことも、どちらも危険性をはらんでおり、どちらか極端に偏ると暴力になってしまいます。
何処かで行われている信じられないような風習や伝統、それどころでなく、現代では個々人の思想や性癖、様々な問題が多様性やマイノリティという言葉に関連付けられて渦巻いています。

そういった「多様性」をどう扱うのが正解か。『グリーンインフェルノ』はこのような問題提起を私たちに投げかけてきます。

そうです、『グリーンインフェルノ』はガチガチの社会派ホラーなんです。
『食人族』がモキュメンタリー風モンド映画だとすれば、『グリーンインフェルノ』はフォークホラー風エンターテインメント映画だと思います。
実際、監督は登場人物に関して「この作品は、ネット文化にどっぷりつかり、自分はなにひとつ考えても動いてもないのに、どこかから流れてきた社会性の高そうな記事やツイートをただシェアしてるだけで、活動家になった気になってる人たちへのアンチテーゼだ。」と述べています。

この時点でもめちゃくちゃ深くて最高の映画であることには変わりないんですが、ホラー映画あるあるのクズ役が本当にクズで……
私、大好きなんです。

それが活動家グループの首謀者アレハンドロ。

彼は、主人公ジャスティンを利用して活動家としての名声を得たり、石油会社のライバル企業と繋がっており本質的にはヤハ族の安全を守れていなかったり、外では良い面なのに本当は腹黒キャラという最強のクズっぷりを見せてくれます。

更に、私が惚れたシーンは、ヤハ族に捕まり仲間が食べられたことに絶望した女の子の1人が自殺をした際にシコり始めたシーン。
周りは人を食べる部族に囲まれており、仲間の1人は自決し極限状態。そんな時に平然と自慰をする漢アレハンドロ。
「こんな時だから……。お前らも狂いたくなかったら発散すべき」とか意味の分からない供述をするんですが、いや、それってさ…………

お前の性癖なだけでは???

人としての倫理観を完全に失っているサイコパスクソ野郎なのですが、そういう奴は同時にカリスマ性も凄まじいんですよね……。
彼は最終的に逃るジャスティンに見捨てられ部族の檻の中に1人取り残されます。
ジャスティンが「1人で生き延びた」と答えたことで、アレハンドロは世間では死亡したことになるのですが……。ラストでは、大学生活動家グループがアレハンドロの顔がプリントされたTシャツを着、デモ活動や学生運動を行う姿が映し出されていました。
本当にカルト的人気があったんだなぁ……。

また、映画のクレジットでは、途中でさえぎってアレハンドロの妹からジャスティンに電話がかかってくるシーンがあります。「衛星写真に兄のような人がいるの」と言う妹。そこには、かつてのヤハ族の酋長のように全身を黒塗りにしたアレハンドロの姿が……。

アレハンドロ、お前マジ…………???

あんだけ絶体絶命の状態にされたのに…………???

そのカリスマ性によって部外者なのにヤハ族の酋長に………………?????

すげ。

単純に、すげ。

こういうしぶとい部分もサイコクズ野郎っぷりが発揮されてて最高ですね。
あぁ〜。今度から嫌な異性に「好きなタイプは?」って聞かれたら「『グリーンインフェルノ』に出てくるアレハンドロかな❤」って答えちゃお〜〜〜〜〜〜っと✨✨✨✨✌️


社会派ホラーであったり、クズキャラが良い味出してたり、グロ100点満点だったり、とにかく久しぶりに良いホラー映画を見れました。良かった〜〜〜〜〜。

ですが、最後にこれだけは言わせてください。


あぁ〜〜〜〜!!意識高い系がボコボコに殺られるの、キモチェェーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

私は意識高い系人間が本当に嫌いなので、大変スカッとジャパンできました。
近年稀に見る史上最悪のスカッとかもしれませんが、これが私のアナザースカイ。

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