映画感想③『新感染-ファイナル・エクスプレス-』

こんチワワ。毎日投稿3日目です。本日の映画は1日目・2日目と全く違ったジャンルの映画です。

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『新感染 -ファイナル・エクスプレス-』

2016年に公開された韓国のゾンビ・パニック映画です。現在続編が公開されており再び注目を浴びていますね。

私、ホラー映画好き好きくんなのですが、この映画公開当時はノーマークでした。韓国では大ヒットし、日本でも人気を博しました。それは知ってたんですよ、知ってたんですけどね~……。アジアのゾンビか~~~……う~~~~~~~~~ん……と思って見てませんでした。で、今回Netflixの検索で人気の欄に食い込んできてたので鑑賞。

えぇ~~~~~めっちゃいいじゃん…絶対劇場で見るべきだったワ………。

ジャンルとしては「ゾンビ映画」なのですが、母体はしっかり「韓国映画」です。と言っても自分は韓国映画にめちゃくちゃ詳しい訳ではないので専門的なことは言えないのですが。一言で言うと、「ゾンビ」というホラージャンルを使った「人間ドラマ」なんです。

物語は、ファンドマネージャーであるソ・ングが娘スアンと共に別居中の妻に会いに行くため釜山行きの列車に乗るところから始まります。その頃、韓国の各地では”暴行事件”が頻発しており不穏な空気が流れていました。列車には怪我を負った若い女性が乗り込んでおり、苦しむ彼女を見かねた乗務員の女が近づくと彼女は凶変し……。続々と乗客達が未知のウイルスに感染していく中、主人公ソ・ングと娘スアンをはじめとした逃げのびた人々は協力して生きる方法を模索していくのでした。

注目したいのは、この、人々が協力して…という部分。ソ・ングとスアンの他に、妊婦のソンギュンとその夫ユン・サンファ、高校生野球チームのキム・ジニとミン・ヨングク、高齢姉妹のインギルとジョンギル等々、様々な人が未知の感染症から逃げ惑います。最初は仲違いをしていたユンとソ・ングも徐々に絆を深め、助け合う仲になっていきます。スアンは小さいながらも周りをよく見ている少女で、高齢姉妹の姉に席を譲ったり、ソンギュンのお腹を気にかけたりその優しさで仲間との距離をつめていきます。

そもそも、この映画に登場するキャラクター皆優しすぎるんですよね。誰かが逃げ遅れそうになったら絶対に見捨てないし、寧ろ自分を犠牲にしてまでも大切な人を守ろうといった強い意志を持って行動してます。一人一人が歩み寄り、極限状態だからこそ人と人との繋がりを最優先する。これが人間ドラマでなければ何なんでしょうか。

あぁ、でも安心してください。ホラー・パニック映画あるあるの自己中心的な悪役もちゃんと登場します。他人を蹴落として自分だけ生き残ろうとするという綺麗な死亡フラグもきちんと立ててくれます。

それどころか、”ゾンビ映画あるある”がこの映画には散りばめられています。ゾンビ映画ファンの皆さんはどうぞ落ち着いて……。

例えば、動かなくなったゾンビから目を離すと次の瞬間後ろから襲われる。なんてこともあります。

ゾンビは足も速く凶暴だが、目があまり良くないという致命的な欠点、もあります。

安全だと聞いていた土地が既に侵されていて無法地帯になっていたり、ギリギリのところでゾンビを避けたりももちろんあります。

更に更に、

大切な人や一緒に戦ってきた仲間が感染し葛藤するシーン

もしっかりと描かれています。

これほどかと思うぐらいにゾンビ映画のお約束をねじ込んできます。お約束の多量摂取で胸焼けです。しかし、これだけゾンビ映画のお約束を挟んでおきながら、ホラー要素やゴア要素はかなり薄めになっています。

ゾンビに関わらず、音や雰囲気でビックリさせる場面が多いのがホラー映画です。また、血や臓物が飛び散るのもホラーのお約束。ですが、『新感染』ではビックリシーンもゴアゴアスプラッターシーンもほとんどありません。ホラーが苦手な人でも安心して見れる映画になっています。これでホラー嫌いの人間にオススメできるホラー映画のレパートリーが増えました。まるで、酒が弱い人間にほろ酔いを勧めるように……。

ありがとう、監督。

後、時事的な話をすると、感染物なのでやっぱり今のご時世とかぶる部分が多々ありましたね。映画の中で、生き残った人々同士対立する場面があるんですけど、その理由が感染しているかもしれない人間はたとえ理性があっても近づくな。というもので。なんだか、今の状況と重なりますよね。咳をしている人間は外に出るな~とか、田舎などの閉鎖した空間では一度感染した人は完治しても村八分状態になるとか。

私たちはゾンビにはならないですけど、ワクチンも開発されていない未知のウイルスと戦っていることには変わりありません。こういう不安定な状態であるからこそ、映画の登場人物のように強く優しく芯を持って行動すること、人と人との繋がりを大切にしていかなくはならないかもですね。

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