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HIPHOPのMV 25曲をレビュー(2022年10月公開作品)

TwitterでHIPHOPのレビューを毎日書き続け、4年目に突入したドラム師匠です。今回は、2022年10月に公開されたオススメMV 25曲をレビューしました。

  • ヤバい曲をまとめて知りたい

  • 曲にまつわるストーリーを知りたい

なんて人にオススメの記事です。もし、お気に入りの楽曲と出会えたら、"スキ"やフォローをお願いします。ではHIPHOPに浸って下さい。どうぞ!

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剛斗 feat. Mid-S,Chainsaw Dew / Struggle(Prod. NAGMATIC)

2022/10/1 公開

毎月第4月曜日に渋谷LOUNGE NEOにて開催されてきた伝説のPARTY『叩き上げ』。そこに出演していたメンバー達が集ってできた集合体が O.S.B.C.(Out Side Boys Club) だ。

その音は黒くて太く、泥臭く、トレンドに流されない硬派なBoomBapである。2021年、O.S.B.C.として初アルバム『O.S.B.C.』をリリース。そして10月19日に2ndアルバム『O.S.B.C. 2』をリリースする。

アルバムのオープニングを飾るのがこの「Struggle」だ。世の中の矛盾を、大きな石で叩き割るような硬い 剛斗 のフロー。太っといビートと共に奏でられる繊細なストリングスが余計にヒリヒリさせる。

"本物のHIPHOPはこれだろ"という気概が腹の底から伝わってくる。


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JETG / no angle of view (feat. sh1t) | 03- Performance |

2022/10/01 公開

「叫び足りねぇなまじで」

思っていることを吐き出さないと死んでしまうのではないか?そう思わせるほど気迫に満ちた作品。

秋田出身で、現在横浜を拠点に活動するラッパー JETG 。このトゲトゲしい声は、成り上がるためなら犠牲すらいとわない闘士と呼ぶにふさわしい。客演の兵庫のラッパー sh1t も渋い声の持ち主。カタカタと高速でまくし立てた後、低音を生かした地声で歌う瞬間にドキッとさせられる。

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Sound’s Deli / TOKYO DA$H!!!(Prod. MET as MTHA2)

2022/10/04 公開

▌オセオセの美学

Yo-Sea、3House、HIYADAM らを擁する新進気鋭のレーベル、AOTL がセレクトしたコンピレーション『X-FACTOR 2 “Deluxe”』に収録曲。

ゴリゴリのギターリフに負けないぐらい、これでもかと畳みかけるラップ。Sound’s Deli の5MC(G YARD、Gypsy Well、Kaleido、Moon Jam、Tim Pepperoni)の若さがスパークする爆発力、アクセルベタ踏みのスピード感にジッとしてられなくなる。

Beastie Boysのクラシック曲「Sabotage」を思い出した。


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Jin Dogg & THE UNCLE / 雨の日の道玄坂

2022/10/05 公開

SIBAとDJ RYO-TAによるユニット THE UNCLE とラッパー Jin Dogg がコラボした第2弾。軽快なギターリフに乗せて、Jin Dogg が叙情的なメロディで歌っている。

雨の中で貴方(あなた)の姿を思い出す。

いつもの哀愁はなく、何かを言っているようで何も言ってない幻想的な心象風景。

間奏でたっぷりと奏でられる奥住大輔のSAXが印象的。最近、サブスク対応で曲がどんどん短くなる中、楽器のソロパートを聴かせる楽曲は新鮮。後半は、SAXと歌がセッションをしているよう。音楽的なふくよかさを感じさせてくれる。


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Skaai / BEANIE(Prod. uin)

2022/10/06 公開

AbemaTV『ラップスタア誕生2021』を勝ち進むうちに、研究者から音楽家への道を選んだラッパー Skaai 。遂に1st EP『BEANIE』を9月21日にリリースした。

ファンファーレのような勇ましい管楽器から始まるこの曲は、荘厳な扉がゆっくりと開くようで、EPのオープニングにふさわしいナンバー。

Skaaiは、息継ぎをせずに言葉を高く積み重ね、圧倒的なスキルを見せつける。25歳で新人という、生半可ではない覚悟がフローから伝わってくるだろう。"これは遊びじゃない"と。同業者を挑発しする生意気さを見せつつ、シーンを全体をネクストレベルまで引き上げようと、海外を見据えた視野の広さもいい。


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Thug Klaxon / Sylvester $tallone(Remix)feat.snacc thief

2022/10/08 公開

静岡県浜松の若手クルー8ballgangのメンバー・Thug Klaxon 。2022年3月にリリースした2nd EP『KID A』に収録された楽曲「Sylvester $tallone」のリリックを一新し、さらに以前にも共演のある snacc thief を客演に迎えている。

トラックが、ロッキンなパワードラムで始まるだけあって、THE BLUE HEARTSの名曲「トレイントレイン」をサンプリングしたリリック。「今はひたすら前へ」とリスクを顧みず、前しか見ていないところが若者らしくていい。


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HAC RENNA / Left Handed(Prod. DealWinSowl)

2022/10/08 公開

1998生まれ、鹿児島のラッパー・HAC RENNA 。3年間、巡査として警察で働いた異色の経歴の持ち主。

この曲の中に、実際に体験した人にしか書けない捜査の描写がスリリング。自分の任務を全うしながらも、公権力を持つことへの違和感や葛藤が渦巻いている。彼は真実を求めるがゆえに、ペンを持つことを選んだ。「Fuck the バビロン」立てた中指の意味は重い。


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ORCO / Deth Scythe

2022/10/08 公開

北海道を拠点にし、中性的かつ鼻にかかった声が個性的なアーティスト・ORCO。ILLでダークなDrill。その中にエヴァやJOJOといったアニメネタを織り交ぜ、シュルレアリスムのような現実とは異なる情景が展開する。

ビジュアルを含めた独特な世界に誘われる。


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Jesse McFaddin / ZUTTO(Prod. NAOtheLAIZA)

2022/10/10 公開

スピーカーから声がよく通る。誰かと思えばRIZE、The BONEZのボーカリスト・Jesse McFaddin だった。The BONEZの全国ツアーの真っ只中でリリースされたソロ名義での新曲は、HIPHOPな仕上がり。

キャリアの長い Jesse だから、いい時も悪い時も体験したはず。それでもやり続けているから生まれる奇跡があり、やり続けないと辿り着けない場所がある。「ずっと」のリフレインに宿る説得力。いま上手くいかなくてもがいている人へ、そっと優しいエールを送る。

失敗はやった印
やり続けるだけだよ何回も

「ZUTTO」のリリックより引用


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Andylit / YaBuSaMe

2022/10/12 公開

カンコンカコカンとカウベルのようなコミカルな音色に油断するなかれ。

Drillビートと同時になる獰猛なベース。横浜のクルーFEGOD FELLOWZを率いる Andylit(アンディーリット)は、できるだけ抑揚を抑えて、言葉をカタカタと走らせる。時折、低音ボイスで喉を震わせるのが、ダークに色っぽい。


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BFN DWELLS / SPF

2022/10/12 公開

足立区代表するBoof Boysのメンバー BFN DWELLS 。
気だるく喉元でラップをするダウナーさ。話題が次々と展開するのは、キマった時の酩酊感の表れか?ゆらゆらと揺らぐグルーヴ感。「yae yae yae yae yae」というHOOKは、オオカミが狩りに出る前の儀式ようで味わい深い。


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LIL STANKY / Damn...(Prod. DJ EZEl)

2022/10/15 公開

福島を拠点に活動する LIL STANKY 。口を歪めながら不満を吐き出す。荒削りな威勢のよさに下町っぽさがあり、剥き出しのハングリーさに興奮する。 「俺はラッパー 吐いた言葉に嘘はねえな」

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MU-TON & SILENT KILLA JOINT / STAY GOLD(Prod. GATTEM G JONES)

2022/10/16 公開

SILENT KILLA JOINT のツイートに MU-TON が約束の時間に来ないと頻繁に書かれたり、モノマネを披露するなどプライベートでも仲の良さが伺える2人。2020年8月にリリースした「ILL CRUISING」以来のコラボ曲だ。

因果応報という言葉があるように、何かを得たら何かを失い、何かを失ったら何かを得る。そんなエピソードがつづられたMU-TONのバース。人が感じる痛みにも意味があり、救いがあること示している。
「俺の中には天使と悪魔が2人」と話すように喉を濁らせるバースと、HOOKの歌の綺麗さのギャップにハマる。

笑われた奴ほど笑ってて
嫌われてる奴ほど幸せ

「STAY GOLD」のリリックより引用


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MUD / Concrete Jungle feat. Mion

2022/10/17 公開

大型HIPHOPクルー KANDYTOWN の中でも、哀愁のメロディーメーカーであるMUD 。彼の新曲は、旅芸人さながらLiveのために街から街へと旅をするロードムービーソング。

移動距離の分だけリリックが生まれている。彼と一緒に旅をしているような気分が味わえる。


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Bonbero / Swervin | 03- Performance |

2022/10/19 公開

▌swervin=キメすぎてよれよれになること

夜猫族に所属する注目の若手MC・BonberoAbema TV『ラップスタア誕生』では3rd Stageで敗退してしまったが、惜しむ声が多く寄せられ爪痕を残した。

そんなBonberoの約一年ぶりの新曲は、地元である千葉を紹介しながら、仲間とキメる酩酊感を表現している。高速でタイピングするかのように、アタック音の強い語感が心地いいラップ。ビートメーカーasciiによるトラックは、音色を最小限にとどめ、ラップを引き立てている。ダブステップ調のベースがツボを心得たアクセントになっている。


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BASE / Everything Gonna(Prod. GRE WAVE)

2022/10/21 公開

愛知県名古屋市を拠点とするレーベル JETCITYPEOPLE に所属する BASE は、南大阪を拠点とする Purple smoke 主宰 OGRE WAVEとのダブルネームアルバム『Purple Court』を6月10日にリリースした。

アルバムに収録されたこの曲は、ぐぐもったサウンドが特徴的。OGRE WAVEが得意とする煙たさがあり、さらに奥行きがあって時空を超えた郷愁がある。BASE のラップがギラついた野生味は影をひそめ、サウンドの揺らぎと共に旅をしているようだ。

上品なHOOKの韻使い。ある街の物語を語りながら、同じ過ちを繰り返す人の愚かさや、諸行無常といった人の真理を感じることができる。

名もない日々に転がるドラマ
Foolじゃなくcrazy イカれたstreet lover
捲るページに何故かトラウマ
独りきり嘆く言の葉児玉

「Everything Gonna」のリリックより引用


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SILENT KILLA JOINT × MATSUIGODZILLA / 群青 feat MILES WORD

2022/10/23 公開

▌群青色:やや紫みを帯びた深い青色

BEATBOXERの太華、 プロデューサーのGATTEM G JONES、マッドサイエンティストTEKINからなるユニット・MATSUIGODZILLA(マツイゴジラ)。彼らとSILENT KILLA JOINT とのダブルネイムシングルからの一曲。

SILENT KILLA JOINTは、空を眺めながら時間が流れていくのを目で追っていたのだろう。厚く覆う雲の隙間から見える光に希望を見出し、大きな雲になり損ねた雲に自分を重ねる。中華風メロディに乗せて叙情豊かに歌っており、悠久の彼方に思いを馳せる。スネアの間に入る流動的なパーカッションが心地いい。


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ONENESS x FREEMANZ PRODUCTION / UNITY

2022/10/24 公開

ラッパーの7awが加入し、3MCの体制になったことが話題のONENESSと、NICKELMANとFROGMANからなるビート・ユニット FREEMANZ PRODUCTIONによるコラボアルバム『UNITY』からの一曲。

ホワイトノイズにおおわれ、遠くで鳴っているような、記憶の奥底から湧き出たようなサウンド。ONENESSのラップは、主張をしすぎず、普遍的な日常にほんの少し淡い色を足してくれる。

昼下がりの心地よさを味わいたい人にオススメ!


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Disry / D IN JERSEY(Prod. shootersbounce)

2022/10/25 公開

DRILL ✖️ アフリカンビートという感じのプリミティブかつ野蛮なビート。(JERSEY DRILLと言うらしい)
愛媛県から沖縄、そして東京を拠点に移すことを宣言した Disry 。トップスピードに乗せた勢いあるラップは、言葉が次々と押しせ脳内を貫通するようだ。

有無を言わせず踊らせる感じが最高すぎて、リリックを聴くのを忘れてしまった。でも、この曲は何も考えずに踊っててもいいよね。エッジの効いたドラムンベースが聴きたくなった。


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DJ OGANIK feat. Yvngboi P, FreekoyaBoiii, T-K TONY / Skrrrt(Prod. Gerardparman)

2022/10/26 公開

ビートのグルーヴ感を極度に抑え、奇妙な音色が先導する曲。
これは、九州を拠点に活動するHIP HOPプロデューサーチーム・ADD CREATIVE のメンバー DJ OGANIK が中心となって制作されたもの。

メロディというより空気の振動に近い音色に合わせて、3MCが好き勝手に
暴れている感じがいい。こんな感覚はじめて。


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Ganger (MC林太郎 feat.将軍) / Blah Blah

2022/10/26 公開

Gangerの MC林太郎 が世に放つ、ソロアルバムからの一曲。黒いベースが全面に押し出されたBoomBap。

聴こえくるフローと浪曲のようなメロディには、どこか懐かしさがあり。それは、あらゆる事に大らかで、雑多で、勢いのあった昭和の香り。日本でしか作れないオリジナリティあるHIPHOPに仕上がっている。


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M.A(BONG BROS) / オフダガフル

2022/10/29公開

京都の老舗HIPHOP集団・BONG BROS のプロデューサーM.A 又の名はラッパーMOTO ACCE(モトアクセ)。8月17日に発売された2ndアルバム『SECOND LINE』に収録されたこの曲は、ソウル魂に溢れたカッティングギターが印象的。バック薄く流れるのはフルートかと思いきや、尺八という異色のHIPHOP。

「お札」「お陰参り」「出囃子」と言った古来から伝わる単語を随所にちりばめ、冷静にラップすることで幽玄な雰囲気も醸し出す。

黒人が江戸時代にタイムスリップしたような不思議な感覚が味わえる。


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TERASU / MindFlayer(Prod. Ikuto.)

2022/10/29 公開

詳細不明ながら表現の豊かさに耳を奪われるラッパー・TERASU 。

悲しみの旋律が幾重にも重なり、深層に潜っていく。自分との対話から多人格が生まれ、それらが幾重にも重なる世界観。別人格のように声色を変えるのが、苦悩する葛藤の深さを物語る。どこか仏教に通じる宗教観あり。

一曲の中に詰め込まれたドラマが素晴らしい!

死んだら初めて目が覚めるのかな
表裏どっちが夢の中

「MindFlayer」のリリックより引用


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龍鬼 / DAYS(Prod. GAL D)

2022/10/30 公開

MCバトルで名を馳せ、AbemaTV『ハイスルールダンジョン』では、モンスターとして活躍した 龍鬼

デビュー曲「Re:train」では、ラウドロックのボーカリストに徹しており、ラップはしないのかと驚き、またそれが面白く感じたものだった。

そこから2年ぶりにリリースされたこの曲では、メロディアスなラップを披露していてまた驚かされた。

映像ではルックスにも変化が見られ、少し大人になった姿が映っている。自暴自棄になりそう気持ちをグッとこらえ、前向きにとは言えなくても、ひたむきに生きる姿が描かれている。

等身大のリリックに誠実さがあり、切なさが胸を締め付ける。次はどんな楽曲を発表するのか、未知数すぎて楽しみだ。


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Ashley / KARMA feat. Jin Dogg(Prod. TSUGUMI , Joe Ogawa)

2022/10/31 公開

アメリカ人の父、日本とアメリカのハーフの母を両親に持ち、英語と日本語を自在に操る次世代バイリンガルシンガー/ラッパー Ashley 。

デビュー曲では、繊細さと色気と可愛らしさが同居していたが、Jin Doggを客演に迎えたこの2ndシングルでは一変する。

Jin Doggの荒々しさに引けを取らない、張り詰めた歌声を披露。Jin Doggと共鳴できる女性シンガーがいるなんて想像できた?ここで歌わないといけない業が剥き出しになっている。何かを捨て、突出することを選んだカッコ良さを体感して欲しい。


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終わりに

最後まで読んで頂きありがとうございます。お気に入りの曲が見つかったらうれしいです。"スキ"ボタンとフォローをお願いしますね。皆さんのアクションが本当に力になりますので。

今回、紹介しきれなかった曲たちがまだまだあります。毎月2回、プレイリストを作っているので、さらに深堀したい人はYouTubeチャンネルをご覧ください。では次の記事でお会いしましょう!

以上、ドラム師匠でした。
Twitter:https://twitter.com/drumshisho


HIPHOPを広めたい一心で執筆しています。とは言え、たまにこれを続ける意味があるのかと虚無感に襲われます。 このまま頑張れ!と思われた方、コーヒー1杯おごる感じでサポートお願いします。自信をつけさせて下さい。