見出し画像

【Playlist/エッセイ】ホテルで聴くお気に入りを5月に忍ばせて

別にラグジュアリーなリゾートじゃなくても、日常から離れた環境に少し身を置いてみると色んなことに気づけたりするもの。今回はGW中にホテルで聴いたお気に入りをまとめてみました。既にご紹介した曲がほとんど&お気に入りが多過ぎて2時間超えのプレイリストになってしまったので、曲ごとの説明は割愛してホカンスの話をしてみます。プレイリストを聴きながら、下のエッセイを読んでみてくださいまし〜

インドア派にも根っこが生える

ホカンス、というホテルとバカンスを組み合わせた言葉が流行ったのはごく最近だが、自分の家が最高の城だと思い込んでいる私のような腐った人間は、外出に大したメリットを見出せず金の無駄遣いだと決めつけ、出不精を極めていく。ここ3年ほど、家と会社の往復だけでも特に不自由なく不満も感じず過ごしていた気がする。インドア派は誰かに会えない、どこかに行けないことで大きなストレスを感じることがないから、お財布には優しいのかも。外向的なタイプは、この状況は耐えられないだろうなとも思う。そしてそのタイプじゃなくて良かったなと心から思うのだから、私は生粋のイントロバートなのだろう。私はこの3年、精神的に病むこともなく、普段通り仕事を淡々とこなしていたけれど、リモワになってからさすがに家に飽きてきて、そろそろ根っこが生えてきそうだなと思い、近場で良いからどっか行こうと思い立ったわけだ。

人間は不思議なもので、ひとつ飽きると全てが連鎖して嫌になる。いつもの空間が澱んで見えて、何をやっても面白くない。鬱になったことがないから分からないけど、多分これが酷くなると鬱に近い状態になるんだと思う。飽きたタイミングで突破口を見つけないと状況は悪化するばかり。日常を再び愛するための、日常から乖離された刺激が必要だ。

面倒くさがりの行動指針

「簡単に・手っ取り早く」に忠実にアラインしていくと、面倒くさがりでも行動しやすくなる。そのためにまず、どこに行って、何をしたいのか、しっかり決めておく。面倒くさがり日本代表の私は、今回下記のように定めた。

・駅とコンビニに近い(もはや駅で良い)
・自宅からも割と近い(移動時間30分以上は無理)
・だらだらしたい
・たまに集中して作業したい
・音楽聴きたい
・サウナと温泉満喫したい
・ジム行きたい(豚化阻止)

普段の空間に飽きると、だらだらしているのに飽きているからつまらない。つまらないからだらだらした気にもならない。これを解決すべく、新しい環境でだらだらを試してみようというのが今回の主旨。なんともくだらない企画だが、価値ある試みと信じて私は続ける。

効率的なホテル選び

場所は自ずと駅近かつコンビニのあるホテルに限定される。料理は嫌だが毎食コンビニ&ホテル食も飽きるため、駅の周りにショッピングセンターやレストラン街がある場所を選ぶ。これで食の問題はクリア。

移動時間も最低限にしたい。自宅最寄りの駅から30分以内で行ける場所に限定し、駅に直結していてほしい。もう駅で良いレベル。かつレストラン街のあるホテルだから選択肢も絞られる。条件を定めておくと、ホテル選びの時間も短縮できて良い。

今回はだらだらが最優先、次いで音楽を聴き、集中して作業できる時間を作りたいため部屋からの眺望や広さは正直どうでも良い。しかしあえて望むなら、目の前が街でも山でも海でも、開けていた方が開放感はありそうだ。カーテンを開けたら目の前がビルの壁、などで無ければ良い。駅近ホテルの場合は騒音が気になるが、とはいえ長期滞在ではないから、数日眠れないくらいどうでも良い。自分にとって「どうでも良い条件」を明確にしておくと、部屋選びにも迷わない。

あとはホテルにどういった機能を求めるか。朝食は基本食べないが、ビュッフェがあるならありがたい。温泉とサウナは必須であって欲しい。外泊だらだらの基本は風呂にあるからだ。朝に夜に入りまくって元を取る。あとはジム。これだけだらだらを極めているとあっという間に豚になり、出荷されてしまう。命取りともなりかねない余暇、緊張の糸を完全に解くことは許されない。ランニングマシンとサイクリング、十分なスペースがあれば文句はない。大体ジムはホテルの最上階にあるから、眺望が何であれ開放感は担保されるはずだ。

以上の条件から、自宅から30分圏内で温泉・サウナ・ジム付きの駅近ホテルを探せば良いという結果になる。何をしたいのか、どうでも良いと思える条件は何かの両方を考えてみて、その条件で絞って検索すればホテル選びもさほど難しくない。

ホテル泊の効果

自宅の快適さに気づく

どこに何があるか分からないというストレスが全くないということ。緊張感なく過ごせるということ。自宅はやはり快適だということを再認識できたことが、今回の旅で得た一番のお土産である。自宅に飽きていたわけだから、飽きた自宅に戻っても何も変わらなかったらどうしようと不安だったが、戻って思ったのは我が家〜!という安心感だった。短期間でも環境を変えてみると、こういう発見と変化があるのだ。

集中力が爆発

図らずも旅行が母の日と重なり、今回の旅には両親がついてきている。部屋は別、食事以外は別行動のはずだったが、せっかくだからあっち行こう、こっち行こうと秒でルールは崩壊、一人の時間はそこまで多くなかった。が、環境が異なると人間は恐ろしい集中力を発揮することがある。宿泊費を無駄にしてなるものかと、限られた作業時間で私は3日分の仕事をやり遂げた。今この場所で、これをここまでやらねばならないという環境をあえて作ることの大切さを学んだ。

削ぎ落とせば、楽

ホテルのアメニティで大体過ごせてしまうから、持ち物もコンパクトで済む。もし何か足りなくても駅近だから買えば良い。意外と身の回りの物はホテルに用意されている最低限のアメニティで事足りるのだなということに気づく。普段どれほど自分が無駄なことに神経を使ってこだわっていたのかということに気付かされる。削ぎ落としてしまえば、楽になる。ミニマリストになる気はないが、その心意気は少し理解できたような気がしている。ちなみに私は帽子を持って行ったのに帽子を買うという、ミニマリストには一生なれないマインドで旅を終えた。

終えてみて

今一番思うのは、なぜ今までこういう旅をしてこなかったのだろうということ。今回のようなビジネスとリゾートの中間のホテルは、価格帯も良心的でアクセスも良い。面倒くさがりの足伸ばしにはちょうど良い。こういう微妙なグレードのホテルに泊まる意味があるだろうかと今まで疑問に思っていたが、想像以上に価値がある。グレードを上げるほど素晴らしい眺望と引き換えに、洋服に気を遣ったり、食べる場所に困ったり、コンビニがなかったりして意外と不便で面倒なことが多い。それがちょっと良いビジネスホテルだと全てがバランス良く整っていて、面倒くさくないのだ。これならば年に1,2回は気晴らしに行ってやろうかという気になる。貯金も良いが、年に一回くらいは近場でも良いからどこかに泊まって、働く意味を見出す時間を設けたいと思うようになった。

環境の変化は、意外と人間に大きな影響を与えるものだ。マンネリ化してきた時は、思い切って全く別の環境に身を置いてみて、自分だけの時間を楽しんでみると良いかもしれない。

ホテル・ザ・プレイリスト

今回のプレイリストは、滞在中ホテルで聴いていた曲を集めている。過去のお気に入りに、今の季節にぴったりな爽やかなポップソングを混ぜて、5月にちょっと出かけたよという記念のプレイリストに。

ホテルの窓から街を見下ろすと、工事現場で汗を流すおじさんたち、真顔で駅に急ぐスーツのお兄さん、ベビーカーで子供を連れて歩くお母さん…と、私とは全く異なる日常を紡ぐ人間がたくさん行き交っている。音楽を聴きながら眺めていると、こういうシティービューも悪くない。飽きたからといって止まるものではない、淡々と続いていく日常に、5月の透き通った風が吹く。きっといつこのプレイリストを聴いても、私はこの旅を思い出すだろう。

DropStudio.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?