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タチヨミ「コーヒーを飲みながら」⑭

「コーヒーを飲みながら」第1巻 第3章《青島》満ち潮


島を一周して橋を渡る。
小さな冒険の終わりにコーヒーを飲んでいこう。
遠浅の広い渚を前に、どこまでも続く砂浜へ素足になって向かう。
 
よくここで、子供たちと遊んだ。
幼いころの子供たちは波打ち際をパシャパシャ走り、飽きもせずに走り
波と戯れていた。
「さかながゼリーになってる」
何の事だろうと思った。
打ち寄せた波が一瞬止まって、崩れ落ちる。
その時波の中に魚が見えることがある。
子どもの好きなミカンや桃の入ったゼリーに似ている。
「ほんと、さかながゼリーになってる」

最後の探し物は貝殻でも、見知らぬ世界でもない。
子供たちと遊んだ時間だ。
細かい砂が海水を含み潤むように光る。
くぼんで海水がたまった小さな足跡がどこまでも続いていた。


「コーヒーを飲みながら」第1巻 第3章《青島》満ち潮 より一部抜粋。
本では行替えはしていません。ノート用に行替えしてアレンジしてみました。
2021年8月に自費出版いたしました。コチラから購入できるようになっています。よろしければ、ご覧ください。

                             星原理沙

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