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移動、近況、ナウシカ、など

【移動】

ある日の帰り、電車で寝ていた。途中の駅で中年女性の集団が乗ってきた。それはもうご機嫌に歓談し、大爆笑しているので、すっかり起こされてしまった。もう結構遅い時間だぞ、真昼のカフェテリアじゃないんだから。迷惑だなあと思っていた。
ひとりのおばちゃんが突然、
「けどこうやって電車に乗るのもいいやんなあ。ほら普段わたしらは乗らへんけど、じーっと座ってさ、ぼーっと窓の景色みてさ、いいやんねえ」と言った。

そうやなあと思った。

【最近のよかった言葉】

お子さんが誕生した人のメールにあった、

「赤ちゃんも元気にもぞついております。」
 
もぞついてくれてありがとうね。

【鳥】

世の中、感染症とか戦争とか不景気とか最悪なことばかりで、この先の未来に希望が持てない。
そんなことを日々思っては、やるせない気持ちになっていた。

ふと本棚から、私のバイブルであるコミック版風の谷のナウシカを手に取った。

私のいちばん好きな言葉、
『私達は血を吐きつつくり返しくり返しその朝を超えて飛ぶ鳥だ!』
というセリフを読んで何度目かのガーンをくらった。 

このセリフには純粋で正しい新人類ではなく、たとえ絶望的なシナリオを迎えるとしても、自分たちの生命を尊重したいというナウシカのエゴが反映されている。

女神と讃えられ、人々の祈りの対象にすらなってしまったナウシカ。そんな彼女は、光と闇があるからこその生命なのだと言い放ち、自らのエゴのために、「人類」にとって誤った選択をした。最後の最後に、いや最後だからかもしれない、自らのわがままを通してしまうのだ。彼女もまた、まぎれもなく愚かさを持ち合わせた人間なのである。

前時代の人間たちは自らの手で人類を滅ぼした。ナウシカたちの時代になっても、人々はなお争いを続け、その争いのせいで住める土地も減ってしまった。人類は紛れもなく愚かである。

しかし、とナウシカは言う。しかし人々はどれだけ苦しくとも手を取り合って、生きようとしている。
終戦したにもかかわらず、土鬼の戦士が敵国のアジトに奇襲をかけようとしたとき、同じ土鬼の民衆は戦士の前に座り込んで止めようとした。もう殺し合いはやめよう、と。

ナウシカは人間のおろかさの中に生命の輝きを見いだし、愛する。いや、人間だけではない。王蟲などの蟲(むし)たちや粘菌の声に耳を傾けその命を尊ぶナウシカは、誰よりも慈悲深く、だからこそ人間くさい。
私はそんなナウシカが大好きだ。

話を現実世界に戻そう。

けっして、今の世の中がそのままで良いというわけではない。
戦争を容認してはいけないし、破綻した政治に目を背けてはいけない。

しかし、その中でも楽しみを見つけることはできる。
たとえちいさな声であっても仲間と言葉を交わすことはできる。

どんなに最悪な社会であっても、簡単に絶望しているわけにはいかない。そんな簡単にへこたれる我々ではないのだ。

そして、我々ひとりひとりの中にも愚かさは存在する。時に意地悪になってしまうし、人を傷つけてしまったり、怠惰になってしまったりする。愚かさを含めて自分や他人を受け入れることから、対話も愛情も、はじまるのだろう。

ナウシカを読むとどうしても気持ちが大きくなって、脳内の主語が大きくなってしまうが、まあ、そういう日もあっていいだろう。

とにかく、そういうことを再確認した。

【移動2】

毎日、電車に乗っている時に海の調子を見る。
様子を見ると言うよりも、天気を確認するように、今日は威勢がいいねとか、今日はちょっと元気ないか〜とか、そういう気持ちで調子を見る。

海と空が溶けるように白いときもあれば、毛羽だったように白波が立っているときもある。

今日はサイコーだ。
海と空が青くて、水平線の上に白い雲が浮かんでいて、サイコーに夏だった。

窓の外をみると同時に、私と同じように窓の外を眺めている人がいないかな、と車内を少し眺めてみる。
同じように窓の景色を見ている人がいたら、友達になれそうだなと思う。

しかし今日はこんなお天気なのに、皆、手元の四角い光に釘付けである。
かくいう私もスマホをもってこの文章をしたためているので、例外ではないのだが。

【近況】

前の仕事はすごく体力使うけど対人でコミュニケーションとるのがメインで、とにかく喋りまくるから、仕事終わりには健康的に疲れている感じだった

しかし新しい仕事にはリアルコミュニケーションがない 
オフィスってのはどこもあんなかんじなんですか?
とにかくお喋りがない、雑談がない…

それとも俺が、巻き起こせってのか……ストリームを……?

ーーー

投稿が遅くなった上に、うまくひとつの文章に紡ぐことができなかったので、sioの助言で、テーマは度外視して某SNSの呟きのようにしたためてみた。(ひものみた)


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