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Vulfpeck(ヴォルフペック)はしばらく新作が出ない…!?

KINZTOのDr.ファンクシッテルーだ。今回は「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」マガジンの、35回目の連載になる。では、講義をはじめよう。


今回は少々、衝撃的なタイトルになっていることをお許しいただきたい。

話の趣旨はタイトルの通りで、「Vulfpeckはしばらく新作が出ないのではないか?」というものだ。


これは各メンバーのインタビューや、ライブスケジュールなど、複数の情報を合わせたところから推測できたものである。

今回はそれらの情報を並べて、各メンバーの現状を読者の皆さまにお伝えしていき、そこから改めてタイトルの推測へ戻っていきたい。

(なお、今回の記事は私の推測が多く含まれているため、ソースが存在する断定的な情報以外は、あくまで予想にすぎないことをご理解いただき、他所で断定的な引用にお使いいただかないよう、ご注意を願いたい)

――それでは、始めよう。




①Cory Wongのインタビュー

まずは、2022年5月号のギターマガジンに掲載された、Cory Wongのインタビューから紹介していきたい。

――Vulfpeckのスタジオ作は「The Joy Of Music, The Job Of Real Estate」が最新となっていますが、次作の予定はありますか?

今の時点では次のリリースがどういう形になるのかまだわからないかな。計画していることもあって、それはかなりエキサイティングなものになるだろうだけど、具体的にいつになるかはまだ読めないんだ。

ギターマガジン2022年5月号(98ページ)

――さて最後に、様々なプロジェクトの活動を行なっていて多忙かと思いますが、今年の活動展望は決まっていますか?

この1年は自分のステージを中心にライブをたくさんやる予定で、Vulfpeckでも少しプレイするし、フィアレス・フライヤーズでのライブも何度かあるよ。

ギターマガジン2022年5月号(101ページ)


ここでCoryは次のアルバムのリリースが未定であると語っているだけでなく、Vulfpeckでの演奏が少ししかないと語っている。

このインタビューだけで半ば決定的だとも言えるが――まだ、過去にレコーディングが行われていた可能性は残されている。

Coryは精力的に自分のバンドでレコーディングを行なっているため、2020年からの悪疫の渦中においても、Vulfpeckはレコーディングをひそかに済ませていたりはしないだろうか?



②Vulfpeckのレコーディング・ストックについて

しかし、過去の動画やリリースを確認すると、すでにレコーディングが終わっているという可能性はかなり低いと思われる。

これは、「Wong's Cafe」のリリースを経て明らかになったことだ。

2021年末に「Wong's Cafe」がリリースされたときに、私は「Vulfpeck復活だ!」と考えた。

👆2021年末に発表された動画。画像出典 https://youtu.be/QJe6o3E4iCk

「Wong's Cafe」はVulfpeckとしてレコーディングされていた新曲が合計4曲含まれていたので、彼らは悪疫を乗り越えてついに集まったのだ、とまず考えた。


しかし、実は悪疫に突入するよりも前に、レコーディングと撮影が済んでいた未発表曲を集め、リリースしていたということが後に判明した。

これは撮影に使われたスタジオが2019年のレコーディングで使われたものと同じで、服装などからも、2019年のレコーディングだろうと推測されていたもので、

こちらについても最終的にはCory Wongのインタビューで確定した。以下は「Wong's Cafe」についての会話である。

僕らは今"Vulf Vault"と呼んでいるシリーズのサイクルに入っていて、例えばアントワウン・スタンレーの『Vulf Vault 001: Antwaun Stanley』もその例だね。これはVulfpeckの各メンバーをフィーチャーしたレコードを作るというコンセプトのコンピレーションなんだ。

――なるほど。

そのあとはウッディー・ゴスの『Vulf Vault 002: Inside The Mind Of Woody Goss』、セオ・カッツマンの『Vulf Vault 003: Theo!』と続いていった。そして僕の番が回ってきたとき、ジャック(・ストラットン)からどういったものを作りたいのか聞かれて、僕は"新曲だけで作ったらクールなんじゃない?"と考えた。というのも、『The Joy Of Music, The Job Of Real Estate』(2020)のためのスタジオ・セッションで、アルバムに収録されなかった曲がけっこうあったんだよね。そういう未発表曲をきちんとプロデュースして、ギターを中心に作り直したらどうだろうと提案したら、ジャックは"ぜひやるべきだ!"と言ってくれた。そういうわけでVulfpeckの未発表曲を僕の"Vulf Vault"としてリリースすることになったんだけど、これまでの"Vulf Vault"じゃなくて、あくまでも"コリー・ウォンのバージョンのVulf Vault"だったから自分のアルバムとしてリリースすることにしたんだ。

ギターマガジン2022年5月号(96ページ)


これらの情報から、おそらく、2020年~2022年5月までの時期において、まだVulfpeckはレコーディングのための「スタジオ・セッション」を行なっていないと考えられる。

すべて新曲を入れたい、というCoryの案が通ったにもかかわらず、悪疫以前のレコーディングからしか収録されなかったというのが、その理由だ。


でも、アメリカでは全州でマスク着用義務が撤廃されるなど、かなり悪疫が終わった後とも言える社会へ突入している。そろそろジャックもレコーディングを始めるんじゃないか?

と思いたいが、メンバーの忙しさを考えると、その時期も不透明だ、というのが現状なのである。



③Joe Dartのライブ頻度の多さ

先日、新しいシグネチャーベースが発売されたJoe Dartだが、実はJoeは夏までライブのスケジュールが埋まっている。

まず5月はJoey Dosikと一緒にライブ。(5/6、5/27、5/28、アメリカにて)


6月はタイラー・ダンカンのバンド、The Olllamでライブ。(6/11、6/16~6/19 アイルランドにて)


7月はVulfpeckと、The Fearless Flyersにて。(Vulfは7/8、Fearlessは7/30 どちらもアメリカにて)


そして8月は、テオのツアーでライブをする予定になっている。(8/25~28、アイルランドにて)


これを考えると、最短でも次のレコーディング・セッションは9月だ。

しかし、まだ発表されていないThe Fearless Flyersのライブが年内にあることや、

――さて最後に、様々なプロジェクトの活動を行なっていて多忙かと思いますが、今年の活動展望は決まっていますか?

この1年は自分のステージを中心にライブをたくさんやる予定で、Vulfpeckでも少しプレイするし、フィアレス・フライヤーズでのライブも何度かあるよ。

ギターマガジン2022年5月号(101ページ)


Coryのライブが9/16、9/18、10/15まで発表されていることを考えると、


はたしていつ、レコーディングが行われるのか?というのは、ちょっと読めなくなってしまっている。

Jackの性格上、必ず最短の効率でレコーディングを終わらせるはずなので、9~10月の間にさっとレコーディングを済ませる、ということもありえるが、

それが可能かどうかは、今後発表されるメンバーのスケジュール次第だと言えるだろう。




以上が、「Vulfpeckはしばらくアルバムが出ないのではないか?」という推測である。

このスケジュールで考えると、年内は厳しいだろうし、また来年のいつ頃になるか、というのも残念ながら分からない。

過去作は、レコーディングからリリースまで半年~1年ほどの期間が設けられていたことを考えると、最悪、来年のリリースも不安だ。


だが、

The Fearless Flyersの新作がリリースされていたり、それに合わせてJoe Dartのシグネチャー・ベースが発売されたりと、Vulfpeck全体がストップしているわけではない。

Jackはしっかりと、Vulfpeckのファンが離れていかないような施策を打っている、と考えられる。


「Vulf Vault」シリーズの残り、JoeyとJackのコンピレーションアルバムもまだ発表されていない。そろそろJoeyの「Vulf Vault」も発表されるはずであるし、

最後の「Vulf Vault」――Jack Strattonの「Vulf Vault」は、いったいどんなものになるのか?

これはそうとう期待が持てる。


Jackのことなので、彼がソロ名義(Vulfmon)で発表していた「Wait for the Moment」の試作品や、


「It Gets Funkier」の試作品


Joey Dosikと作っていた Mushy Krongold(やはりジャックのソロ名義)の作品など、


ファンを楽しませる秘蔵音源が盛り込まれるのではないか、とひそかに予想している。

なぜなら、Vulf Valutの「Vault」は、「貴重品保管室」または「金庫」という意味で、音楽においてはお蔵入りになっていた音源のことを指すことが多いからである。


以上はあくまで私の勝手な予想であることを改めてお伝えしておきたい。

すべては情報の断片によるものだが、これらを繋ぎ合わせて線にできるひとがあまり多くないだろう、というところで、ひとつの視点を紹介する意味で今回の記事は作成された。



メンバーのスケジュールを優先し、リリースを焦らない、というのは、持続可能性(Sustainability)を考えるJackらしいやり方だと言えるし、私たちもそれを応援していきたい。それが、Vulfpeckが長く続くための最良の方法なのだ。


少なくともJoeの演奏が観れるチャンスは多そうだ、というのが、せめてもの希望である。

これはライブ後、YouTubeですぐに観れるようになるし、彼らもそれを望んでいると思うので、それを楽しみに待ちたい。

Vulfpeckと、そのファンに幸あれ。





―――――著者情報――――――

Dr.ファンクシッテルー

宇宙からやってきたファンク博士。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。

「KINZTO」の活動と並行して、音楽ライターとしても活動。

■「ファンクの歴史」をKindleにて出版。👇


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