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#5 チョコレートのサステナビリティ~カカオ農家と森林を守る~

こんにちは。GTです。
今回はチョコレートについての記事です。

チョコレートが好きな方、しょっちゅう食べているという方も多いと思います。
でもそんなチョコレートはサステナビリティ、つまり持続可能性の課題を抱えています。
どんな課題なのか、その課題を解決するために私たちができることは何か、ということについて書いていきます。


チョコレートの需要と供給

チョコレートと言って思い浮かべる国はガーナだと思います。
チョコレートの原料であるカカオはそのガーナとコートジボワールの2か国で世界の生産量の約2/3を占めていて、約3/4がその2か国を含むアフリカで生産されています。

チョコレートは嗜好品なので、よく食べられる、つまり需要が多い国は先進国が中心です。世界の需要の約半分がヨーロッパで、北米・中南米が3割程度、アジア・オセアニアが2割程度で、生産地であるアフリカはわずか数%です。
中国などの経済発展が進んだ国でもチョコレートが食べられるようになっていて、世界でチョコレートの需要が高まっています。

チョコレートが抱えるサステナビリティ課題

そんな世界で需要が増えているチョコレートが抱えるサステナビリティの課題は大きく2つあります。

地球環境に関する課題

まずは地球環境に関する課題です。
チョコレートの需要が増加すればカカオの生産量を増やそうとなり、カカオの生産を増やすには畑の面積を広げることが必要になります。

畑の面積を広げるにはもともと畑でなかった土地を転換することになりますが、森林を切り開いて畑にしているというのが実態として多くあります。
実際に、カカオの主要生産国であるガーナでは過去40年間で森林面積が半減していることが明らかになっています。

森林はCO2を吸収してくれる役割があるので、森林が減るということはCO2の吸収量も減り、地球温暖化が進むことになります。
また、森林に生息する生き物も住処を追われ、個体数の減少や絶滅に至るということにもなり得るでしょう。森林が減ることは地球温暖化だけでなく生物多様性の観点からも問題となります。

カカオ農家に関する課題

次にカカオ農家に関する課題です。
チョコレートはカカオがなければ作れず、それを支えているのはカカオ農家の人たちです。

けれどカカオ農家の人たちの収入は少なく、不当に安い価格でカカオを買い叩かれている状況下に置かれています。
私たちがリーズナブルな価格でチョコレートが食べられる裏側には、カカオ農家の貧困問題が隠れているのです。

私たちにできること

では、チョコレートが抱える地球環境やカカオ農家の課題に対して、どういう解決方法があるのか、その中で私たちができることが何かを考えていきます。

まずは解決方法ですが、チョコレートを高付加価値化する、より具体的に言えば高付加価値のチョコレートの需要を増やすこと以外にないんじゃないかと思います。

高付加価値化することで、チョコレートの市場規模を下げずに需要量、つまりカカオの必要量を減らすことになります。
チョコレートの市場規模を下げないということはカカオ農家の収入の原資を確保することになり、需要量(カカオの必要量)を減らすことは森林から畑への転用を防ぐことに繋がります。
高付加価値化は2つの課題を同時に解決していくことができるアプローチになります。

高付加価値化するために私たちができることは、チョコレートを食べる習慣を変えることです。
安いチョコレートをたくさん食べるのではなく、それなりの値段のチョコレートをたまに食べる。単純に言えばこれが高付加価値化になります。

それなりの値段のチョコレートを選ぶときには、その販売者がチョコレートをサステナブルにしていくためにどんな取り組みをしているかを見ることも大事です。
私が最近買ったチョコレートの販売者は、売上とは別にカカオ農家への金銭的支援を行っていました。美味しかったことに加えて、チョコレートのサステナビリティを考えて実際に取り組みをしていることから、リピートが決定しました。

ただ、チョコレートが好きな方には食べる頻度をあまり減らしたくない、という方もいらっしゃるでしょう。
無理に減らす必要はありません。サステナビリティのための行動は、その行動自体がサステナブル(持続可能)でなければ意味がありません。
無理のない範囲で継続し続けることがサステナビリティに繋がっていくので、できることを少しずつやっていけばいいと思います。

じゃあ私たちの行動が変わってチョコレートが高付加価値化すれば解決するかと言うと、まだ課題が残っています。
それは、高付加価値化した分がちゃんとカカオ農家の収入になるかという点です。

原材料であるカカオから最終製品のチョコレートに至るまでのサプライチェーンは長く、カカオ農家はサプライチェーン上で顧客から最も遠い位置にいます。
その間には様々なプレイヤーがいて、それぞれマージンを取っていますが、せっかく最終製品であるチョコレートが高付加価値化して単価が上がったとしても、途中のプレイヤーが中抜きしてしまっては意味がありません。

そうなる事態を防ぐためには、資本主義で回っている以上やはり経済合理性が重要だと思います。
中抜きせずにカカオ農家に配分した方が得だという形になると、自ずとカカオ農家にお金がより落ちる仕組みになります。

どうすればそんな仕組みになるかという話ですが、この問題を一人でも多くの人が知って、重要な問題としてもっと取り上げられることが必要だと考えています。
数年前に海の中でストローが刺さったウミガメの写真が世に出回った途端に、プラスチックが取り沙汰され、今でもプラスチック対策は重要な問題として企業に取り組むよう強い圧力がかかっています。
そこに圧力をかけているのは投資家で、取り組みが不十分な企業はもちろん、プラスチック問題に対してどのように考えていてどのような取り組みをするかを開示しない企業には投資しないという流れができてきています。
投資家からお金が集まらなければ企業価値も下がるし、資金面での企業の競争力にも影響するし、消費者からのイメージダウンで売上が減る可能性もあるので、経済合理性から企業には取り組みを行うインセンティブが働きます。

チョコレートでもそれと同じ構造にできると、カカオ農家に還元する圧力がかかり問題解決の方向に少しでも進むんじゃないかと思います。
カカオ農家と森林を守るために、どのチョコレートをどのくらい食べるか、普段の行動を少し気にするところから始めてみてはどうでしょうか。

ではでは、また次回お会いしましょう。

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