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38.いきなりプロポーズ

ただの知人と思っていた通称、「手相の人」に、何故か猛アタックを受けることになった私。ただ、そのアタックも、なんだか不思議な体験でした。

突然ですが、「そして父になる」という映画を、ご存じでしょうか?

クライマックスシーンで、主人公の福山雅治さんが、道を挟んで歩く息子に、話しかけるシーンが出てきます。

あれと、全く同じことが、私の身に起きました。

当時の私は、パートナーを持つ気がないと思っていたのですが、本当は、パートナーを求めることで、再び心が傷つくのが怖かったのです。

彼は、それを見抜いているかのように、必死で歩きながら逃げる私に、道を挟んで、優しく語りかけてくれたのです。

それは、まるで威嚇をする野良猫に、優しく話しかけながら餌をあげるおじさんのようでした(笑)。

たわいもない話を混ぜながら、「まあ、そんなに早く歩かなくても」、「こっちの方が近道だよ?」と話しかけ続けてくれます。

私は、精一杯の虚勢を張って、「半端な気持ちで関わってんじゃねーよ!」とはねつけます。なんだろう、このセリフ。反抗期の子どもみたい。

すると、ずっと話し続けていた彼が黙り込んでしまったのです。どうしたのか、気になって、振り返ると、彼は、静かに泣いていました。

「は?なぜ?あなたが泣くの?」

「なんで、そんなに。まっすぐでいられるんだ。君は。」

彼は、自分がふられることを恐れて泣いているのではなく、私に怒っているのでもなく、私の代わりに、私の人生を想って、泣いてくれていました。

そんな風に泣いてくれる人に、私は初めて出会いました。

「僕と一緒に生きてください。」

田舎の道端で、いきなりプロポーズをされてしまいます。

ただ、その時の私は、すぐに「はい」と返事をすることができず、頭を何かで殴られたようなしびれた感覚があり、ぼんやりとした日々を過ごすことになりました。

そして、その直後から、彼との過去世にまつわる夢を立て続けにみることになります。

I love you.

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