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思い出の町エクス=アン=プロヴァンス
2004年のことだ。
わたしは、それまで飲食店で働き、まったく休みのない日々を過ごしていた。
好きな人ができて、夜の仕事ではなく、昼の仕事をしようと思ったのと、それまで、趣味でフランス語を学んでいたので、フランスで過ごしてみたいな~という思いから、飲食店を辞めて、一か月間フランスへ行くことにした。
場所は最初から決めていた。
エクス=アン=プロヴァンス、通称エクスだ!
どうしてエクスにしたかというと、フランス語を学んでいる中で、エクスの町にはどうやら噴水がたくさんあるということを知ったからだ。
一か月間ホームステイをして、地元の語学学校へ通い、そのあとに、一週間だけパリでホテルを取って、観光することにした。
わたしは、さっそく新宿へ行き、外国人が喜びそうな日本のお土産を買い、パスポートを取ったりと、準備を進め、いざフランスへ旅立った。
フランスに着くと、案内人の家族が迎えてくれて、車でさっそくエクスまで向かった。
町の中心には、巨大な噴水があり、そこを通って、おぉーついに来たな、と感じた。
その巨大な噴水の近くには、ミラボー通りという、エメラルドグリーンが綺麗なプラタナスの立ち並んだ、とても素敵な通りがある!
そこには、たくさんのお店が立ち並んでいるのだが、いちばん有名なレストランに連れて行ってくれた。
わたしは、ステーキのレアを頼んだのだが、日本のレアと違って、本当に血が滴り落ちる肉が出てきた。
夕方まで、町を案内して頂いて、ドロタさんのお家へ向かった。
ドロタさん夫婦は、40代ぐらいのとってもフレンドリーで素敵な方だった。
わたしが来たときに、親戚の方たちを呼んでいて、ちょっとしたパーティをしてくれた。
わたしは、当時知らなかったのだが、すぐ近くにセザンヌのアトリエがあったのだ。
たまたま、家の近くを散歩していたら、観光客らしいひとたちが、ぞろぞろと入っていく家をみつけて、ちゃっかり紛れ込んで、セザンヌのアトリエを見学した。
とっても寂しいアトリエに感じた。
わたしだったら、絶対に耐えられない雰囲気があった。
近くの丘から、画家になったつもりで、サン・ヴィクトワールを眺めた。
語学学校では、わたしはいちばん下のクラスにされ、年配の絵描きの日本人、メキシコ人、ドイツ人、同じ年ごろのインドネシア人がいた。
年配の日本人とは仲良くなり、学校が休みの日に、ふたりでマルセイユに観光に行った。
イフ島という有名な島があって、そこへ行くためのフェリーを彼が取ってくれて、ひとりで観に行った。
わたしは、それから何年もした後に、たまたまデュマの『モンテクリスト伯』を読んで、実際にわたしもイフ島へいったぞと、ちょっと感動した。
語学学校は、朝から、3時ぐらいまでだったので、そのあとは、ひとりで、地図を片手に町を散歩した。
年配のおばさんが、町を案内してあげるといって、一緒に30分ぐらい歩いたが、何をいっているのかさっぱり分からなかった。(笑)
映画館がふたつあって、何度か観に行った。
ちょうどアルセーヌ・ルパンの100周年記念で、『Arsene Lupin』が上映していた。
異国の地で、初めて観た映画だから、ずっと印象に残っている。
公園ではペタンクが行われていた。
広場では蚤の市が行われていて、古い切手や写真などあらゆるものが売られていた。
秋だったが、半そでで十分で、暖かい風が気持ちよかった。
町を離れる時の、ミラボー通りの終わりのところにある、お土産屋さんに入っていく時の寂しさといったらない。
エクスありがとう。
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