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『おくのほそ道』を詠む

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『おくのほそ道』を詠む⑥

『おくのほそ道』を詠む⑥

雲巌寺

当国雲巌寺のおくに佛頂和尚山居跡あり。

竪横の 五尺にたらぬ 草の庵 むすぶもくやし 雨なかりせば(佛頂和尚)

と、松の炭して岩に書き付けはべりと、いつぞや聞こえたまふ。

その跡みむと雲巌寺に杖をひけば、人々すすんでともにいざなひ、若き人おほく、道のほど打ちさはぎて、おぼえずかの梺にいたる。

山はおくあるけしきにて、谷道はるかに、松杉黒く、苔しただりて、卯月の天今なお寒し。

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