羊さんのささやかな夢

「文章を書きたい」と強く思うタイミングで書いていきます。

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最近の記事

妄想と現実の狭間で

 私は多くの日本人と同じように敬虔なクリスチャンではない。教会で挙げられた結婚式には参加するし、初詣は毎年欠かさず行うし、親族の葬儀にはお坊さんが呼ばれ、寺の隣の墓に納骨する。無神論者でも、何か信仰の対象を持っているわけでもない。周りのみんなと同じように。  けれど、身近に懺悔室というものがあるのならば、誰にもばれないようにそこに入って打ち明けたい過去がある。私は、人を殺したかもしれない、と。  小学校4年生のある日、私は友人とちょっかいを出し合って教室内を走り回っていた

    • モノをなくすのはなんのため?

      突然だが、私は昔からどこか抜けているところがある。 昔から、「そこそこ勉強もできますし、しっかり者ですよ」みたいな顔をしながら、実情はポンコツという言葉がふさわしい人間である。方向音痴、無くしものをする、忘れ物が多い、遅刻しがちなどなど、ポンコツ要素のフルコンボだ。 「自宅で映画を見ようと思って眼鏡を探し始め、見つかったころには映画が終わっていた」など、エピソードを上げればきりがない。 その一方、私の今の恋人は私とは真逆の人間で、典型的なしっかり者というやつだ。方向感覚

      • 『ベイビー・ドライバー』と生真面目な恋人

        映画を一日に3本も見たから、頭が少し痛い。瞼は重くなって、頭はずっしりとしていて、眠気もあるはずなのに、頭をぐるぐると回る考えを文章に起こさないと眠れる気がしない。 昼前にくだらないB級映画が見たくなって、安っぽいゾンビ映画を見た。期待を裏切らない安っぽさとくだらなさで、100点満点のB級映画だったと言えるだろう。 夜に見た2本の映画は『ヴィレッジ』と『ベイビー・ドライバー』だ。『ヴィレッジ』の方が良い映画だったのに、私の心に残ったのは『ベイビー・ドライバー』だった。

        • 難解な文章を読むことの意義

          この複雑で、問題の多い人間社会で生きていれば、何かから逃げたくもなるだろう。それは、家族や近しい人間との関係であったり、受験や就職などの人生の転機であったり。 そんな時に私たちは、ゲームや料理や掃除やテレビに逃げ込んで、現実から目を背けようとする。そうして、しばらく時間を消費した後に、先ほど得た快楽とは比べ物にならないほどの罪悪感と自己嫌悪に押しつぶされそうになるのだ。 まだ人生経験も浅く、本当につらいことなどまだ体験もできていないかもしれない私だが、おすすめの逃避方法を

        妄想と現実の狭間で

          「自殺」という特権的行為

           一度、恋人に本気で腹を立てたことがある。 数か月か数年、もうそれさえ忘れてしまったが、それくらい前に流行った漫画のキャラクターと「同じタイミングで私も死んじゃおうかな」とSNSで呟いた。誰かに心配してほしいわけでもなんでもなく、ぽろりとこぼれた言葉だった。 「死にたい」と、思うことはある。一度も思ったことがない人なんて、いないのではないだろうか。 家族を一人亡くして、自分の生きる意味をまるごと全部失ったような気がした。眠れない日が続いて、一人になると涙が出る。1時間半

          「自殺」という特権的行為

          「続けることが大切だ」なんて大ウソだよね。

          「続けることが大切だ」と人は言う。けれど、その「続けること」が一番難しいのだ。それが当然のようにできるならばきっと男子の半分はプロの野球選手になり、もう半分がサッカー選手になっているだろう。女子は何になるかな。半分がお花屋さんで、もう半分はパン屋さんか。 昔から、続けることが苦手だった。熱しやすく冷めやすいタイプで、自分で定めた長期的な目標を達成できたことなんて無いに等しい。どうしてもやりたくて1万円をかき集めて道具をそろえた油絵も、文学的な人間にならねばと思って買った英米

          「続けることが大切だ」なんて大ウソだよね。

          将来と、うちの太った猫の話

           私のことを良く知る人からはよく「人に影響されやすいね」と言われる。自分では我が強くて突き通すタイプだと思っていたけれど、どうやら違うみたいだ。実際に今も、「1日に30分は体を動かすと精神が安定する」とどこかで読んだ文章に影響されて運動をしている。毎日必ず40分程度のジョギングかウォーキング。 昨日は、午後の3時ごろから少し長すぎる午睡をしたせいで、ジョギングにでるのが夜中になってしまった。数日前に見つけたお気に入りの音楽を再生する。歩いているんだか走っているんだかよくわか

          将来と、うちの太った猫の話

          3年前に書き始めた日記の話。

          3年前から日記を書いている。始めた理由は、覚えていない。 ただ、昔から文章を書くことや日記を何年も続けることに強烈な憧れがあった。その強烈な憧れを上回るほどの強烈な怠惰さのせいで、ずっと始めていなかっただけだ。 一人で過ごしたり、考えたりする時間が長くなったタイミングで「ほぼ日手帳」を買って日記を書き始めた。一日の簡単なタイムスケジュールと、その日に起こったことや考えたこと。黄色のカバーがついた日記帳を開いて見返すと、黄緑色のペンで丁寧に文字が綴られている。 次の年から

          3年前に書き始めた日記の話。