見出し画像

氾濫原4『星の王子さま』🦊🌌

2023/12/3(日)、高円寺K'sスタジオ本館にて昭和精吾事務所主催の『氾濫原4』という企画に出演させていただきました。
企画自体は12/2・3の二日間あったんですが、私は日替わりゲストで3日のみの出演。
サン=テグジュペリ『星の王子さま』のキツネ役を務めました🦊

photo by 荒川れいこ様📸

そもそものご縁はこのnoteの初投稿となった、今年7月の瀉葬文幻庫主催の『耳憑夜』@池袋手刀…。

この日に昭和精吾事務所のこもだまりさん、イッキさんと対バン(?)したのをきっかけに、今回お誘いいただけました。
(瀉葬文幻庫のふたりが繋いでくれたご縁、心から感謝します。また一緒におもしろいことしたいっ!)
イッキさんは今回出演してらっしゃらなかったけど、観に来てくださっててお会いできた😀またご一緒できるといいなあ。


『星の王子さま』は、こもだまりさんが王子さま役、上入佐秀平さんが薔薇/蛇の2役、そして万有引力の小林桂太さんが飛行士役。

ば、万有引力の小林桂太さん…めちゃくちゃかっこよかった…。
稽古への行き道かなり緊張してたんやけど、優しい気さくな方でした。ただ、演技が始まるとガラリと変わり、桂太さんが演じ始めるだけでそこがステージになる感じ、本当に凄かった。
薔薇/蛇という正反対の役をこなしていた上入佐さんは、星の王子さまが大好きとのことで(私も!)稽古時にはマイ星の王子さまを片手に翻訳の違いについて話してキャッキャしたり、仲良くしてくださってありがたかった。
薔薇の高貴で気難しいお姉さまから一転、ジャケットを脱ぐとドスの効いた声の蛇になる、という変化がスパイスになっていた。

キツネのシーンは短いけれどとても大切なシーン。
飛行士と王子さまとの出会いを土台に、薔薇・蛇・キツネがひとつずつバトンを繋ぎ、最後のあの美しいシーンへ繋いでいくような感覚で臨んでた。
キツネそのものに感情移入すると別れのシーンって少し悲しくなっちゃうんだけど、全体とのバランスをこもださんにアドバイスいただいて、稽古時よりバランスのよい出力ができたんじゃないかなあ。
それにしても王子さまの表情があどけなくて愛しくて…さっきまで稀代の女賊・黒蜥蜴を演じていたのに!と、憧れを募らせる私でした。

仲良くなるということについて、教えてあげるキツネ

あと最後に奏でられる永井幽蘭さんの曲が美しくて…ぴったりなんよ!
飛行士が満点の星空を眺めるラストシーンからグッとカメラが上向きになって、星空に吸い込まれていくような…王子さまの笑い声のさざめきにつつみこまれていくような。
少し強く奏でられる最後の音に、王子さまの星がきらり輝いたような情景が自然と浮かんできた。
こちらのCD「波打際」収録の「月の雫 星の涙」という曲!
ご厚意でこっそり頂いてしまいました。聴きながらこのnoteを書いています🌌

『黒蜥蜴』でも演奏されていたんだけど、演奏しながら歌いながら、顔の動きや表情もつけて情景が浮かびあがるようなスタイルで、演奏なんだけど「語り」だ!とすごく興味深かった。

もうひとつの生音、昭和精吾事務所の西邑卓哲さんが奏でる音も素敵だったな~!
学生の頃、維新派にエキストラ出演した時に内橋和久さんの演奏が本当に面白くて…例えば、ネズミが走るシーンで毎公演ネズミの走り方が違う。そういう生演奏ならではのライブ感がひそかに忘れられなかったのですが。
今回西邑さんの生音を聴いたとき、これは!ずっと憧れてたスタイル!となった、超クールだった。特に『黒蜥蜴』が臨場感たっぷりで、映画音楽みたいで好みでした。


今回の企画『氾濫原4』では、「ここに居ないあなた」をテーマに選ばれた4編の朗読劇が上演された。

背中合わせの好敵手を想う明智小五郎と「黒蜥蜴」
アフリカの砂漠に不時着した飛行士が出会った「星の王子さま」
失われた手毬唄と幼なじみを探し彷徨う「草迷宮」を原作とした「水鏡譚」
逝ってしまった妻との約束の日を待ち続ける男の「夢十夜」・・・

https://showaseigo.com/wp/

舞台で朗読劇として見せる、というのは独特の難しさがあるなあと思う。
本を手に持ちマイクの前に立つというある種の身体の制約の中で、動きや視線はどういう風につくっていこう?と試行錯誤してた。
毎月の配信では自然と動かないのに、実際の舞台となると動きたくなるのが自分でも不思議。このへん掘り下げていくと面白そう。

私の場合は王子さまとの会話シーンで王子さまの顔が見たくなったりして、結局あまり本を見ていなかった。(耳憑夜『海のリボン』でも最初は本を持っていたのだけど、練習してるうちに動きが自由になると思い手放した。)
実は本を見るときは見る時で王子さまの物語を見返しているような気持ちになったりして…本を持つと本そのものに絵的な意味を持たせたくなってしまう、絶対ストロベリーソングオーケストラ時代の影響だ🔥📖🔥

余談

自分の出演シーン以外は客席で観させてもらったのだけど、皆さん様々な演じ方をされていて興味深かった。
『黒蜥蜴』では長田大史さん、こもだまりさんお二人ともほとんど本に目を落としているのだけど、その姿がクールで演目に合っていたし、だからこそキメのシーンでの動きがとても際立っていた。静と動のメリハリ。
『夢十夜』では座って静かに朗読している様子が幻想的な世界観にぴったりだった。白永歩美さんの声が夢の話にぴったりで、独特の落ち着きに癒される。
『草迷宮』は映像も交えて躍動感のある作品。常盤美妃さんとダンサーの日原奈緒花さんが本から解き放たれて舞台を跳び回っていたのが可憐だった。
梶原航さんの、感情がダイレクトに入ってくる語りもすごかった。40分という(物語の内容的に)やや短く感じられる中で、まるで2時間の映画を見ていたくらいラストシーンは胸が熱くなった。

4つの演目すべて違うカラーで面白く、自分が出演させてもらっといて言うのもなんですけど素晴らしい企画でした。この企画の一部を担えて光栄だった!
観に来て下さったお客様はもちろんのこと、誘って下さったこもだまりさん、昭和精吾事務所の皆様、共演者・スタッフの皆様、本当にありがとうございました。

そしてなんとこちらも頂いてしまった!ありがとうございます。
まだ落ち着いて聴けてないのですが一曲目からしてめっちゃかっこいい。腰を据えて味わわせていただきますっ。


次回予告:12/15(金)21:00~海野十三「仲々死なぬ彼奴」

毎月している朗読配信、次回は…
12/15(金)21:00~ 海野十三「仲々死なぬ彼奴」を読みます。
推理小説味もありながらユーモアもあり、笑えるようで笑えない…そんな作品を選んでみました。
2023年ラスト、ぜひ華々しく。よろしくお願いします!

👆ここで毎月朗読してる📚ぜひ聴きに来てね🍻

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?