食べるってなんだ、恐いってなんだ。🍳
先日共演した際、松原タニシさんにいただいた新刊『恐い食べ物』。
面白すぎてあっという間に読み終わったので、読書感想文を書いてみようと思います✏︎
恐い食べ物|二見書房 (futami.co.jp)
当たり前のように繰り返している「食べる」という行為。
様々なトーンの「恐い話」を読むうちに点と点が繋がって...いつのまにか深淵を覗きこんでしまっている。食べるってなんだ。
冷静な考察を通して哲学的な問いかけに辿り着く、このタニシさん節にたまらなくわくわくする。
10代の頃、屠殺の映像を見て肉が食べられなくなった時期がある。
それは、牛や豚が可哀想だという理由ではなく、生命を奪って生きているということに直面することが恐ろしい、考えること自体が恐ろしいという感覚だったことを、「アメ」を読んで思い出した。
しかし気が付けば今、私はなぜか肉を好んで食している。焼肉最高。ジビエ料理も大好きだ。ただ、いつどのように克服したのかまるで覚えていない。それが一番、恐いかもしれない。
まさに気の持ちようで、かつて突き詰めて考えることすら恐ろしいと感じていたことを、いつの間にか、なんとなく、笑顔でやっている自分がいる。
「自分は今、明確に自分なんだろうか?」
「その頃の自分と今の自分は別人なのではないか?」
たぶん別人だと思う。親にも言われる。恐い。
そしてここ数年、食べると高熱が出る食べ物や腹痛に見舞われる食べ物が増えている。なんらかのアレルギーなのだと思う。
いつの間にかアレルギー対象になっていた食べ物を、ある日急にめちゃくちゃ食べまくってしまったら…どうしよう。あり得る。この本を読めばわかるように、好みの食べ物なんていつどんなきっかけで変わるのかわからないのだから。
食べること、食べられること。命をいただくこと、うしなうこと。相反するような気がしていたが、どうやらどこかで繋がっているようだ。
人間関係がギブアンドテイクであるように...私たちは食べることで何かを取り込み、受け入れる。それは逆に食べたものに染められていくということでもあるんだね。
面白くてスラスラ読めるのに、色々なことを考えさせられもする、素晴らしい作品でした。この夏ぜひ読もう。
そしてあなた自身の「恐い食べ物」に向き合ってみるのも楽しいんじゃないでしょうか。足を滑らせて深淵に落ちないよう、気をつけて。
恐い食べ物|二見書房 (futami.co.jp)
特に好きな話は、「ポーチドエッグ」「チーズ」「サボテン」です。
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