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【読書感想】知念実希人『硝子の塔の殺人』
推理小説を読むのは久しぶりでした。
私は賢くないので、物語の中の探偵よりも先に事件の真相に辿り着いたことは一度もありません。推理しながらも読みません。
推理できません。
でも、面白かったです。
ざっくり内容紹介
硝子の塔『硝子館』
屋敷の主人である神津島は、ミステリ好きを集めてパーティを開きます。
しかしそこで、3件の連続密室殺人が発生!
最初に起こったのは屋敷の主人・神津島が毒殺される事件。
この事件の犯人はプロローグで、明かされます。
犯人は物語の主人公で医師の一条遊馬です。
しかし2件目3件目の事件は彼以外の犯人の仕業。
一条遊馬は硝子館に招かれていた名探偵を自称する女性・碧月夜の助手になり一緒に捜査をしながら、2件目と3件目の事件の犯人に自分の犯行の濡れ衣を着せようと奮闘する……。
そんなお話です。
読んだ感想
全てがひっくり返るような物語でした。
何もかもが逆転しました。本当にびっくりしました。
びっくりの内容を書くと物語全てのネタバレになりそうなので、何にも書けないのがつらいところです。
でもとってもどんでん返しです!!! とっても!!!
もうひとつ個人的に面白かったところは、主人公で犯人で名探偵の助手の彼。
一条遊馬は憎しみをもって、計画的に殺人事件を起こしたはずなのですが、実際の犯行では想定外のことが起こりまくります。
それを修正するためにさらに行き当たりばったりな行動をします。さらにツメが甘い。
始終、どうしようどうしようとあたふたしています。
二十代の男の子があたふたしている様子なんて想像するだけでかわいらしいですね。
そんな巻き込まれ系ポンコツ犯人男子を生温かい目で見守る私は、いつ名探偵の推理が始まり名指しされるのか、ハラハラドキドキ。緊張感がありました。
Amazonの商品ページには『圧倒的なリーダビリティで500ページ一気読みできる』と書いてありますが、かなり分厚めの単行本です。
本当かよ、と半信半疑でしたが、本当でした。
私は推理小説を読んでいると、なぜか途中で眠くなることがあったのですが、『硝子の塔の殺人』は遊馬が逃げ切れるのか気になって、ハラハラしながら一気に読めました。
……250ページずつ2日に分けて、でしたけれど。
ちなみに、読者への挑戦状のある小説です。
与えられた情報だけで犯人がわかる……ということらしいのですが、私はさっぱりわからず驚きの連続で読みました。
とても楽しい読書体験ができて満足です。
名探偵の方は、あたふたする主人公を生温かい目で見守りつつ、推理しながら一気読みしてみてください。
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