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【GOZENのM&Aラジオ】

"聞いたことはあるけれど、そもそもM&Aってなに?"そんな素朴な疑問を持つ人も少なくないはず。『GOZENのM&Aラジオ』とは、新メンバー"えんな"のM&A初心者での目線を交えて、GOZEN代表布田の考えやM&Aについてゆるく語るマガジンです。

第一弾は、GOZENがプロデュースする連載「ソーシャルM&Aという人生戦略」のインタビュー後記。ご当地クラフトコーラの先駆けとなる熊本クラフトコーラを起業し、事業譲渡でブランドを残すという理想的な着地に成功した椿原ばっきーさんとの対話をもとに、えんなが気になったことを布田にゆるく質問していきます。

本記事はこちらから。
▼前編
「熊本クラフトコーラ」で描いたキャリア戦略 / 椿原ばっきー×GOZEN布田対談
▼中編
合理的かつヘルシーなM&Aの舞台裏 / 椿原ばっきー×GOZEN布田対談
▼後編
ローカルとクリエイターの理想的なエコシステムとは? / 椿原ばっきー×GOZEN布田対談


布田:えんなさんはまだGOZENに加入したばかりでM&Aを勉強中だと思うけれど、今回の記事を読んでどうだったかな?

えんな:まだまだ勉強中で、面白いと思ったのと同時に疑問点もあります!

布田:なるほど!今回は専門知識とかを気にせずに、むしろ初心者の視点で何でも質問してみてくださいな。

えんな:ありがとうございます!


“ヘルシーなM&A”って何?


えんな:早速ですが、「ヘルシーなM&A」とはどういう意味ですか?

布田:なるほど、改めて聞かれると面白いなぁ。まずは、「クリエイターにとっての良い人生を実現できるM&A」ということ。

″お金″か″やりがい″、どちらを取るのかって結構リアルだと思う。40歳の自分の周りには、投資銀行で1億稼ぐ人がザラにいる一方、ソーシャルビジネスや儲らなくても社会的に良いことを選んだ人もいる。ただ後者は経済的に楽ではない人も多いと肌で感じていて、それを解決する1個がヘルシーなM&Aだと考えているんだ。

えんな:ソーシャルビジネスって、「お金よりも社会への貢献を大切にしないといけない」というイメージが強いのですが、本来は両者が成立するのがベストなんですね。

布田:ビジネス的な意味でも"ヘルシーな事業″が存在すると考えていて、1つはシンプルに「利益」が出せること。例えば、「お給料を沢山払いたいけど、儲けがないから10万円で我慢してください」だと、十分な利益が出ているとは言えないよね。要は、周りの人たちを豊かにするために支払えるお金があって、かつ手元にもたっぷり残って安心できる状態が必要なんだ。

M&Aで買収先とグループとして1つになれば、「家族みたいなものだから、将来を見据えて無理ない範囲でサポートするよ」ということが成立しうる。双方無理のない範囲で事業的に健康になれる、つまり「利益体質」になることが大事だと思う。

体型で言うと、「痩せても太ってもなく、適度に筋肉や脂肪もあって、内臓も含めて悪いところはありません」みたいな。ヘルシーというのは、 ″全速力で走らないと間に合いません″ではなく、″ゆとりを持って目的地に行けますよね″というイメージだね。


ローカルはM&Aの“ビジネスチャンス“


ーえんな:なるほど!話を変えて、都心と地方のM&Aの数ってそんなに差があるんですか?

布田:これはめちゃくちゃあって、イメージとしては「東京と地方の飲食店」の話に近いかも。東京の表参道や六本木に行ったら、世界中のあらゆる料理が食べられる。例えば海外から帰ったシェフが初出店場所を考える時も、東京という選択が多い。

日本には上場企業が約3500社あるのだけど、東京に本社がある割合ってどのくらいだと思う?

ーえんな:え!1/3くらいですか?

布田:実は、約半分。M&A はお金がないと当然できないわけで、そのお金を持ってる1個の基準である上場企業の半分以上が東京に集中しているんだよね。なので、M&Aも東京の企業への売却が確率的に多くなるというのがリアル。

ーえんな:納得です!

布田:自分が地方出張で思うのは、そもそも企業の数が少ないのでM&Aをした人が周りにいなくて、知識が不足しがちということ。

例えばえんなさんは、ルールも知らずやったこともないラグビーを始めたい時、「このルールブックを見て試合に出てください」と言われたらどうする?

ーえんな:無理です(笑)最低限のルールは分かりますが、それだけでは具体的なプレイや練習方法のイメージがつかないので…

布田:経験者に教えてもらったら「何となくこういう感じだ」って分かるけれど、ルールブックを見るだけでは多分できない。地方では、M&Aをできるし、それが事業にとっても起業家にとっても意味があるけど、選択肢に入っていないというケースも多いと思う。

ーえんな:GOZENの今後の方針として、もっと地方のクリエイターの方に注目したい想いはありますか?

布田:めちゃくちゃあるなあ。シンプルに、ビジネスチャンスだし。買収先の企業が自分では売却企業の事業を作れないからこそ、お金を払ってでも買いたいんだ。地理的に離れていることは、買収企業が自分では作れない価値になりうるよね。例えば東京のレストランが急に宮城県にお店を作ろうとしても、どこに作ったらお客さんがたくさん来るかの肌感が掴みづらいから。

そんな感じで、地方の売却希望企業に東京の企業を紹介することはとても意義があるし、逆に地方の企業も、今までやりたかったことに東京の企業が「うちが資金出しますよ」と言ってくれたら、双方がハッピーになる。ソーシャルインパクトが拡大するGOZENのミッションにも繋がるし、どんどんやっていきたい。


M&Aって、お客様に迷惑かけない?


ーえんな:M&Aで親会社が変わることで、お客様の購買意欲に大きな変化って生まれないんですか?

布田:やり方にもよるけれど、基本ほぼないと思う。ただ、グループに入ったことで″もっとお客様を広げていこう″という動きが加速するのはあり得る。

ーえりな:具体的にどういうことでしょうか?

布田:例えば自分がやっている下着の「feast」だと、以前は工場の関係でノンワイヤーのブラジャーしか作れなかったけれど、M&Aでジョインした親会社の生産工場でワイヤーブラも作れるようになり、より多くのお客様のニーズに合った商品を届けられるようになった。資金力がある会社が買収するケースが多いから、今までやれなかったことが可能になりやすい。

買収後に意図せずそれまでと全く違う経営方針になるということが起きないよう、GOZENみたいな人たちがいて、双方の考えをベストな状態に調整しているんだ。


連続起業という、クリエイターの新しいキャリアプラン


ーえんな:今後クリエイターの新しいキャリアプランとして、複数のM&Aを行って各経営に携わることもメジャーになったりしますか?

布田:ありうるんじゃないかな。アメリカのスタートアップの中心地のシリコンバレーでは、投資家から資金を得た起業家が上場や大きなM&Aを経てお金持ちになり、今度は自分が有望な起業家に投資してその事業が伸びるという「エコシステム」というサイクルがあって。
日本のソーシャルビジネス界にはそこまで成長してお金を持っている企業が少ないので、そのシステムはあまりないのだけど、M&A をすることで「お金が入って投資できるようになる」循環システムを1個作れるかもしれないよね。そういう活動をやっていきたい。

GOZENの目指すM&A は、″10億で売れました″というよりは数千万単位が多いけれど、資金に余裕が出てくるとリベラルな価値観の人たちは様々な社会課題に関心を持っている場合が多いので、「次は別の社会課題を解決する事業をやろうか」って人も結構いるんじゃないかな。連続して起業する「ソーシャルシリアルアントレプレナー」たちが存在できる世界観にしていきたいね!

ーえりな:ありがとうございました!


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