#29 共演NG(2020)-共演NGの文化を知る人たちが創り上げた共演NGの物語
天才・秋元先生
脚本はこの方、天才・鬼才の秋元康先生です。「あなたの番です」「真犯人フラグ」「漂着者」など、とっ散らかった作風でお馴染みですが、この「共演NG」だけは、まとまりがあり、完結したという点で、天才脚本家のエッセンスがぎっしり詰まった良作だと思えるのです。
さすが、テレ東!
このドラマの面白さは、芸能界のタブー(共演NG)の実態を知っている(であろう)俳優陣が、共演NGの俳優役や共演NGの役者に翻弄される局スタッフを演じるところにあります。こんな型破りな脚本を書けるのは秋元先生だけでしょうし、その脚本を採用できるのはテレ東くらいでしょう。奇跡の共演としか言いようがありません。
個性的な4組の共演NG
ドラマの軸になるのは、大物俳優・遠山正二(中井貴一)と大物女優・大園瞳(鈴木京香)のふたりです。日本を代表する大物俳優が共演NGの大物俳優を演じるところにこのドラマの醍醐味があります。過去のトラブルを引きずりながら、徐々に距離を詰めていく様が見事でした。
その他に、元子弟の里見浩太朗VS堀部圭亮、ヒーロー戦隊出身の小澤廉VS細田義彦、元アイドルの小野花梨VS若月佑美といった共演NGコンビが奇跡的に同じドラマにキャスティングされ、この3組間で勃発したトラブルに巻き込まれた中井貴一と鈴木京香が芸能レポーター(橋本じゅん)の追求を交わしたり、向き合ったりしながら、気づけば感動的なドラマに仕上がっていくプロセスが秀逸でした。
局スタッフの個性も抜群
トラブルに巻き込まれつつ、ドラマ制作の醍醐味に気づくスタッフ(岩谷健司、迫田孝也、森永悠希、小島藤子、岡部たかし)に加え、ドラマの精度を上げるために無茶ぶりを続けるプランナー(斎藤工、瀧内公美)、大物俳優のマネージメントに苦慮しつつ、大物俳優と同様、お互いの距離感を縮めてしまうマネージャー(リリーフランキー、猫背椿)など、憎めないキャラぞろいで、コロナ禍の閉塞感を吹き飛ばしてくれました。
改めて、あの頃、自分も相当に病んでいたんだなぁと痛感させられました。
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