見出し画像

#122 最後から二番目の恋(2012)-熟年恋愛に明かりを灯す逸品

TVer紹介文(異様に長い)

吉野千明(小泉今日子)は、テレビ局でドラマのプロデュースを手がける45歳の独身女性。千明は、がむしゃらに仕事をしながら人並み以上に恋愛もしてきた。が、最近は恋愛も随分ご無沙汰で、いまや女友だちとの話題は専ら健康や老後のことばかりだ。長倉和平(中井貴一)は、鎌倉市役所の観光推進課で課長を務める50歳の独身男性。両親を早くに亡くし、4人の弟妹の親代わりを務めてきた和平は、現在、双子の弟妹、真平(坂口憲二)と万理子(内田有紀)、死別した妻との間に生まれた11歳になる娘・えりな(白本彩奈)と暮らしている。長女の典子(飯島直子)は結婚して家を出たものの、毎日のように実家に入り浸っていた。 あるとき千明は、美人脚本家・栗山ハルカと組んで連続ドラマを作るよう命じられる。だが、面白くない本を書いてきたハルカに激しくダメ出しをしているうちに、めまいや吐き気をもよおして倒れた千明は、病院に運ばれてしまう。それがきっかけで、千明は、同い年の独身仲間、荒木啓子(森口博子)、水野祥子(渡辺真起子)と冗談半分で話していた、鎌倉の古民家に引っ越して3人で一緒に暮らす、というアイデアを実行しようと言い出す。あくる日、千明は、さっそく鎌倉を訪れる。目的の古民家にたどりついた千明は、売りに出されているその家の隣家が古民家を改装したカフェだと知る。そこは、和平の弟・真平が店長をしている店『ながくら』だった。

中井貴一×小泉今日子

長らく恋愛にはご無沙汰で、色艶のなくなった熟年男女がひょんなことからお隣さん同士となり、家族に見守られながらも、つかず離れずを繰り返していく、そんな優しいファミリードラマです。主演のおふたり(中井貴一小泉今日子)の掛け合いの小気味よさが芸術的なレベルで楽しく、知らない間に感情移入させられてしまう、そんな幸せなドラマです。

キョンキョン以外は全員、家長(中井貴一)の家族

THE 鎌倉

私のような関西生まれの人間には未知の土地なのですが、このドラマの舞台となった鎌倉は本当に情緒にあふれていました。この家族が暮らす古民家、家族で経営するカフェ、主演ふたりが必ず横切る線路、じゃれ合う海岸など、雰囲気のあるロケーションが多く、ドラマ後、聖地巡礼のメッカになったようです。

この扉を開けるとそこにキョンキョンが…
出退勤のたびに使っていた改札

鬼才脚本家・岡田恵和の代表作

「ビーチボーイズ」「ちゅらさん」「少年寅次郎」「一億円のさようなら」などの”人に優しい”名作で知られる脚本家ですが、その一方で、幸せ煽りや不幸せ煽りといったクセの強さも強烈です。

  • 「ちゅらさん」では主人公エリー(国仲涼子)を腫瘍で、幼い息子・和也を人間関係によるPTSDで苦しめました。

  • 「ひよっこ」では出稼ぎ中の父親(沢村一樹)がひったくりに暴行されるシーンを何度もプレイバックさせました。

  • 「姉ちゃんの恋人」では、レイプされそうになった恋人を守るために、林遣都が反グレ集団を鉄パイプでボコボコにする回想シーンが何度もプレイバックされました。

  • 「虹色カルテ」では、病弱な医師(高畑充希)が呼吸困難に陥ちるシーンや若年性アルツハイマーの嫁(安達祐実)が夫(真島秀和)を忘れてしまうシーンが何度も繰り返されました。

  • 「日曜日の夜ぐらいは」では、前半で不幸エピを執拗に繰り返し、後半で幸福エピをしつこく反復させました。

「最後から二番目の恋」でも難病設定のイケメン次男(坂口憲二)が登場しますが、それほどの煽り感はありませんでした。ちなみに続編も良かったです。中井×小泉による会話のファンキーさがレベルアップしていました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?