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海のはじまり  すごいドラマが終ってしまう

あと数日後に最終回を迎える月9ドラマ「海のはじまり」の感想を投稿しようと思う。モヤモヤすることも多い中、今季一番考えさせられ、思い入れの強いドラマだ。このドラマの制作陣の作品が好きで、これまでも個人的に書き溜めていたのだが、今回は投稿してみようと。今更ですが。7月に書き始めたため回顧録的な文章で、今となっては辻褄の合わないところも出てくるだろうが、あえて編集なく投稿します。

弥生も、演者の方向性を見据えた演技指導もあるかと思いますが現彼女役の女優が嫌いです(申し訳ございません。交際していたジャニーズタレントにも興味はございません。演技という面において好みではないだけです)。役と演技に対する一個人の意見なので不快な思いもされる方もいるかと思いますが、無視してください。申し訳ございません。


1話

Silent」の時もそうだったが、オープニングの情景が印象的すぎて、最終回へつながるメインテーマの伏線回収(安っぽい言葉だが)にしておくにはもったいない映像。「」は、娘の名前でもあり、水季自身が好きなもの、夏自身の忘れられな思い出、そして、生命のはじまり。これから始まる物語の「始まり」でもある。きっと様々な背景を巻き込みながら、最終回に向けて、なぜこのタイトルがつけられたのかが明確化されるのだろう。そして、夏をはじめとするかなり癖のある拗らせた登場人物たちの前に立試練が立ちはだかり、悩んだ末に切り開いた未来は眩しく暖かいものになるのだろうと想起させるオープニングだった。


他人に同調してばかりで意見できない突っ込みどころ満載のオドオドした。キラキラ系男女が眩しいラブストーリーを展開する夏の月9ドラマの中では異例中の異例の主人公だ。普段は飛ぶ鳥を落とす勢いのキラキラアイドルの頂点に君臨する目黒蓮さんが、オーラを消し普通以下の男になりきる演技力。「silent」に続きこの難しい役に抜擢されたのは容易に、製作陣からも全幅の信頼を寄せられているのは納得できる。さらに進化した演技を見たいという下心を隠すつもりもない。


現彼女・弥生役が有村架純だと公表されたときは「ああ、また同じ相手か。目黒蓮と噂にならないジャニーズの彼女を選んだのか」、同じ女優をキャスティングする制作側に苛立ちを覚えた。新鮮なものを見たいのが観覧者の率直な意見だ。弥生の最初の登場方法が更なる嫌悪感へと変わった。小馬鹿にしたようにも聞こえる感情が篭らない腹話術のような嘘くさい喋り方をするこの女優がもてはやされるのか。腑に落ちない。もっと、30代前半で説得力のある嫌味にならない女優はたくさんいるであろうに。開始直後、年上風を吹かせるこの弥生に夏はなぜ惚れたのかという疑念が湧き上がる。

コロッケが様々な伏線回収へとつながる小道具になる可能性があるのかもしれないが、質素な野菜炒めとスーパーのコロッケを夕食として堂々と出す、酒のつまみに出されても腹が立つ献立。完璧女を気取る偽完璧女による普通の彼女風のあざと演出にしては、余りにもちんけではないか。この時点では、過去の経験がこのような偽人格を形成された経緯など知る由もないのだが。弥生回なるものが予定され、その中で紹介されるかもしれないが。

弥生といえば、3年付き合ってきた夏が発する「あー、うー」というセリフに、今更「それやめれる?」という始末。「今それをいうのか?それって付き合って少し慣れてきた頃に訪れる倦怠期に発するセリフだろ?お前こそ突っ込みどころ満載じゃないか」と、こっちが突っ込みを入れたくなる始末。決められない男と決めたい女の共依存なのか。この2人は近い将来別れるだろうとこの思った瞬間であった。極めつけに、突然の電話で元彼女の訃報を知った夏の様子の変化にも気付きつつも「早くマヨネーズを取れ」だの、「もう残りがない」など抜かす始末。「その料理のどれにマヨネーズが必要なんだよ?デブるよ?彼氏はそんな痩せてるのに」と思わせる言動が不愉快極まりない。


翌日、義父から借りたネクタイを締め、大学時代の友人と元カノ・水季の葬儀に向かう夏。そこで、水季の棺を覗き込む少女を見て、複雑な思いを巡らせ始める。彼女との出会いやキラキラした記憶を辿り始める。昔の夏も、自分と反対の自分の意思で行動できる女性に惚れたのだろう。ただ水季の方が生粋の奔放な女性だったのだろう。まだそんなに経験のなかった彼には、水季は安心感とスリリングで、それまで見たことのない景色を見せてくれる存在だったのだろう。家族葬が主流の近年、27歳の女性が他界した割には大きすぎる葬儀は違和感しかなく、夏を招きやすくし、これから知る娘の存在を知らせるための演出なのではないかとさえ思ってしまう。

そして、水季に中絶同意書にサインを頼まれた日を思い出す夏。100%の避妊方法がないものの、まさか自分たちにこの現実がのしかかるとは思ってもいなかった若き日の2人。これは水季だけのせいでも夏だけのせいでもない。同じだけ責任の重さがあるのだ。水季や夏を、さらには彼らを取り巻く人々を悪者にするのも違う。タイミングが悪かった。ただ、彼女の人生があまりにも短すぎた。夏がもっと押しの強い性格だったら、もっと違う未来が見えたのではないか。サインする前に親に相談することができていたら。事態は違っていたのかもしれないが、それはドラマの中の出来事に「たられば」を語っても仕方がない。産婦人科の前まで水季に付き添い、中絶手術が終わるまで外で待っていた夏。水季を説得できずサインしてしまったのは夏の責任ではあるが、その時点では中絶したと思った夏。サインはしてしまったものの決して自分勝手で冷酷な男ではなく水季に寄り添う優しい夏。ただ、優柔不断で頼りない割には、親に心配かけまいと早くから就職活動を始めたりと、時々見せる頼もしさが最悪のタイミングで現れ、水季の決心をさらに固めてしまったのだろう。このシーンの夏の一言「親に心配かけるのが一番嫌で、めんどくさいこと嫌なだけ。波風立てずに生活できたらそれでいいから」。それは妊娠の知らせを聞く前に何気なく言ってしまった言葉ではあるけど、それが2人の未来を運命づけてしまったセリフ。まもなく本人からではなく水季の友人から退学した旨を知る夏。電話での別れ。この電話だけの別れに応じる目黒蓮さんの演技凄かった。長回しの電話に語りかける演技に、困惑、悲しみ、怒り、相手への配慮、優しさ、、諦め、感謝の感情が全てこめられていて、改めて彼の凄さを知った数分でした。

場面は変わり、葬儀参列者の心ないセリフを聞かせまいと、過去に撮った動画を海に見せる夏。この時点で2人には互いが血の繋がった親子だという確信はないはずだが「初めて会ったこの男性は優しそう」「この少女はもしかしたら???でもこの少女が嫌な記憶を植えつけらることから救いたい」という潜在的な繋がりが呼応しあい、物語を未来へと導く起点になった瞬間だったのではと。夏は、水季と中絶してしまった子供への贖罪のために、今でもいくつかの写真や動画を消せないでいるのかと思った。

その後、あの時中絶したと思っていた子供が海だと知り、ショックを受ける夏だが、祖母と津野の刺々しい言葉に怯みながらも、笑顔で自分の名を呼び手を振る海に手を振る夏。更なる絆が育まれる未来が伺えますね。

様々な場面で試練と選択を強いられる男のドラマになるんだろうなと予想させられるドラマ。1話にして「そういうのないですよね。海の親になろうとなんて考えてないですよね?」と切り出される夏。まだ、状況が飲み込芽切れてない気の弱い主人公に降りかかる試練第1号。「ただ想像はしてください。今日一日だけでも」と言われても、さっき全否定したのはあなたでしょう、そういう想像は簡単にできないよゆっくりモードの夏には。でも、この夏という男は今後、全身全霊でこの問題に向き合っていくんだろう、と期待値が急上昇。

茫然と家路に着くが、心配し待っていた現彼女の心のこもらない演技とセリフに一気に興醒め。「お腹減ってる?味噌汁でも作ろっか?」。なんだそれ?いま、味噌汁かよ?はやく別れてくれ、という思いが更に加速した。

最後に海が夏のアパートに1人で現れるのはホラーでもなんでもなく、水季が教え込んだからに違いなく。死に逝く自身、年老いた両親と海が過ごせる時間は限られている、その先にあるのはやはり肉親である夏の存在を知らせることで、娘を安心させたかったのだろう。その真相が明らかになるにはまだ先だと思うが、水季を回顧し流す夏の涙にはこの親子が掴み取る明るい未来を感じさせる希望があった。




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