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2022.2放送開始4作品①_比較分類Labo#D

はじめに

期待を超える作品に出会う確率はどのくらいだろうか
Netflix同時配信が当たり前になりつつある。特に2022年2月放送開始のNetflix同時配信ドラマは熱かった。私も毎週3作品を心待ちにし、それらが最終回を迎えた後、残りの1作品も一気見した。
「この作品は最高なのに、あの作品はつまらん。やっぱり視聴率にもそれが反映されてるわ!」私たちはその比較・評価を疑わない。
しかし単に視聴率を比較するだけでは正当な評価を下せないのではないだろか。なぜなら放送枠に違いがあるからだ。Netflixではなく、放送でドラマを視聴する韓国の視聴者たち。その視聴率には放送枠の違いも反映されている。今回は同時期に放送された4作品を、放送枠というフィルターを通して比較・分析していく。

今回比較する4作品は以下の通りである。(以下曜日順)
①社内お見合い 사내맞선 (SBS月・火22時~ 全12話)
②39歳 서른,아홉 (JTBC水・木22時30分~ 全12話)
③二十五、二十一 스물다섯 스물하나 (tvN土・日21時10分~ 全16話)
④気象庁の人々 社内恋愛残酷史編 기상청 사람들 사내연애 잔혹사 편 (JTBC土・日22時30分~ 全16話)

視聴率推移(나무위키を元に筆者作成)


本論

以下、努力して書きますが、ネタバレありかもしれません。

①社内お見合い(SBS月・火22時~ 全12話)
前作:その年、私たちは(그해 우리는) 最低2.6%、最高5.3%。
同枠:ラケット少年団、ペントハウス、浪漫ドクターキムサブ、30だけど17です、ドクターズなど
(1)枠の傾向:話題性のある作品であれば、視聴率が跳ね上がる
浪漫ドクターキムサブの最高視聴率は27.6%、ペントハウスは28.8%。しかし特にペントハウスの最低視聴率は6.7%と決して最初から注目されている枠ではない。これら2作品は話題を呼び、視聴率が跳ねた作品である。反対に話題性が足りないと視聴率の伸びは微量にとどまる枠だ。
(2)枠に対する今作の位置付け:全世代ではなく一部の世代で話題になってほしい作品
今作は、全世代でなくとも一部の世代、特にスリルを期待しない主婦層や若者に受ければ良いという思いで作られた作品であると考察する。今作はそもそも国民的な話題を生もうとして作られた作品ではないだろう。ザ・有名俳優を起用しているわけではないし、低予算でも制作することができると言われるラブコメである。つまり、特定の世代での話題性を狙ったと考えて妥当ではないだろうか。登場人物の設定自体は王道のラブコメ。つまり王道ラブコメに親しんできた主婦層が安心して見ることのできる作品になっている。また、本作は展開の速さ・コグマを食べない展開が当たった作品である。先日、若者の動画の倍速視聴が問題になったが、この展開の速さが見事に若者にヒットし、話題を生むことができたのではないだろうか。
(3)枠の傾向×視聴率:好成績だが跳ねはなかった
4.9%でスタートした今作は、最高視聴率11.6%を記録している。「跳ね上がった」とまでは言えないかもしれない。しかし、グラフが右肩上がりになっている様子を見ると、話題を徐々に獲得することができていると言え、この枠の傾向に準じた、話題性のある作品にはなることができている。

②39歳(JTBC水・木22時30分~ 全12話)
前作:工作都市(공작도시) 最低2.6%、最高4.7%
同枠:月刊家、あなたに似た人など
(1)枠の傾向:あまり注目度のない枠
この放送時間になってからは今作で4作品目の枠である。放送開始が21時台だった時も改変後も、毎回最高視聴率が数%となっている。また、扱われるジャンルに一定の法則性もみられない。比較的注目度の低い枠であると言えるだろう。
(2)枠に対する今作の位置付け:30〜50代の女性にこの枠の存在を知ってもらうための作品
同枠で比較した際の今作の特異点として、有名俳優の起用が挙げられる。主演にソンイェジン、メインには賢い医師生活での活躍が記憶に新しいチョンミド。確実に作品への注目度が上がったはずだ。俳優への注目度を利用して、この時間帯にJTBCでドラマを見るという習慣づけを狙ったと考える。また、遅い時間の放送であるため、より確実な層として30〜50代にメインターゲットを設定し、「39歳」という作品名にし、テーマを年齢を重ねたことで浮かぶ不安にした。全ての要素を利用し、同枠のドラマに関心を向けるための作品であったと考える。
(3)枠の傾向×視聴率:最高成績
今作は、初回視聴率から同枠の過去作品より視聴率が良い。また、最高視聴率を比べてみても、同枠では一番視聴率が高い作品となっている。さらに、最高視聴率を記録したのが最終話であることから、続けて次作の初回を視聴することが見込まれる。つまり視聴習慣をつけるという役割を達成することができた作品であると言えるだろう。

③二十五、二十一(tvN土・日21時10分~ 全16話)
前作:不可殺(불가살) 最低3.0%、最高6.3%(※21:00〜)
同枠:海街チャチャチャ、サイコだけど大丈夫、ヴィンチェンツォ、スタートアップ、愛の不時着など
(1)枠の傾向:メイン枠!強い枠!お金もかける枠!
同枠の作品名を見ただけで誰でも察するだろう。お金や労力を惜しまず投下する、注目度の高い枠である。また、幅広い層をターゲットにした枠であるとも言える。(日本で言えばTBSの日曜劇場のようなイメージであろうか。)そのため視聴率も比較的高めである。しかし跳ねは期待できなさそうな枠だ(※愛の不時着を除く)。上の同枠に挙げた作品についても、最高視聴率5%台~十数%台となっている安定した枠である(※愛の不時着は21.7%)。
(2)枠に対する今作の位置付け:目立つ作品ではなく、感情を動かす作品
今作は同枠において、スケールで人々を圧倒する作品ではなく、人々の心に浸透する作品という位置づけであると言える。しかし、ヒューマン・ヒーリングドラマとも言いづらい。なぜなら、この作品は徹底的に“青春”という1テーマを描き切った作品であるからだ。複数のテーマを持たず、16話にわたって“青春“だけをテーマに描き切ることは、コンスタントに圧倒的なヒット作(お金の匂いがする作品)を生み出している枠だからこそできた挑戦とは言えないか。逆に言えば、この枠で制作されたからこそ、これほど視聴者を魅了する素敵な作品につくりあげることができたのではないだろうか。
(3)枠の傾向×視聴率:好成績
大ヒット作とまではいかない視聴率ではある。しかし、最高視聴率11.5%と、枠としては十分な視聴率を獲得している。高視聴率を記録しやすい作品は、財閥や巨大な組織など(お金の匂いがするもの)を扱ったものが多い。今作は日常に寄り添うような内容であり(もちろんフェンシングの大会のシーンや多用されたCGから、エリート枠感は感じられるが)、それらとは異なる部類の作品である。高視聴率に繋がりにくい部類の作品の中では、十分に健闘した作品と言えるだろう。

④気象庁の人々 社内恋愛残酷史編(JTBC土・日22時30分~ 全16話)
前作:雪降花(설강화) 最低1.7%、最高3.9%
同枠:調査官ク・ギョンイ、人間失格など
(1)枠の傾向:コア層向け
この枠は、2021年9月に新設された枠で、歴史が浅い。過去の3作品をみると、大衆向けの作品というよりはコア層向けの作品が目立つ。つまり、一般大衆に向けた分かりやすい作品ではなく、コア層を満足させるような作品を扱う枠であるといえるだろう。夜遅い枠のためか、新設による知名度の低さだろうか、あるいはコア層というニッチ向けだからだろうか、視聴率は全体的に低く、狭い範囲で収まっている印象がある。
(2)枠に対する今作の位置づけ:コア層と出演者のファンに届かせる作品
まず、この枠の傾向や企画意図の記述(恋愛ものというよりはヒューマン系ドラマであることを印象付けている)から、大衆ではなくコア層を意識した作品であることは間違いない。演出が、椿の花咲く頃で一躍有名になったチャヨンフン氏であると分かった時、自称コア層である私はこの作品にとても期待した。しかしコア層だけを意識していては母数が小さく、スポンサーにも面目ない。そこで主演にアイドル的人気を誇る2人を据え(もちろん演技力も素晴らしいが)、サブには元アイドルの俳優を起用するなどの対策をとったとは言えないか。
(3)枠の傾向×視聴率:最高成績
前述の通りこの枠の視聴率は低く、前3作品はすべて最低視聴率が1%台、最高視聴率は人間失格が一番高く4.2%となっている。これらと比較すると今作は初回から4.5%の視聴率を獲得しており、同枠の作品としては注目度が高い。つまり、コア層向けの枠でありながらも若干大衆を引き付けることができ、比較的高視聴率を獲得したと考えられる。コア層と俳優のファンという二兎を追ったからこそ、同枠内ではよい成績の作品となったのではないだろうか。

結論

今回は、放送枠の傾向というフィルターを通して4作品を比較した。
私たちは、視聴率をそのまま見て、自分の感覚が韓国の視聴者と同じであったと自信をもって結論づけがちだ。
しかし判断基準に放送枠を加えると、客観的「期待を超えた作品/超えなかった作品」を知ることができる。今回みた4作品は全て、たとえ自分の期待にそぐわない作品であったとしても、比較的好成績を収めた「制作者の期待を超えた作品」であった。
(とはいえ同時に視聴していればその4作品を比べてしまうのがドラマファン。次は、4作品をそのまま比較してみよう。)

〈参考〉
https://namu.wiki/w/SBS%20월화%20드라마#s-3.7 
https://namu.wiki/w/사내맞선(드라마) 
https://namu.wiki/w/JTBC%20수목%20드라마
https://namu.wiki/w/서른%2C%20아홉
https://namu.wiki/w/tvN%20토일%20드라마
https://namu.wiki/w/스물다섯%20스물하나
https://namu.wiki/w/JTBC%20토일%20드라마
https://namu.wiki/w/기상청%20사람들:%20사내연애%20잔혹사%20

この内容に科学的根拠はございません。
あくまでsisters laboの見解です。ㅎㅎ

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