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【2】台灣火鍋:台湾のお鍋

台灣火鍋
 鍋が恋しくなってくる季節が来そうですね。台湾は季節に関係なく、お鍋を食べている人が多いですが、冬にしか開かない鍋屋さんもあったりと、様々な鍋があります。そこで、今回は台湾でよく食べられているお鍋を紹介したいと思います。

刷刷鍋:しゃぶしゃぶ

 まずは刷刷鍋、これは日本のしゃぶしゃぶからきている外来語ですが、日本のしゃぶしゃぶとは少々異なります。
 まずはメインの具材、肉類か魚介類かを選びますが、日本のように豚しゃぶがメインという感じではなく、牛肉ん鶏肉に魚介類。魚介類ではシャケの頭、魚の切り身などなどがあり、しゃぶしゃぶして食べられる状態では無いですね!出し汁に具材を入れるスタイルの鍋が刷刷鍋,しゃぶしゃぶと思われている感じです。そして肉以外の具材はというと、キャベツ。刷刷鍋にはあまり白菜は見かけないのが不思議。そこにキノコ類、よく見かけるのが椎茸、しめじ、えのき。さらに「火鍋料」と呼ばれる練り物。日本でのおでんに入れる具材に似ています。
 お鍋の〆という感覚はないので、うどん、春雨、インスタント麺、あるいはご飯などから選びお鍋を食べながら食べるスタイルが主流です。自分はやっぱ最後に食べたく、取って置いてしまいますね。
 このお鍋は基本的に一人鍋のスタイルが多く、メインに野菜+その他具材、麺類から一つ選択でセットという形です。

麻辣火鍋:火鍋

 次のお鍋は「麻辣火鍋/鴛鴦鍋」と呼ばれる辛い鍋。日本では火鍋と今はよく呼ばれていますが、火鍋という言葉は本来、お鍋の総称で、辛い鍋を指すものではありません。外来語って面白いですよね。その由来を紐解くと、様々な道を辿り、今に至るんですが、その間に意味が変わったりと。
 鴛鴦鍋は二種類のスープを選び一度に楽しめるスタイルの鍋。基本的に辛い鍋に白湯ベースの鍋。この白湯はさゆではなくパイタンの事で、薬膳鍋になります。
 そしてスタイルは食べ放題とそうでないお店が多く、こちらの場合は一人鍋スタイルはあまり見かけません。
 具材は辛い鍋に欠かせないのが鴨の血を固めた具、その名も鴨血(ヤーシェ)と豆腐。これはお店によっては食べ放題の場所も多く、この鴨血がこの鍋を食べる際にはもうたまりません。見た目のグロテスクさもなく(個人的には)臭みもないので是非チャレンジして欲しい一品です。
 他の具材は刷刷鍋とあまり変わらないのですが、牛の煮物が多いのが特徴、牛肉、牛すじ、ハチノスを煮込んだ物を入れて食べます。これもまたスープに負けず良い食感で美味しいんです。
 〆に麺を入れてもとても美味しいですよ。辛い方に入れるか、薬膳の方に入れるか。悩みどころですね。

石頭火鍋:石鍋

 次は石頭鍋‼️自分は石鍋(いしなべ)と呼んでいるお鍋です。まず、お鍋にごま油を引き、玉ねぎ、ネギなどで香りをつけ、そこに選んだ肉を入れ半分ほど火が通るくらいまで炒め、一旦取り出して、そこへ出し汁にキャベツや白菜などの野菜、そして火鍋料などを入れ、野菜の甘みを出してからは他のお鍋のようにお好きな具材を入れていきます。魚介類ではエビに魚の切り身、牡蠣、あさりなど、このお鍋ではなぜか空芯菜もよく見かけます。お鍋での空芯菜はとてもシャキシャキとして、炒め物のイメージが強い空芯菜ですが、鍋で食べるのもとてもおすすめです。台北市にはこのお鍋のお店は老舗が多く、独特のスタイルが店内の大きい冷蔵庫の中から自分で具材を取って来る。そして、最後は回転寿司のようにお皿でお勘定を。また、最初に炒めることに対して、一人幾らかがお勘定に入れられています。お店によりけりですが、50台湾ドル前後でしょうか。自分は好く日本から台湾へ旅行に来た方をつれて行くことが多いんですが、炒め物などの中華じゃないものをという方におすすめです。
 自分はこのお鍋の〆におじやをいただくのが大好きで、最後にはスープに甘みが出てとても美味しいんです。

 これらのお鍋の共通点はつけだれが生卵(各自の好みですが)、沙茶と呼ばれる台湾の調味料に醤油、お酢、香味油、胡麻、ビーナッツ粉、ねぎ、香菜、唐辛子、刻みニンニクなどから好きなのを入れて食べます。最近では辛い鍋にはお店オリジナルのタレがあるところも。老舗では殆どが沙茶のスタイルが多いですが。

羊肉爐:やぎ鍋

 このつけだれを使わないお鍋の代表格といえば羊肉爐、薑母鴨、酸菜白肉鍋の三つ。
まずは羊肉爐,これは漢字の如く羊ではなく、ヤギのお鍋。ヤギの骨から出汁を取り、そこへヤギの様々な部位、ブロックのヤギ肉、しゃぶしゃぶのように食べるスライスされたヤギ肉、そして、ヤギの心臓、モツ、レバー、ハチノスなど。お店によっては鴨のハツや腸があるところも。お野菜は種類は少なく、キャベツに数品あるかないか。春菊も旬には置いてある所が多いです。
 そして、特徴はお鍋の前に茹でた台湾そうめんにごま油をかけて(汁なし)食べること。これは本当にオーダーするとすぐ出てくるので、まずはこれを少し食べながらお鍋を待つスタイル。何人か日本の方もお連れしましたが、それほど臭みもなく、皆さん美味しく食べられていました。

薑母鴨、生姜鴨鍋


 次のお鍋は薑母鴨、生姜鴨鍋です。鴨に米酒と呼ばれるお酒、水で煮込んだスープを陶器のお鍋に入れ、バケツに木炭を入れ、そこにお鍋を置くというのが伝統的なスタイル。昔ながらのスタイルで出しているお店が多い中、今ではそうでないところもあります。昔ながらのスタイルは火加減の調整はできず、どんどん具材を入れて、スープを足して食べていくお鍋ですが、お酒も入れていくので、近年ではこのお鍋を食べた後、運転して捕まるという事もあり(昔はあまり厳しくなかったということですね。)、近年は先にお酒を入れず、テーブルに運ばれてから自分達の好みで入れていくというお店も増えて来ています。お酒を入れ、アルコールが飛び、煮込まれていくととても甘みが増し、生姜の辛さが消えていくのもまた美味、お酒を入れずに生姜の辛さを味わうのももちろん美味しいです。
 そして最大の特徴は冬にしかお店が開かない。一年で長くて半年、短くて三ヶ月ほど。冬にはお店の外までテーブルが並び食べている姿が見られます。本当、このお鍋のお店が始まると、あぁ寒くなっていくんだなと感じ、冬に一度は食べたいお鍋です。

 この二つのお鍋の共通点がつけだれ、豆腐乳と呼ばれる豆腐を発酵させたものにつけて食べます。それだけでももちろんいいんですが、そこに唐辛子を漬け込んだ醤油を入れて、アクセントをつけてもまたおいしいんです。他の鍋のように薬味は入れずにこれだけでシンプルに、或いはタレなしでもいけます。

酸菜白肉鍋

 白菜の漬物を使ったお鍋。まず、最大の特徴は酸っぱいこと。白菜の漬け物がこの酸味を出していて、白肉(豚バラ肉)、えび、イカ、アサリ、キノコ類などがよくみられる具材。次の特徴はなんと言ってもお鍋。昔も日本でよくみられたしゃぶしゃぶ用のお鍋。あの真ん中の部分が日本よりも高く、下に木炭を入れ、火が強いと蓋をして、火加減を調整するというスタイル。昔ながらの方法で出しているお店もまだまだあるので、機会があれば是非このスタイルのお店で食べてほしいいです。
 ツケだれはお店にもよりますが、じぶんが慣れている食べ方はこのままで食べること。スープに十分酸味がでており、何もつけずに食べても十分具材の旨味が感じられ、さっぱりとしていて、意外といい量、食べられてしまいます。


 基本的に台湾の人はおなべが大好きで一年中、お鍋を食べています。これらのほとんどが一人用鍋で出しているお店が多く、気軽にいつでも楽しめる存在です。
 台湾にお越しの際はお鍋もぜひ食べて欲しい一品です。

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