【ゼロから始める中医学】精の不足と陰陽の失調〜腎の病理〜
こんにちは!
HAMTライブラリ中医学担当のどらごんこと大西竜之介です🐉
前回は腎の生理についてみてきた。
今回はその続き、腎の病証についてみていこうと思う。
腎の病証には腎精不足、腎気虚(腎気不固、腎不納気)、腎陽虚、腎陰虚などがよくみられる。
また関連する腑の膀胱の病証には膀胱湿熱などがある。
それでは順番にみていこう!
1.腎精不足=精虚
腎精が不足して、精の機能が減退する病証。
腎精不足は以前、精の回でみてきた精虚と同義である。
先天の精の不足、加齢、久病、房事過多などが原因で起こる。
症状としては成長・老化の問題、生殖機能の失調、髄海の滋養不足、腰や膝の症状などが起こる。
先天の精が不足すると成長や発育に影響し、発育遅延や知力が低い、動作が鈍いなどの症状が出現する。
また、精が不足すると早老などが起こりやすい。
ただ、精の充足は個人差があるので程度が軽い場合は病態としてみないこともある。
成長や老化のスピードは人それぞれということである。
腎精は生殖に関与するため不足すると、性欲減退、不妊症、陽萎、無月経などが起こる。
また、腎精が不足すると骨を強くすることができず、腰や膝に力が入らないだるいなどの症状が出てくる、これを腰膝酸軟という。
髄海が滋養できなければ耳鳴り、難聴、眩暈、健忘、視力低下、脱毛などが起こる。
精が不足すると気血への化生も不十分になるので血脈を充足できず、舌は痿軟に脈は脈細無力となることが多い。
鑑別のポイントは子どもでは成長、発育の問題、大人では髄海の滋養不足と生殖機能の減退があるか。
また寒熱の偏重がないことも特徴である。
2.腎気虚は2つある!?
腎の機能が全般的に失調した病証。
先天の精の不足、加齢、久病などが原因で起こる。
腎気虚は腎気不固と腎不納気の2つに分けられる。
腎気不固は固摂作用が失調し、本当は留めておかないといけないものが留めておけなくなる病証である。
遺尿、頻尿、流産、早産などがみられる。
腎不納気は納気作用が失調し、吸気を深く吸い込むことができなくなる病証である。
呼吸困難、息切れ、呼多吸少(呼気が多く吸気が少ない)などがみられる。
同じ気虚でも症状の出方が違うので注意しよう。
また、腎気虚の共通症状として原気を化生することができず、精神疲労、倦怠感が出現し、腎精も不足するので骨を強くできず腰膝酸軟となる。
脈は虚証を表す脈沈弱になりやすい。
鑑別のポイントは腎気不固では保っておけなくなるため、主に尿などの漏れ出す症状があるかどうか、腎不納気では深く吸えないなど、吸気の症状があるかどうかである。
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