【ゼロから始める中医学】調節する臓腑〜肝〜
こんにちは、HAMTマガジン中医学担当のどらごんこと大西竜之介です🐉
前回の記事で蔵象の全体像をみてきた。
今回からそれぞれの五臓を中心に細かくみていきたいと思う。
それではさっそく五臓の「肝」からみていこう。
五臓にはそれぞれ機能を表す生理作用と特徴を表す生理特性がある。
さらに関連領域と対になる腑などが存在する。
肝の場合は図にするとこんなイメージになる。
1.気血の調節!肝の生理作用
生理作用には①疏泄と②蔵血がある。
①疏泄
疏泄の主な働きは次の4つがある。
1)気機の調節
生理物質を推動させそれぞれの生理作用を発揮させることができる。
つまり、疏泄が失調すると他の生理物質も生理作用を発揮できなくなる可能性がある。
気そのものが滞る(阻滞する)と気滞になり、血を推動できずに滞ると血瘀が、津液を推動できずに滞ると痰湿が合わせて起こってくる。
2)情志の調節
情志は一定の気機を伴うため気機を調節している疏泄は情志の調節もしている。
疏泄が正常に機能していれば感情は安定する。
逆に疏泄が失調して気機が亢進すると疏泄の太過という状態になり落ち着きがなく慌てたり(急躁)怒りっぽくなる(易怒)
気機が滞ると疏泄の不及という状態になり抑鬱感や気分が落ち込みやすくなる。
3)脾胃の補助
疏泄は中焦(膈から臍まで)の気機も調節し、脾胃が正常に機能するように補助している。
また、胆汁の分泌も調節している。
疏泄が失調すると中焦の気機が滞るので脾胃の機能失調が起こることもある。
疏泄は情志の調節と脾胃の補助に関わっているので会議前の緊張(ストレスで情志が乱れる)などでお腹にくる人がいるのはこのためである。
4)月経の調節
衝脈・任脈の血を女子胞に送る作用に関わるため、月経と密接な関係がある。
疏泄の失調で月経痛や月経不順が起こることがある。
まとめると疏泄は全身の気の動きを調節する役割がありその過程で情志や脾胃、月経にも影響しているのである。
②蔵血
蔵血とは血の貯蔵と血流量を調節する機能のこと。
起きている時(覚醒時)は活動するために多くの血を全身にめぐらせ、睡眠時は身体を休めるために多くの血を臓腑の滋養に使っている。
必要な場所に必要な量がめぐるよう調節をしているのである。
蔵血機能が失調し血(肝血)が不足して筋への血流量が減少すると転筋(筋の痙攣や拘縮)やしびれなどが起こってくる。
また、蔵血機能が低下すると疏泄の機能が亢進して血を貯蔵できず吐血、喀血、衂血(鼻出血)、崩漏(不正性器出血)などの出血症状が起こってくることもある。
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