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コンコンと叩けばトントンと返事をする「トントン岩」 @45


赤尾木の奇岩群は大河ドラマ「せごどん」のロケ地として知れ渡ったが、この笠利の奇岩群はまだまだ知る人ぞ知る場所だろう。赤尾木の奇岩に比べて白っぽいのは、琉球石灰岩が多く含まれているかららしい。やっぱり奇妙キテレツな岩たちばかりだ。

その中でも群を抜いてキテレツなのがトントン岩だ。最初この写真を見たとき、その立ち姿がドアを叩く握った手に見えることから名付けられたのだと思ったが、どうやら違う言い伝えがあるそうだ。

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『 古老たちが昔よく遊んだ場所とする代表的な岩で「コンコンと軽く叩けばトントンと響く岩がある」と言い、いつの日からか「トントン岩」と呼ばれるようになった。今はこの岩を叩いて遊ぶ子供たちの姿を見ないが、昔の子供たちは叩けば応えてくれるからよく遊んでいたという 』

くまなく探したが、トントン岩は見つからなかった。それらしき岩を試しにコンコン叩いてみたが・・トントンと返事をするわけがない。
 

トントン岩は見つからなかったが、ウティゴ風葬墓(らしきもの)を見つけることができた。たぶん、これがそうなのだろう。崖下の窪みに岩水が流れており、その手前にはコンクリートで出来た貯水タンク(のようなもの)がある。その背後のうっすらとした岩の繁み・・ここだけ何だか空気が違うのだ。だとしたら人骨がまだ残っているはずだ・・が、さすがに奥に入ってそれを探す気にはなれなかった。

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『 ウーバルの下には水が流れており、今もタンクがある。昔はここの水を汲んでいた。崖下にあるため汲みに行くのは潮が引くときに合わせて海岸から行った。崖下(ガケンシャ)には風葬墓もあり、人骨もあった。恐ろしい場所でもあった。ケンムンも出るという。シマンチュ(島人)からは畏れられている場所のひとつである 』


貯水タンクからは溢れ出た水が砂浜を伝っていた。その水路には緑の苔が生え、水の軌跡がまるで滴り流れる血のようだった。

知れば知るほど、見れば見るほど、感じれば感じるほど、この島は奥深く畏ろしい。そして哀しくて愛おしい。ケンムンもガジュマルも蘇鉄も奇岩たちもハブも、そして死者たちも、この海とこの繁みに今も一緒に息をしている。


奇妙キテレツな奇岩たち

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