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きむすめ酒蔵

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北陸で酒蔵を経営している女性の物語。
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記事一覧

★きむすめ酒蔵(20)

ドイツ人はどちらかというと食べ物に関して保守的な傾向があるのかな、と感じます。

日本人は毎日、パンとかご飯を食べていると思いますが、例えばパン好きな人が温泉旅館へ行き、やはりパンを欲しますか。ご飯が出てきても全く問題ない人がほとんどではないでしょうか。

ところがドイツ人は、常に自分がふだんから食べているものを食べようとします。この性質は我々日本酒メーカーから見て、なかなか厄介なのです。ビールと

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★きむすめ酒蔵(19)

主人が謎の失踪をして長らく行方不明。理由が全く分からないため私の心の中にモヤモヤしたものがあって、不快とは言いませんが、いつも喉に小さな魚の骨が刺さっているような、なんだかうっすらとした違和感が続いていました。自分の何がダメだったのか、くよくよ悩む25年でした。愛する人にダメ出しされ、しかも理由が全く分からないという敗北感。すごくみじめな感じでしたよ。

ところが主人が突然現れ失踪理由を明らかにし

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★きむすめ酒蔵(18)

夫が突然戻ってきて驚きました。私の顔を見るなり土下座して、泣きながら何度も何度も謝ります。私は夫に対する悪意、憎しみが全くありませんので、まずは落ち着いてゆっくり休んでください、と言いました。髪は伸び放題、衣服は破れ、顔は髭だらけです。

風呂に入り、ビールを一杯飲んだあと、死んだように眠る夫。三日ぐらい経ってから語るところによると。

釣りに出た日、いつもの海岸で釣りの準備をしていたら見知らぬ、

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★きむすめ酒蔵(17)


ダウンタウンなう、というテレビ番組がありましたね。都内あちこちの飲食店にダウンタウンが出かけていってゲストと雑談する、という内容です。

あの番組に知り合いの居酒屋さんが出たんですよ。高校の同級生なんですが結婚して旦那さんと一緒に都内で居酒屋をやっています。

彼女は私に気遣い、お店にきむすめを置いてくれています。一升瓶で一万円する酒ですので大衆居酒屋ではどうかな、と思ってましたが、和田アキ子さ

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★きむすめ酒蔵(16)


ドイツのゲンさんは何度か来日して酒造米関係の農家とか団体を訪問し、研究を続けています。

米関係の研究開発の難点は「時間がかかります」ということですかね。田植えをしてから米が出来上がるまで最低でも半年かかるんですよ。化学物質aとbを混ぜた瞬間に化合物cができるという話なら毎日毎日、無数の組み合わせを実験できるのですが。

幸いにも、ドイツの水はなんとかなりそうです。とても良質な水が安価で利用でき

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★きむすめ酒蔵(15)

ドイツでぜひ「きむすめ酒蔵」を立ち上げたいというゲンさんの熱意は相当強くて、彼は酒造用の米を作るところから始めたいと言っています。

日本国内には山田錦を筆頭に酒造用の米を生産している農家がたくさんあります。しかしドイツにはほとんどなくて、隣国のスイスにごく小さな稲作農家があるくらいです。ドイツ人はじゃがいもが大好きなんですよね。

酒造用の米の開発は五年、十年、当たり前。マスクさんはアメリカ、あ

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★きむすめ酒蔵(14)


我が家は酒蔵の隣にある古い、大きな家です。私はこの家で育ちました。生まれた家のことは全く覚えていません。

祖母、母、姉と四人で暮らしていましたが、祖母が亡くなり姉が家出し、母が亡くなり、息子が結婚したのでこの家を息子に贈与して、私は家の近くに二階建てのアパートを建設しました。

一階、二階、それぞれ五世帯分の部屋があります。私はそのアパートの一階に住んでいます。管理人のおばあちゃんです。(笑)

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★きむすめ酒蔵(13)


20代で酒蔵に入社し、30代で結婚、出産。次男が生まれてまもなく主人が失踪し、40、50と独身で過ごしました。まもなく60になりますが、今から人生のパートナー探しというのは少し気分が重いですね。すごく仲のよい異性の友達が少しいれば、それで十分かな、と。

SAKE NETWORK JAPAN(SNJ)というネット主体のコミュニティに入っておりまして、たまにあちこちで試飲会を兼ねたオフ会が開催され

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★きむすめ酒蔵(12)

母の法要を行うために一週間ぐらい、ほとんど寝ないで過ごしました。歴史のある酒蔵なので取引先もたくさんあり、連日、多数の弔問客が来ました。

田舎の法要というのはすごく丁寧なんですよね。亡くなった直後にいらっしゃり、お通夜にいらっしゃり、本葬にいらっしゃり、と、何度も我が家にいらした方々が何人もいました。

造り酒屋に養女として迎えられ、四代目として活躍した母の人生をあれこれ思い、ずいぶんとしんみり

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★きむすめ酒蔵(11)

寅さん、水戸黄門など、結末が確実に予想できる物語を「予定調和的」というそうですが、私たちの日本酒造りも予定調和といえるでしょう。先祖代々、受け継がれているレシピを変えないことを強くご先祖様たちに要請されています。一種の家訓みたいなものです。

全国にはたくさんのきむすめファンがいらっしゃいます。決して安価とは言えない酒をご愛飲頂いており、たいへんありがたいです。

これらのお客様はきむすめの味を記

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★きむすめ酒蔵(10)


アメリカの大富豪、E・マスク氏が、わざわざ当蔵を見学しに来ました。彼はきむすめが大好きだそうです。まさかアメリカ有数の富豪がきむすめを飲んでいるとは想像外だったので私も社員もびっくりしました。

通訳を雇い、マスク氏に当蔵のアメリカ進出について尋ねたところ、no problem ! (問題ない)と彼は答えました。北米に酒蔵を建設する費用はぜんぶ自分が出す、あなたたちは私が雇ったアメリカ人を蔵人と

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★きむすめ酒蔵(9)

東京のIT企業、ポン・ネットワークス社とのお付き合いは10年ぐらいになりますでしょうか。きむすめのネット広告は全てポンさんにお任せしています。

皆さんのスマホにもしょっちゅう広告が出てくると思いますが、きむすめも月に20万円くらい使用して広告を出しています。

このような広告を全く出していない酒蔵もあるのです。しかし当社は祖母の代から広告に積極的で、新聞広告、雑誌広告など、考えうるあらゆる媒体に

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★きむすめ酒蔵(8)


山口県の旭酒造さんは獺祭(だっさい)という日本酒でブレイクしましたが、私が注目しているのは彼らの北米での活動です。彼らは現地に酒蔵を建設し、アメリカ市場に対して強い執念を持って取り組んでいます。

私も、今後、私たちの業界は、日本国内だけの商売ではなかなか厳しいかな、と思います。しかし、ではアメリカで、というのは当家の場合、かなり厳しいです。非現実的と言えます。

アメリカには友人知人が一人もい

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★きむすめ酒蔵(7)


酒造りに関わる人々が作業期間中、納豆、キムチなどの発酵食品を食べないという話は広く知られていますが、それは我が家も同様で、先祖代々、固く禁じられています。大人だけではなく、子供含めて禁止なのです。

納豆解禁になるのは毎日春、ですかね。それまでは絶対に禁止です。その反動が激しく、春は納豆三昧です。(笑)

日本酒造りは壮大な化学実験のようなもので、様々な要素を組み合わせた結果、化学反応が生じて製

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