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197DAY -高校生沖縄紀行 ①-

 羽田空港第一ターミナルの広々としたフロントは、さながら夏休みの終焉を象徴する虚しさを表しているかのようだ。もう夏休みも残り10日を切り、思えば部活合宿の地獄のような暑苦しさも遠い過去に思える。ふと足元を見れば、初めて飛行機に乗る2歳の妹が、フロントを所狭しとはしゃぎ回っている。高二の夏。最後の家族大旅行。

 離陸した飛行機は、凄まじい勢いで高度を上げている。体にかかるGは、読売ランドのジェットコースターを思い出させた。飛行機の離陸といえば小さい子供が泣き喚くイメージが強かったので妹もその憂き目に遭うかと思ったが、意外妹は離陸時の振動を笑って楽しんでいた。JAL国内線の座席は、思いのほか充実していた。座席前の画面で映画やドラマ、音楽などのコンテンツが楽しめるし、窓からは澄み切った青空と雲海が一望できる。

 那覇空港に到着すると、早速沖縄の気候を感じた。東京と打って変わり、南国の熱気を体全体で感じた。すぐに沖縄で唯一の鉄道路線である「ゆいレール」で、1日目に宿泊するホテルに向かう。1日目は都合でビジネスホテルに泊まり、二日目からは別のホテルに移動する。「ゆいレール」からは、沖縄市街が一望できた。単純に見ているだけでも、日本に普通にあるような学校やマンション、野球場などの施設があった。だが自分が沖縄にいるという感情が、どこか「日本じゃない感」を街に醸し出させている。

 ビジネスホテルに到着すると、家族全員腹が空いていた。それもそのはず、飛行機の搭乗時間とお昼が重なってしまったため、ろくに家族のほとんどが昼ごはんを食べていなかった。せっかく沖縄に来たのであるから、沖縄料理を堪能しようではないか。ビジネスホテルのスタッフに近場のおすすめの店を聞いたので、そこに行ってみる。

 店は沖縄独自の音楽が流れ、なんともいえない「沖縄感」を醸し出していた。店内もダークブラウンの木々で落ち着く。本来は予約するのが普通らしかったが、ご好意で入れさせてもらった。メニューを開くと、沖縄料理がずらりと並んでいた。早速注文していく。自分はソーキそばを注文した。(ちなみにソーキそばの「ソーキ」とは、本土で言うチャーシューのことで、沖縄そばにソーキ(チャーシュー)を乗せたのをソーキそばと言うらしい。つまりソーキそばは日本でいうチャーシューメンに近い関係なのだ。よくソーキそば=沖縄そばと解釈されるがこれは誤解である。)他にも、ゴーヤーチャンプルー、豚しゃぶ、刺身、肉寿司と、沖縄料理のオンパレードが展開された。

 早速いただく。ソーキそばは、(おそらく)豚ベースの優しい味付けに、よく味の染み込んだチャーシューがたまらない。本土のよりも強くさっぱりした苦味がクセになるゴーヤーチャンプルーや、もう本土でスーパーで買ってきたものがゲテモノに感じるほどに最高の歯応えと新鮮さを兼ね備えた刺身など、沖縄初日にして最高の「沖縄感」を満喫した。

 これから四日間に渡り、「高校生沖縄紀行」を連載していく。是非とも高評価とフォローを押してから、文字とともにあなたも「沖縄感」を楽しんでほしい。

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