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254DAY -岸辺露伴に学ぶネタ探し‐

 僕が好きなキャラクターの一つに「岸辺露伴」がある。「岸辺露伴」とは荒木飛呂彦先生作のロングラン作品「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する漫画家で、作中の異常ともとれる漫画家としてのプロ意識や、絶妙な存在感から、主人公やボス格に次ぐ人気を持つキャラクターとして有名である。「だが断る」などの台詞は聞いたことがあるんじゃあないだろうか。

 最近ではNHKで「岸辺露伴」を主人公とするスピンオフ作品「岸辺露伴は動かない」が実写ドラマ化され、映画化も決定しているなど、世代を超えて愛されているキャラクターだ。

 しかし「岸辺露伴」というキャラクターにおいて僕が真に好きな点は、彼の漫画家、クリエイターとしての意識だ。「岸辺露伴は動かない」の作中でも、「岸辺露伴」が漫画のネタを探すためにいろいろなことを調べたり取材するなどして妖怪や怪奇現象に巻き込まれるのだが、彼の「ネタ」に対する姿勢は自称作家として見習うべきところが多い。

 「岸辺露伴」は好奇心が強いキャラクターとして描かれており、一度興味をもった事象にはとことん解明しないと気が済まない。多くはネタバレになるので控えるが、実写版「岸辺露伴は動かない」では、強盗の発する言葉をネタとして入手するために自身の家のカギをあえて開けておき、強盗を家に入れるなんてこともやっている。

 「禁断(タブー)のその先にこそネタがある」と劇中で彼が言うように、誰も思いつかない面白い作品、唯一無二を生み出すには、既存の枠を超えていくことが不可欠だ。僕はこの考えを本当にすごいと思った。「岸辺露伴」のしている行動の中にはかなり変人で自己中心的なこともあるが、それ以上に「岸辺露伴」というキャラクターのスゴみがこの言葉に集約していると言っていい。

 僕は今日駒込に行く用事の帰り、新宿の紀伊国屋書店により、その帰路でサムネを撮った。「岸辺露伴」の言葉を知ると、この夜景の奥にどんなネタが隠れているんだろうと考えてしまう。もし「岸辺露伴」なら、興味があればこの路地裏だろうと繁華街だろうと行ってしまうだろう。しかし僕は岸辺露伴ではないのでそんな危なっかしいことなどできない。だからこそ僕はそのことをなによりも恨めしく感じてしまうのである。

 

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