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222DAY -五千年に一度のイベントの夜に-

 夜空を眺めると、美しい星々、そして一風変わった月が見えるだろう。淡い赤黒色に輝く不気味な月。皆既月食が発生したのだ。

 皆既月食とは、月を照らす太陽光が地球によって遮られる天体現象で、完全に見えなくならず地球の大気で太陽光が屈折して月を照らすため、赤黒い色に月が照らされるのが特徴だ。

 今夜天界で繰り広げられた、天体の動きが作り出す壮大な演出は、もう一つアクセントがある。即ち、太陽系第七惑星天王星も月の裏側に隠れる、いわば「天王星食」と「皆既月食」が同時に起きているのだ。つまり今日は、太陽と地球と月と天王星が直列に並んだまさに珍事と言うべき日なのだ。「皆既月食」だけでもなかなか無いイベントだが、「惑星食」も同時に発生するイベントは非常に珍しく、今回の「天王星食」が終われば、次に「惑星食」が「月食」の間に発生するのはおよそ二百年後のことになる。

 ちなみに前回の「惑星食」と「月食」のダブルイベントは1580年の「土星食」であり、今回のイベントは実に440年ぶりのことだった。「天王星食」に限れば、過去5000年に渡って発生していない。

 ベランダでイベントの一部始終を見ているうちに、自分は宇宙の不思議さを噛み締め、そして幸運だと思った。生活にはなんの関係もない、自分の人生に深く関わる幸運ではないが、仮にこの日より後に生まれた宇宙好きの人間たちは、「この時代に生まれたかった!」と悔やむに違いない。それらの運命は変えようがないし、予想もできない。だからこそ自分は、「この時代に生まれたことへの感謝」を僅かながら感じたのである。


追伸 そして今日の記事の日数も「222」。些細な幸運は、ささやかながら人を元気にする。なぜか。

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