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全員優しくないじゃん

性同一性障害のトランスジェンダー女性が、上司から執拗に「彼」と呼ばれたり、他の女性は「○○さん」と呼ぶのに
この方だけ「くん」の敬称で呼ばれ続けたなどとして、神奈川内の労基署に労災申請したというニュースがでた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2ca061e855c4d2ad40870ca8a902b70eddffc7a6

弁護士ドットコムが元記事だけど、Yahoo!ニュースにも掲載されると4000件近いコメントがつき、その中では様々な意見が飛び交う。
それを見ながら感じたのは、どうしても拭えない気持ち悪さ。

その気持ち悪さが、単純に「一層」だけだったらここに書いたりしないけど、よくよく見てみるとそこには「二層」あって
しかもその二層目に気がついた時、わりとショックだったのと、僕自身も気をつけておかないと気づかないうちに、その二層目の気持ち悪さに飛び込んでしまいそうなので書くことにした。

まず、どんなコメントがついていたかざっくりとグループに分けてみる。

◆◆A群◆◆


「その上司、本人が嫌がってるのに、嫌がる行為を”執拗に”続けたのが何より問題だよね」など。


この声が一番多かった。これは、ハラスメント(というか悪質な嫌がらせ)として大きな問題のある行為だけど、
今回僕が感じた気持ち悪さとは別のところにあるので、一旦横に置いておく。


◆◆B群◆◆


「こういうのをノイジーマイノリティと言うのだろうね。多数派だって色んなこと我慢してる。少数派を理由になんでもかんでも要求が通ると思うのは子どものわがままと同じ」
「マイノリティばかり権利を主張する感じが不快」
「メンタル弱すぎ。平等、公平を望みすぎ。世間は不公平も不平等も当たり前にある。本人の辛さは判るが、何でも認めて欲しいは求めすぎなんじゃないの?性同一性障害じゃなくても、望む事ばかりは叶えられないのにね。性同一性障害なんだから色々認めて欲しいは、逆に、不公平かな」

まずひとつめの気持ち悪さは、こうした意見がとても多いこと。しかもGOODボタンが圧倒的に多く押されている。

僕は「社会はマジョリティが過ごしやすいように出来上がるから、主張する必要がないんだろう」と思う。
そもそも、スタート地点でアドバンテージを負っているから、少しでもそれを埋めるために主張しているのだと。

◆◆C群◆◆


「今の時代、男女関わらず”さん付け”で呼ぶのが無難だよね」


これが、今の時代の日本で社会生活を送る人は共通認識としていることで、なんとなく腑に落ちる。
今回の件に関しても、きちんと「さん付け」していれば、労災申請にまで至ることはなかったはずだし、男女平等が求められる現代において理論的にも正しい。


これ、一見正しいように見えるし、多分正しい。だから、最初はこの気持ち悪さには気がつかなかった。
でも、こうしたコメントを複数見ていくうちに、なんだか気持ち悪さが増大していく。
もっとよく考えてみると、それが二層目の気持ち悪さの正体に気がついた。

ここから感じられるのは、「マイノリティを傷つけないように」ではなく「訴えられたりしないように」という考えだということに。

つまり、なんとなく正しいことを言っているように見えるC群の意見でさえ「マイノリティの主張」についてではなく、
「マジョリティの安全」について語っているということ。

「ヤフコメなんてそんなもん」という方もいるかもしれない。
でもそうした人が指しているのはB群のような意見が多いことだろう。

ともすれば、時代にあった善意にも見えて、せめてもの救いのようにかんじられたC群がよく見るとこんなに優しくないものだったなんて。

単にショックで書いただけなので、着地もまとめもない。おしまい。


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