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産科麻酔科医が伝えたい‘2022年’無痛分娩~日本の無痛分娩の状況編~


こんばんは。産科麻酔科医、ドクターまるです。
さて、今回は、2.日本の無痛分娩の状況編 です。


少し古いですが、上のグラフは、
2017年、日本産科婦人科医会が調査した’全分娩に対する無痛分娩の割合の推移’ です。
2016年全てのお産のうち、無痛で出産したのは 6%。
少しずつですが、増えてます。
総合病院(黄色の線)よりも、診療所(緑色の線)での出産の割合が多いですね。

次に、2018年に厚生労働省が出した、諸外国との比較の資料です。
アメリカは、2008年(上記円グラフ)の時点で、無痛分娩は41.3%ですが、2018年の報告では、全分娩の約73%が無痛分娩だったと記載もあります。
フランスは、2016年(上記)時点で約65%が無痛分娩です。

以上の2つを見ると、日本は無痛分娩に関して、まだまだ...という印象を受けます。
日本で無痛分娩が少ない要因は、いろいろ言われています。
私は、無痛分娩の割合が低いこと、普及しないことは問題ではないと思っています。
無痛分娩が全ての妊婦さんにとって、絶対の正解ではありません。
ほかの分娩も同様、妊婦さんは自身の理想の出産方法を自由に選択すべきです。

なんで2017年頃、学会や国が上記のような調査をしたのか。
無痛分娩を実施した妊産婦が死亡した事例に関して、
学会からの緊急提言…無痛分娩をする体制を整えよう!が出たり、
テレビなどで報道されたりした事が影響しています。
なので、これからどんどん無痛分娩の環境は、整っていくと信じています。

’無痛で産む’ ことよりも、’安全な無痛で産む’ ことの方がもっと大切なのではないかと思います。
そして、私も医療者としてそれに携われたらな、と思っています。

では、次回は実際に無痛分娩を検討している妊婦さんから、
よく聞かれる質問たちについて書いていきます。


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