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要注意!要介護認定未取得!?【認知症#3】

こんにちは。くんぱす先生です。
認知症治療病棟で勤務する医師です。
認知症の診療に携わっている身として、もっと社会に認知症のリアルを発信すべきだなと日々感じています。
認知症に対する漠然とした不安をなくし、誤解のないサポートを社会ができるようになることを願って投稿を続けていきたいと思っています。

今回は【要介護認定】についてお話します。

要介護認定とは

煩雑になるため、なるべく簡潔に書きますね。
介護が必要な度合い』をレベル分けしましょう。という制度です。

要介護認定はどのように行われるか/厚生労働省HP

上の図のように、
要支援1       介護の必要度が低いレベル
要支援2      ↓
要介護1      ↓
要介護2      ↓
要介護3      ↓
要介護4      ↓
要介護5  介護の必要度が最も高い

とレベル分けされているんです。
簡単にいうと、
自分で身の回りのことをほとんどできるよ~って方は要支援
寝たきりで常時介護が必要ですって方は要介護5
といった具合です。

この認定を受けることで、どのくらいの介護が必要な方で、どんなサービスを提供したらいいか、その際にかかる費用などを支援者が判断できるようになります。

自宅で過ごされていても、なんだか見守りが必要だなと感じるようになった場合なるべく早くこの要介護認定を受けることを勧めます。
なぜか。
ある症例を例に説明します。

80歳男性
独居
去年の秋頃から近隣トラブルが生じるようになり近隣住民から市に相談が入るようになった。
高齢者福祉課や地域包括支援センターが本人の生活状況を把握するように動き出す。
今年に入り、外出時に自宅に戻れなくなり警察に保護されるようになった。
近隣宅に押し入ろうとし、警察に再度保護され、独居生活困難とのことで入院相談に至った。

こういったケースで認知症治療病棟へ入院したとします。
認知症による視空間認知の低下(道に迷う、自宅が分からなくなる)による徘徊(はいかい)は薬物療法で改善することは困難であり、近隣への迷惑行為なく安全に暮らすためには少なくとも独居は難しいといえます。
では、今の状態で施設に入所できるか。
答えはNOです。
ここで必要になるのが要介護認定です。
この認定を受けていないと施設入所も困難なのです。

介護施設には様々な種類があります。
・サポート付き高齢者住宅
・グループホーム
・有料老人ホーム
・介護老人保健施設(通称:老健)
・特別養護老人ホーム(通称:特養)
これらの施設は介護保険に則ったサービスを提供しています。
取得した要介護認定のレベルにより自己負担額や提供できるサービスが変わるため、未取得のうちは入所に漕ぎつけないのです。

じゃあ、さっさと取得すればいいじゃん。と思いましたか?

取得にどれくらいの時間がかかるかご存じでしょうか。
今日申請して、『今週中には結果をお知らせしますね。』とはならないわけです。
時期にもよりますが、基本的に2か月はかかるという臨床現場での肌感です。混んでいる年度替わり前後だともっとかかります。
下の図のように
・主治医意見書を書いてもらう。
・認定調査員が訪問し調査する。
・一次判定に通す。
・介護認定審査会で二次判定を行う。
と複数のSTEPを踏むため、日数を要します。

要介護認定に係る制度の概要/厚生労働省HP

えー!そんなにかかるの?

そうなんです。
独居生活に戻れない先ほどのケースの場合、その間入院が長引くわけです。
いや、もっと申し上げると要介護認定を取得してからも長いんです。
例えば、先ほどのケースで要介護1という結果が出たとします。
この結果を受け、入所できる施設の種類が絞られ、さらにご本人の病状に合った適切な施設を経済的理由・立地などから選び、病状の情報提供を行い、
ご家族面談も行い、入所が可能か判断されます。
ここまでで要介護認定取得からさらに数か月経過しているわけです。

結局、いざ入所となるのに半年はザラにかかるというのが現実なんです。
入院生活が長期化することでご本人の認知症の症状が進行したり、ADL(日常生活動作)が低下したり(例えば杖歩行の方が車椅子になるなど)、肺炎などの合併症、せん妄(意識の混乱:自分がなぜ入院しているのか分からなくなり暴れる等)のリスクなど悪いことも起こりえるのが高齢者の入院です。

というわけで、日常生活がたとえ破綻していなくとも、ギリギリまで粘るのではなく、要介護認定を早めに取得していただきたいと思います。
取得するためには【主治医意見書】というものが必要となりますので、かかりつけ医に相談してください。

認知症という課題に本人・家族だけが向き合うのではなく、社会が知識を持つことで漠然とした認知症に対する不安をなくし、誤解のないサポートができることを願い、これからも発信していこうと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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