画像所見と症状の原因は一致しないこともある

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
Brain storm conditioningさんのnote記事で興味深いものがありましたので、ご紹介します。

整形外科にて椎間板ヘルニアなどの診断によく利用されるMRI。
MRI画像が生体の立体構造を詳細に描出出来ると言うことは間違いないのですが、「その構造異常が本当にその症状の原因なのか」と言うところの判断が、正しいとは限らないと言う研究論文を紹介されています。

専門医を受診して、断定的に「ここが本来こうあるべきなのに、こうなってるでしょう。だから症状が出てるんです。」と画像を見せられながら説明されたら信じてしまいますよね。ところがいざ手術治療などの際には「症状がよくならない場合もあります」と言う説明が同意書内に必ずあったりします。確率論的にその様な可能性がゼロでは無いので、仕方のないことではあるのですが。

現実に、画像所見上の椎間板ヘルニアが原因として手術を受けたが、症状が変わらないかむしろ悪くなったと言う方は少なくありませんし、手術を勧められながらも受けずに画像上の構造異常はそのままですが、理学療法や操体法などで痛みが軽減し普通に動けるようになっている方もいたりします。

脳ドックや人間ドックで見つかった異常においても、病原性のある異常は一握りに過ぎないので、費用をかけて検査をしても費用対効果が悪すぎるとして、海外では定期的なドック受診が推奨されていないのも、この様な知見に基づいています。もちろんリスクとなる異常や症状がある場合には、定期的フォローが必要な場合もありますが、特に問題となる異常が無ければ、5-10年間隔で十分とも言われています。

検査結果は嘘をつかないですが、「評価」は人間の医師が行うので、因果関係を間違える場合もあると言うことです。特に神経系の異常の場合、どこが原因となっているのかの判断が難しいことも多いです。骨折や脱臼などの外傷を伴わずに自然に起きたことならば自然に治せる可能性がある、と言う治療家の方も居たりしますし、手術をしたら元に戻すことは出来ません。

こういうことがあるんだよ、と言う理解を患者となる可能性のある一般の人たちもしておくことで、適切な医療の活用につながればと思います。

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