「超デジタル世界」について考えてみる
ChatGPTなどの大規模言語モデル・生成AIが猛威を振るう前に出版された本であり,その話題はない.デジタルトランスフォーメーション(DX)やメタバースの表層的な技術紹介ではなく,ハウツウ本でもなく,ハイデガーなどの哲学も参照しつつ,社会文化に踏み込んだ考察がなされており,とても読み応えがある.
本書は日本のデジタル敗戦の話題から始まる.日本がデジタル後進国となってしまった原因はどこにあるのか.他方,GAFAMを生み出し独走するアメリカはどうなっているのか,どうなっていくのか.社会も文化もまったく異なるのだから,日本がアメリカのものまねをしてもアメリカのようにはならない.では,日本はどうすべきなのか.
そのようなことを,本書「超デジタル世界」を読んで,考えてみることにも価値があるだろう.AIやメタバースなどに興味があって,「どう使うか」が書かれた本や資料を読み漁っているような人に,まったく違う視座を与えてくれる本だと思う.
© 2024 Manabu KANO.
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