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レポート/ゼミ資料の書き方(研究室内資料公開)

私が所属するヒューマンシステム論分野では,毎週,研究室メンバー全員が集まって,学生が研究進捗状況を報告し,その内容について議論する場を設けている.「全体ゼミ」と呼んでいるが,スライドを用いて発表することは認めず,担当学生(1回2〜3人)はゼミ資料(レポート)を準備しなければならない.

ゼミ資料(レポート)での発表を求めるのは,「大学や大学院で身に付けておきたい力」にも書いた通り,研究室として下記4項目の修得を掲げているためだ.書く訓練は欠かせない.

* 論理的に思考し,自分の考えを説明できるようになること.
* 正しい日本語で文章を書けるようになること.
* 魅力的なプレゼンテーションができるようになること.
* 必要な知識を身に付けられるようになること.

全体ゼミは,特に1番目と2番目の力を身に付けるための場として位置付けている.学生は少なくとも卒業論文や修士論文を執筆しなければならない.大学院生にもなれば,国際会議やジャーナルに投稿する論文も書くだろう.そのときまでに学術的な文書の書き方を身に付けてもらいたいが,一朝一夕にまともな文書が書けるようになるわけではない.そこで,繰り返し繰り返し練習するための場として,全体ゼミを活用している.

もちろん,「書け!」と言われて書けるものではないため,どのように書くべきかを具体的に示す必要がある.その目的のために「ゼミ資料の書き方」という資料を学生に配布している.出来映えに不安は残るものの,レポートを書かないといけない学生の参考になるかもしれないので,公開しよう.

この資料では,「チェックしてくれた先輩の氏名をゼミ資料の最初に明記して下さい.ゼミ資料の出来が悪ければ,その先輩も糾弾対象です」としてある.これも重要な点で,他人の原稿を添削することで,問題点に気付ける能力が向上する.良い原稿と悪い原稿の違いが明確にわかるようになる.教員に添削されているだけよりも,他人の原稿を添削することで,遙かにレベルアップできる.ただし,真剣に添削しないと効果はない.このため,「ゼミ資料の出来が悪ければ,その先輩も糾弾対象です」となる.実際,ゼミ資料に意味不明なことが書いてあったり,間違いがあったりすると,本人はもちろん,先輩も叱られる.

学生がまともにレポートを書けないと嘆く前に,まともなレポートの書き方を示すのが教員の役目だ.その責を果たした上で,結果を求める.

© 2020 Manabu KANO.

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