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プレゼンテーション・アドバイス(3):スライドの枚数と構成

発表本番を控えて,まず,誰に何を伝えるためにプレゼンするのかを明確にしました.内容には優先順位を付けて,どのような順番で話すかも決めました.そこまでできてから,スライドと原稿の作成に取り掛かります.

大事なのは中身

最も大事なのはプレゼンの中身です.伝えたいことです.当然のことなのですが,重要なことは確実に伝えないといけないので,書いておきます.

大学で,卒業研究や修士論文の発表会が近付いてくると,希にですが,それほど凝ったスライドを作成する時間があるなら,もうちょっと研究を進めろよ!と言いたくなることがあります.十分に時間をかけて良いスライドを準備することは大切ですが,プレゼンの中身を充実させることはもっと大切です.そうは言うものの,発表までの時間は限られています.その限られた時間の中で何に力を尽くすべきか,自分自身が明確化した「プレゼンの目的」の達成度を最大化できるように,よく考えて行動しましょう.

スライドは1分あたり1〜2枚

講演を依頼された同級生が,スライド1枚で40分ほど話をしたことがあります.その講演を私も聞いており,みんな衝撃を受けていましたが,そういうプレゼンもあります.

人それぞれの発表スタイルがあるので,一概にスライドは何枚にすべきだと決めつけるつもりはありません.それでも,目安はあります.スライドが少なすぎると,スライドで伝えられる情報が減ってしまうか,あるいは,1枚のスライドに情報を詰め込みすぎて,見苦しいスライドになってしまいます.一方,スライドが多すぎると,1枚のスライドを見せる時間が短くなり,スライドに何か書いてあったけど,すぐに消えたので何が書いてあったかわからないなんてことになりかねません.

例えば,学会発表であれば,発表時間が指定されているはずですから,1分あたり1〜2枚を目安にするといいでしょう.15分の発表ならスライドは15〜30枚になります.30枚はちょっと多すぎる気もするので,20枚くらいが良さそうです.これとは別に,必要に応じて,質問対策用の補足スライドを用意します.

講演であれば,1分あたり多くて1枚前後でしょう.アドリブで余談を挟んだりすると,結構な時間を使います.いつも講演時間が残り少なくなってくると「時間がなくなってきましたので…」「ちょっと飛ばしていきます」と言っている人は学習して下さい.そうなる原因はスライドの枚数が多すぎることかもしれません.

いきなり細部を作り込まない

既にストーリーは決めました.そのストーリーに沿って,スライドを用意しましょう.ただし,いきなり凝ったスライドを作るのではなく,最初から最後までを通して,それぞれのスライドに何を書いて何を話すかを考えながら,スライドの原案を作ります.思い描いたストーリーをスライドとして具体化し,ストーリーに無理がないか,スライド作成に必要なデータや情報が揃っているかを確認します.

いきなり完成版スライドができることはありません.プレゼンの目的を達成するために,できるだけ良いスライドになるように,何度も何度も修正します.いきなり細部を作り込んでしまうと,その作業が無駄になりかねません.スライドを作り込むのは,それぞれのスライドの内容が決まってからにしましょう.

スライドの構成

研究発表であれば,スライドの構成は論文の構成と同じで良いでしょう.聞いてくれる人の立場になって,聴衆が無理なく理解できるような構成を考えます.自分が考えた順番で,あるいは自分が行動した順番で,スライドを構成するのではありません.発表内容をアピールするのに適した構成にすべきです.

発表時間が非常に短い場合には必要ありませんが,発表に先立って,発表のアウトライン(目次)を簡単に説明するとよいでしょう.もちろん,細々とした内容について触れる必要はありません.こういう順番で発表が進むのだなと聞いてくれる人に理解してもらえれば十分です.

発表の最後は,まとめ(結論),そして謝辞です.まとめでは,得られた成果を簡潔に示します.まとめが長いと,結局何が主張したかったのかわからなくなってしまうため,短くまとめましょう.発表の締め括りである謝辞では,お世話になった組織や人への感謝を述べます.研究発表であれば,資金援助をしてくれた組織や協力してくれた人達に謝辞を述べます.ただし,共著者(共同研究者)へ謝辞を述べてはいけません.共著者は,謝辞を述べる側であって,述べられる側ではありません.私の経験では,日本人は謝辞を疎かにする傾向があるような気がします.共著者ではない人が成果を得るのに貢献してくれた場合には,きちんと謝辞を述べましょう.さらに,発表の最後には,発表を聞きに来てくれた人に対しても感謝の言葉を述べるようにしましょう.

スライドの構成についてまとめると,以下のようになります.

スライドの構成
1枚目:発表タイトル,発表者名など
2枚目:発表のアウトライン
3枚目:背景など発表の導入
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N-1枚目:まとめ(結論)
N枚目:謝辞(必要であれば)

© 2020 Manabu KANO.

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