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論文がない? 図書館にもか? いかに論文を入手するか

教員「○○について論文を何報か読んでまとめてみて」
・・・後日・・・
学生「□□と■■の論文が見付かりませんでした」
教員(サッと検索)
教員「はい.□□論文のPDFファイルはあったから送っておいた」
教員「あと,■■論文は○✖️学部の図書館にあるみたい」

このような遣り取りは大学教員あるあるのような気がする.

論文は図書館にもある

Google検索でトップページに表示されない情報は世の中に存在しないも同然というのは極端にしても,調べものをネットで済ますことが当然となっている世代の学生は,図書館に多量のジャーナルが「紙」で保存されていて,そこでコピーして論文を入手するという発想がないことがある.このため,その論文なら図書館に行けばあるよと教えて,ネットでは入手できない論文も図書館でなら入手できることがあると伝える必要がある.学生なら大学図書館を存分に活用しよう.

論文原稿は機関リポジトリにもある

費用負担する一部の人だけでなく,望む人は誰でも論文を読めるように,研究成果を知ることができるようにすることをオープンアクセスという.このオープンアクセスの重要性が認識され,すべての論文を誰でも読むことができるオープンアクセス・ジャーナルが増えている.そうではないジャーナルでも,著者が費用負担することで,論文をオープンアクセス化できるものもある.

さらに,組織もオープンアクセス化に向けて行動している.例えば,京都大学の場合,京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI)と呼ばれる,京都大学の研究・教育成果のオープンアクセスを実現するプラットフォームを運用している.このような機関リポジトリには,出版された論文そのものではないにしても,出版社に送付された最終版原稿が登録されていたりする.何が登録できるかは出版社との契約にもよるが,多くの論文を入手することができる.

論文が欲しいと著者に伝えてもよい

論文の著者は,自分の論文が多くの人に読まれたり引用されたりすることを嬉しく思うものなので,著者にメールなどで連絡して,「あなたの論文を送って欲しい」と伝えることもできる.あるいは,ResearchGateのような場で,論文を入手したり,著者に論文が欲しいと伝えたりすることもできる.

まとめ

ググれカス!と言われて,Google Scholarで論文検索するのはよいことだ.使える環境にあるなら,Web of ScienceScopusなどの文献データベースも使おう.生物医学系のPubMedのように分野特化型のデータベースもある.

そのような便利な道具を利用して文献検索をして,欲しい論文を入手できれば素晴らしい.しかし,欲しい論文を入手できなかったとしても,すぐに諦めてはいけない.

まず,図書館の蔵書を調べてみよう.図書館には蔵書検索サービスがあるはずだ.そこで調べれば,欲しい論文が書架に保存されていることがわかるかもしれない.機関リポジトリで論文原稿を入手できるかもしれない.あるいは,ResearchGateのような研究情報サイトで論文を入手できるかもしれない.著者に論文が欲しいと連絡してもいい.返信してもらえる,さらに論文を送ってもらえる保証はないが,試してみる価値はある.

論文を見付けて読む癖を付けよう」に書いたように,論文を探して読むことは,研究をするなら必要不可欠だ.これを実践するには,論文を探す技術と入手する能力が重要になる.もちろん,論文を読んで理解する能力も必要だ.

そのような能力が,まさに「大学や大学院で身に付けておきたい力」の一部分である.ググれカス!は箴言だが,ググるだけが能ではない.

© 2020 Manabu KANO.

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