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「核融合エネルギーのきほん」を学ぶ

核融合には期待している.いつ実現するかはわからないけれども.再生可能エネルギーとして,太陽光や風力は既に利用されているが,日本国内の状況を見ると,ソーラーパネルによる自然破壊が横行しており,人間の愚かさしか感じない.

図解でよくわかる 核融合エネルギーのきほん
「核融合エネルギーのきほん」出版委員会,誠文堂新光社,2021

本書「核融合エネルギーのきほん」を読んで,核融合発電の実現に向けた現在の状況をおおよそ把握することができた.

核融合の実現に向けて,いくつもの方式が検討されている.トカマク,ヘリカル,レーザーなど.最も研究開発が進展しているのがトカマク方式で,核融合エネルギーが科学技術的に成立することを実証するために,人類史上初の核融合実験炉を実現しようとする超大型国際プロジェクト「ITER(イーター)」が進行中である.ITERと連動して,日本国内でも,臨界プラズマ試験装置JT‐60SA(トカマク方式/量子科学技術研究開発機構)を用いた技術開発が進められている.その他,大型ヘリカル装置LHD(ヘリカル方式/核融合科学研究所),激光XII号(レーザー方式/大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)を用いた研究開発も進められている.

人類終了のお知らせを聞く前に実現されるといいなと思う.

目次
第1章 核融合エネルギーとはなにか?
1-01 核融合エネルギーが拓く未来
1-02 人類のエネルギー利用の変遷
1-03 人類の進歩とエネルギーの話
1-04 ものが燃えるしくみを知る
1-05 水素は燃えるがエネルギー源にならない理由
1-06 太陽はどうして燃えているのか?
1-07 水素のもう一つの燃え方を知ろう
1-08 ほぼ無尽蔵の海水が燃料となる
1-09 恒星は核融合で輝いている
1-10 物質の第四の状態「プラズマ」を知る
1-11 日本の核融合試験装置JT-60Uでは、5.2億度を達成
1-12 宇宙のプラズマと星の関係
1-13 星とプラズマの輪廻
1-14 他のエネルギー源と比較してみよう
第2章 核融合エネルギー実現のために必要なこと
2-01 人知が生み出す新しいエネルギー資源となる
2-02 高温プラズマをいかに“閉じ込める”のか?
2-03 人工太陽、「地上の星」を作るために研究が進む
2-04 捩じれた磁力線で編んだトーラス装置
2-05 世界の最前線を行く大型プラズマ実験装置
2-06 核融合炉は巨大かつ強力な超伝導コイルの集合体
2-07 運動エネルギーを熱エネルギーに
2-08 熱さに耐える材料を求めて
2-09 燃料を自分で作り出す
2-10 燃料をたくさん作る材料
2-11 電子レンジと同じ原理で加熱する
2-12 アルファ粒子はプラズマ加熱後にヘリウム灰に
2-13 一億度のプラズマの計測と制御方法
2-14 熱を電気に変換する
2-15 遠隔装置での保守点検を行う
2-16 2050年を目指す核融合発電計画
2-17 レーザー核融合のしくみを知る
第3章 核融合エネルギーの安全と環境問題
3-01 人類文明と生態系を守るエネルギー政策
3-02 実用化に向けた開発計画について
3-03 核融合の「安心感」と「安全性」
3-04 すぐ停められ、早期に減衰が可能
3-05 廃棄物の種類と最少化について
3-06 核融合のエネルギー資源
3-07 核融合の燃料サイクルは所内で閉じる
3-08 エネルギー問題は環境問題と考えよう
3-09 電力系統の安定性に必要なことは?
第4章 核融合エネルギーとビジネスについて
4-01 エネルギー産業の過去と未来
4-02 「スタートアップ」という新しい仕事のかたち
4-03 核融合から生まれた新技術
4-04 世界では核融合ビジネスが始まっている
4-05 人類未踏技術への挑戦
第5章 教育現場で核融合の理解を深める
5-01 理科(物理・化学)と社会(歴史・経済・倫理)の調和と共創
5-02 30年先の研究者・技術者を目指して
5-03 核融合を学ぶことは宇宙を学ぶこと
5-04 核融合研究に取り組む大学
5-05 核融合研究に取り組む研究機関
5-06 核融合の知識を深めるための公式・計算式
5-07 核融合を学ぶ・体験する施設
第6章  核融合エネルギーが実現化するとどのような世の中になるのか
6-01 核融合と電気料金
6-02 核融合ロケット
6-03 火星まで90日以下で行ける
6-04 人類は太陽系から脱出できるのか

© 2024 Manabu KANO.

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