マガジンのカバー画像

本の紹介・読書の記録

153
運営しているクリエイター

#パンデミック

環境破壊もBLM運動もポリコレもCOVID-19と結び付けてしまえ「パンデミック2」

グローバル資本主義を叩き潰し,抜本的に社会の在り方を変えないと,この新型コロナウイルス感染症による影響を我々は克服できない.新型コロナウイルス感染症だけではない.地球温暖化も差し迫った危機である.そのような深刻な問題から,その問題があまりに深刻であるが故に,目をそらす人は多い.しかし,それでは未来を閉ざすことになる.危機を危機として受け止め,国際社会が一丸となって解決に向けて取り組まなければならない.資本主義を生き長らえさせたままでは,そんなことは達成し得ない.グローバル資本

「パンデミック」は新たな共産主義を生み出すか

新型コロナウイルスが世界的に流行しだしてすぐに執筆された本で,人類社会の先行きについて論じられている.既存の資本主義と新自由主義は,コロナ禍によって,過去の遺物となる.哲学者である著者スラヴォイ・ジジェクは,今こそ,新しい共産主義の出番であると言う. 実際,市場原理に任せていてはマスクもワクチンも人工呼吸器も十分には行き渡らないため,各国政府は民間に製造を指示した.これは計画経済の在り方だ.また,ロックダウンを含めて,政府が民間の活動を厳しく制限したことで,経済が壊滅的な打

不安を煽る政府やメディアを批判する「コロナパンデミックは、本当か?」を読む

2020年の比較的早い時期に書かれた本書は,ドイツで政府やメディアがCOVID-19の恐ろしさを過大評価し,不安を煽り,不必要なロックダウンなどを実施して,国益を損なったと批判している.本書は「反ロックダウン運動のバイブル」となっているそうだ. 著者のスチャリット・バクディは微生物及び感染症・疫病学博士,カリーナ・ライスは生物細胞学博士で,2人は夫婦である. コロナパンデミックは、本当か? ーコロナ騒動の真相を探るー スチャリット・バクディ,カリーナ・ライス,日曜社,20

新型コロナ時代にカミュの「ペスト」を読む

新型コロナウイルス感染症が蔓延しだしてから,いずれ読もうと思いつつ,なかなか機会(というより気持ち)がなかったが,いよいよ読んだ.ノーベル文学賞受賞者であるカミュの「ペスト」だ. ペスト カミュ,新潮文庫,1969 話の舞台は,アルジェリアのオラン市.カミュはアルジェリアで生まれた.あるとき,市内で次々に鼠の死体が発見されるようになり,続けて,原因不明の熱病が人々を襲う.ペストだ.封鎖され孤立した街で,様々に生きる人々が描かれている.絶望的な状況にあってペストに向き合う医