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環境破壊もBLM運動もポリコレもCOVID-19と結び付けてしまえ「パンデミック2」

グローバル資本主義を叩き潰し,抜本的に社会の在り方を変えないと,この新型コロナウイルス感染症による影響を我々は克服できない.新型コロナウイルス感染症だけではない.地球温暖化も差し迫った危機である.そのような深刻な問題から,その問題があまりに深刻であるが故に,目をそらす人は多い.しかし,それでは未来を閉ざすことになる.危機を危機として受け止め,国際社会が一丸となって解決に向けて取り組まなければならない.資本主義を生き長らえさせたままでは,そんなことは達成し得ない.グローバル資本主義を葬りさること,そして新しい共産主義が必要だ.

そんなことが書かれていたのが,前著「パンデミック 世界をゆるがした新型コロナウイルス」であり,その続編である本著「パンデミック2 COVID-19と失われた時」である.

新しい共産主義を掲げているあたり,グローバル資本主義にダメ出ししているあたり,トランプ元大統領をディスりまくっているあたりは,この2作に共通していると思う.だが,前著に見られた「我々はみな,同じ舟に乗っている」のだから一致団結してパンデミックに対峙しようという態度が消え去り,本書「パンデミック2 COVID-19と失われた時」では,拡大する格差,分断される社会に視線が注がれている.

パンデミック2 COVID-19と失われた時
スラヴォイ・ジジェク,Pヴァイン,2021

「貧困のパンデミックを克服することなしにウイルスのパンデミックを終息させることはできない」と著者スラヴォイ・ジジェクは指摘する.

そして,「危機はいつまでも続くのだ.おそらく,たとえCOVID-19のワクチンが開発されたとしても,今後も感染発生や環境変動に脅かされ続ける"ヴァイラルワールド"から逃れられないーということを受け入れる勇気を持つべきだろう」と.このことは多くの人が感づいていることではないだろうか.もう元の世界に戻ることはできないと.

では,これからの世界はどのような世界になるのか.

それは今を生きている我々の行動にかかっているわけだ.その我々は今,どのような社会を生きているのか.マトリックス,赤い薬,ニューラリンク,自然災害,ポピュリズム,人種差別,リベラル,ポリコレ,トランプ,陰謀論,ヘーゲル,カント,フロイト,ラカン...実に様々な観点から論じられている.正直,難しくてよくわからない.

そんな本だった.

© 2022 Manabu KANO.

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