山を攻めた後は古民家の宿でソロステイ
玄関の扉は開け放たれていました。
んん~?、この人はスタッフだろうか。それともお客さんだろうか?
テーブルに突っ伏して気絶している、若々しく艶のある髪を携えた女性。服装は普段着のようで、スタッフなのかお客さんなのかわかりません。
「ごめんください~?」
恐る恐る声をかけた私の存在に気づき、慌てて体裁をつくろいます。
「こちらに記入をお願いしまっす。」
彼女は慣れた手つきで黒い台帳を差し出しました。
「今日宿泊されるお客さんは金沢さんだけです…」
そうか私ひとりなんだ。この広い屋敷に。
彼女は軽いノリで部屋とトイレ、浴室、キッチンを案内しました。
「お湯に浸かりたかったらご自由にお湯をためてください。キッチンには何でもあるので自由にご利用ください。」
やった!独り占めだ~
実はここ、古民家再生プロジェクトにより蘇ったお家。どうです?この階段。ワクワクが止まらない。自分が子供だったら江戸時代の幽霊が出そうとか色々妄想しそうです。
部屋からオレンジ色に染まる景色を見下ろすことができました。真っ平らな大地が延々とのっぺり広がっています。基本ここは平野であることを知りました。この山だけが侵食から生き残ったらしいです。
「ご夕食はどうされますか?」
「スーパーに行きます」
お庭も自由。焚き火の準備をします。あたりが闇に沈んでいきます。遠くに下界の灯火が瞬きます。備長炭が赤々と熱を帯びだしました。
採れたて無濾過ワインを抜栓。
つい先ほど訪れたワイナリー。女性オーナーが人懐こく歴史を語ります。地元で育てたぶどうをその場で醸造するようになり2年とのこと。醸造設備がそろうまでは山梨へ通った話。一人で切り盛りする物語。そんなストーリーを思い出しながら味わいました。
目線の高さに飛行機の動きが見えます。これも山の斜面からの景色の特徴でしょう。スマホアプリで飛行機の行き先をリアルタイムに確認するもいとおかし。
そんな時でした。
ころん…バラバラバラバラ…
持参したフライパンの取っ手がすっぽり折れ(折り畳める構造)、食材を地面にぶちまけたのです。サバ缶の中身とマッシュルームにガーリック…(上の動画の食材すべて…)
え~~~~(泣)シクシクシクシク。バカ〜。
一人でよかった。。。誰にも見られていない。こぼれた物体を堂々とつまみ拾い上げます。そんな私の背中からは「淋しいオーラ」が発せられていたことでしょう。
宿のオーナー、そして先ほどの女性スタッフが話しかけてきます。新しいデザインにリフォームするのではなく、古さをそのまま残すコンセプト。その物語。地元を盛り上げたいという熱意。
「麓でアートのイベント準備をしています。作品もここに置いているので見てみてください」
古民家に似つかわしくないモダンなアート作品が鎮座していいます。ギラギラとエネルギーみなぎる虎がおります。
ところでこの山の中腹、結構暖かいのだそう。メカニズムを聞いた気がしましたがほろ酔いで3秒で忘却。「暖かい」と聞いた矢先で大変失礼ながら、ひんやり寒さを感じてきたので焚き火はおしまいとしました。
一夜明けて
翌朝周囲の急坂や神社を散策。まだ7時前なのにむあ~っとする暖かさ。空気が生ぬるいのです。後で調べたら気温の「逆転現象」なるものらしい。だから山なのにみかんも採れるらしい。
朝食中に子ヤギが二匹仲良くじゃれあっているのが見えました。
「あの子達は何歳くらいですか?」
「二人とも男の子でまだ一歳になっていません」
「ミルクとか何か実用性を求めてその~家畜的意味合いで飼っているのですか?」
「単なるペットです〜」
ガッ!!
二匹は前頭部を打ちつけあっています。おお~う。どんな感情から生まれる行為なのでしょう?優しく見守りました。
さ、今日は仕事。。。そろそろ出発じゃ。
短時間しか滞在していないのに愛着を感じ、去るのが名残惜しく感じた宿でした。
ここはどこかって?
筑波山です。
私のようにビジネスでつくば訪問。前日インして筑波山を楽しむパターンオススメ。
そして宿では非日常を味わいましょう。
参考:
つくばワイナリー:宿から4キロくらい
フードマーケットカスミ 筑波店は宿から4キロくらい
あとがき
宿にチェックインする前に筑波山温泉つくばの湯にドロップイン。トレイルランニングの汗を流し、広い休憩所でしばしくつろぎました。
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