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【病院で働くということ】・・・Vol.11:医師によるパワハラの土壌

 医師の医療現場によるパワハラ行為はパワハラという言葉が世の中に診とする前からあったと聞いています。医療現場における「働き方改革」と比べると影が薄いですが、とても大きな問題です。

 以前のブログでも書きましたが、多くの職種が働く病院という組織は、事業の形態としては「業務集約型」事業です。
 一方で売上である診療報酬の大半は、医師が行う診療行為により発生しているという現実があります。
 そこに医師が他のすべての職種の上に立っているという医師側の勝手な誤解を生み、現場にひずみを来しやすい土壌があります。医師が自分の思い通りにしなければ気に入らない、うまくかない場合は組織(システム)のせい、自分はこれだけ患者・病院に尽くしているのに、周りが言うとおりにしないのは許せない、との論法。自分のしていることに一寸の間違いも混ざっていないという過剰な意識。多くの場合、パワハラ発生源の本人に自覚がないことがほとんどです。
 
 もちろん医師が各セクションのユニットリーダー的な立場であることは事実ですが、高圧的な医師がいる医療現場はそれだけでハラスメントの場となり、そこで働くスタッフは大きなストレスに苛まれることになります。
 
 医師の仕事なんて、一人でできるわけがないので、上記のような考えを持つ医師のことは理解できないし、なるべく近寄らないことにしています。幸い私自身のこれまでの職場において、直属の上司にそのような人がいなかったことは幸運でした。
 
  一緒に働くスタッフとともに、同じ視線で診療を続けていくことが患者さんの満足度や診療の質の向上につながっていくことだと信じています。一方でハラスメント気質の医師がいる現場ではそのようになっていない例もたくさん見てきました。

 当然のことですが、病院の売上である診療報酬は医師の診療のみで得られるものではありません。周囲の多くのスタッフの存在によって初めて診療が成り立っていることを理解し、スタッフに対して感謝の気持ちを持つこと、組織の中で評価されている人間が経営陣からも正当な評価を受けられる病院であることが理想です。

 病院管理者となった現在では、そういう医療現場を私自身が先頭に立って作り上げていくことが使命だと思っています。
 
 一昔のような典型的なパワハラ医師は徐々にいなくなっているとは思いますが、いずれ世の中から時代後れのパワハラ医師が排除されていく、と信じています。


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