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【ふしぎ旅】乙宝寺 血の池

 新潟県胎内市にある乙宝寺は今から1300年前、天平期に開かれた真言宗の古刹である。

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  境内にある三重塔は1621年に建立され、国の重要文化財となっている。
 この三重塔の建立にあたっては、その難しさから、棟梁が一時は職場放棄したが、夢の中で仏様が、工事法を指導して完成したという伝説もあるのだが、それは別の話。

 さて、この乙宝寺の本堂を抜けた墓地の先に「血の池」と呼ばれるところがある。

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 昔、死産であったり、幼くして死んでしまった子供たちが多くいた頃、その子供の遺体を、舟にのせて、池の真ん中で葬ったという。
 その時に子供の髪の毛を十本切り、お墓に埋めて供養すると、この池は遺体を葬った翌日から三日間、池全体が、赤く染まったと言い、そのことから「血の池」と呼ばれるようになった。
 正面にある地蔵様は、その幼い子供たちの霊が極楽に行けるようにと建てられたという。

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 さて、なんともやり切れない話ではあるが、現在ではこの池は水が枯れていることが多いらしく、私が訪れた時も叢にしか見えなかった。
 伝説が現実だとすると、この叢の下には、いくつもの子供の遺体が埋まっていることとなるので、さすがにその上を歩くことは、はばかられるが歩けそうなほどである。

 不思議なのは、この血の池の話、怪談や心霊スポットとして語られることが、地元以外では少ない。
 新潟県の怪談や心霊スポットを集めた話でも、とりあげているものは稀であろう。
 あまりにも、生々しく、もの悲しい伝説だからであろうか?

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