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【怪異譚】巨大迷路

14: コロン◆ENKjnNhmFQ 2015/07/17(金)21:19:22
7話目
消えた巨大迷路
1980年代、日本中で「巨大迷路」がブームになった。
1982年の7月、新潟のとある遊園地でも巨大迷路がオープンし、それなりの盛況を博した。
しかし、オープンからたった2週間でこの迷路は閉鎖されてしまった。
客が「迷路の中で自分と同じ後姿を見た」と訴える事が相次いだためだという。
その噂のせいか、各地にある巨大迷路でも同様の噂が流れ出す。
そのため人が減り、採算のとれなくなった巨大迷路は次第に姿を消していった。
人を惑わす迷路。その規模が大きいほど、別の世界に繋がる道につながりやすくなるのかもしれない。

一時、twitterでもかなり話題になった都市伝説である。
リンク元記事: http://michayaa.seesaa.net/article/441104773.html

 さて、私は新潟に在住しているので、ここまで細部に分かっている都市伝説であると調べやすい。

 新潟で遊園地と言えば、阿賀野市にある「サントピアワールド」だが1982年当時は「安田アイランド」という名前であった。(1998年、リニューアルにより改名)
 確かに巨大迷路は、現在観覧車がある高台に建てられていた。
 「ウェスタンメイズ」という名前で導入されたのは1987年4月。ちなみに閉鎖したのは1995年頃とのことで、1982年という時代とは、かなりかけ離れている。

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 他の新潟の遊園地というと、上越地方に「妙高サンシャインランド」があるが、そもそも1989年開業なので年代的にあっていない。

 今は無き新潟市の「鳥屋野レイクランド」は、「ナイスふーど新潟'89 食と緑の博覧会」の跡地にできたので1989年開業。
 他、新潟にあった遊園地というと、いずれも今は無い「新潟遊園」(新潟市)、「野積ドリームランド」(長岡市寺泊)、「月岡ランド」(新発田市豊浦)などがあるが、巨大迷路があったという話は聞かない。

 他の地域も調べてみると、そもそもブームのはしりの京都の「醍醐グランメイズ」が1985年開業というので1982年というとブーム前の先駆けということになる。
 現在ならまだしも、当時の地方都市、新潟の遊園地で、そこまで最新アトラクションを早く導入するとは思えない。

 可能性があるとすると、上越新幹線開通記念イベントの「新潟博覧会」が1983年に開催。
 パビリオンで迷子ということは、毎日のようにあったようだから、それと話を混同しているのかもしれない。
 その「新潟博」の跡地はイベント広場として活用され、移動動物園や、サーカスなどが行われていた。
 巨大迷路が置かれたこともあり、もともとイベントであったので2~3週間の臨時営業だったのだが、それが「2週間で閉鎖された」と誤認されたかもしれない。

 1980年代前半と言えば北朝鮮拉致による行方不明事件の真相が分からない時代でもあり、その頃の混沌とした記憶が、この都市伝説を作ったのではと思われる。

 余談ではあるが、先に挙げた「安田アイランド」には「ミラーハウス」という鏡の迷路があった。
 この、迷路の規模は、かなり小さくはあるものの、迷う人が多く、晩年は係員が監視カメラを見ながら、場内マイクで道案内をするという、変わった営業形態をしていたという。
 当時の係員曰く「時々、見ていないと、人が鏡の中に入っていきそうになるんだ」と。

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