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【怪異譚】酔って公園で

 新潟市在住の会社員、米山さんの大学生時代の話である。
 学生時代、米山さんは関東の大学におり、一人暮らしをしていた。

 大学生の気ままな一人暮らしということもあり、酒の飲み会などで、意識が無くなるまで酔いつぶれるということが度々あったらしい。
 通常ならば、酔いを残したまま、始発で帰宅ということが多かったそうだが、時に夏などは、帰宅途中にある公園のベンチで、そのままひと眠りするなどということもあったそうだ。

 梅雨に入る前の初夏のこと、米山さんは酔って火照った身体に夜風が気持ちよく、また公園のベンチで眠ったらしい。

 おかしな夢を見た。
 急に、空の雲が下に吊り天井のように落ちてきて、それに米山さんが次第につぶされていくのだ。

 息苦しくなり、夢から覚め、目を開くと、米山さんの目の前には夢よりも、驚愕するような景色があった。

 米山さんのベンチに横たわっている身体の上、そしてベンチを囲むようにして無数のハトが米山さんの周りにいたのだ。
 暴れるわけではなく、何を考えているか分からない目で、米山さんをハトが凝視していたという。

 あわてて、飛び起きて、自宅に逃げるようにして、帰ったがハトは近づいてこなかったという。

 その日以降、米山さんは泥酔することが少なくなり、公園やハトのいるところには近づけなくなったそうだ。

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